1-2 緊急時の原子力防災体制
万が一大量の放射性物質等の放出により原子力緊急事態が発生した場合は、「原子力災害対策本部」が設置される。同本部の主な役割は、実際の現場や被害の状況を把握し、その状況に即した緊急事態応急対策等を的確かつ迅速に実施するため、国の関係機関や地方公共団体等との総合調整等を行うことである。また、同本部の本部長には内閣総理大臣、副本部長には内閣官房長官、環境大臣、内閣府特命担当大臣(原子力防災)及び原子力規制委員会委員長等を、本部員には全ての国務大臣及び内閣危機管理監等を充てている(図表1-1-1)。
同本部における役割分担については、技術的・専門的事項の判断は原子力規制委員会が一義的に担い、原子力施設への対応に必要な機材調達や施設外(オフサイト)対応全般は本部長(内閣総理大臣)指示に基づき、関係省庁が対応することとなっている。同本部の事務局は、平成26年10月14日に発足した内閣府政策統括官(原子力防災担当)が担うこととなる。
また、複合災害時に関しては、平成27年7月に防災基本計画を修正し、自然災害に対応する「緊急災害対策本部」又は「非常災害対策本部」(令和3年5月の災害対策基本法改正以降は「特定災害対策本部」を含む。)と原子力災害に対応する「原子力災害対策本部」の両本部が一元的に情報収集、意思決定、指示・調整を行うことができる連携体制を整えることとし、複合災害発生時の体制を強化している(図表1-2-1、図表1-2-2)。