令和元年版 防災白書|特集 第1章 第1節 1-2 大阪府北部地震


1-2 大阪府北部地震

(1)地震の概要

平成30年6月18日7時58分、大阪府北部においてマグニチュード6.1の地震が発生し、大阪市北区、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市で震度6弱、大阪府、京都府、滋賀県、兵庫県、奈良県の一部市区町村で震度5弱以上を観測した。その後、同日9時30分までに震度1以上を観測した地震が12回発生した(震度2が4回、震度1が8回)。

大阪府北部地震
大阪府北部地震
(2)被害状況

地震による死者は6名、うち2名がブロック塀の崩落に巻き込まれて死亡した。住家被害については、大阪府を中心に全壊が21棟、半壊が454棟、一部破損が約5万7千棟であった。大阪市で3件、兵庫県尼崎市で4件の火災が発生したが、発生同日中に全て鎮火し、火災による死者はいなかった(消防庁情報、平成31年2月12日現在。参照:https://www.fdma.go.jp/disaster/info/2018/)。

ライフラインについては、最大で約17万戸(大阪府、兵庫県)が停電したものの、地震発生当日の午前中には復旧し、水道の断水等は翌日に解消した。ガスは大阪北部の4市(茨木市、高槻市、摂津市、吹田市)で最大約11万戸が一時供給停止されたが、1週間以内に全て復旧した。

地震により倒れたプールのブロック塀(大阪府高槻市立寿栄小学校)
地震により倒れたプールのブロック塀(大阪府高槻市立寿栄小学校)

なお、27ヶ所の避難所が開設され、避難者数は最大約2,700名(大阪府2,397名、京都府279名)となった(大阪府及び京都府災害対策本部資料に基づく内閣府情報、平成30年7月5日現在。参照:https://www.bousai.go.jp/updates/h30jishin_osaka/index.html)。

必要な部材料の供給が寸断されたこと等から、一時的に操業を中止する企業が相次ぎ、関西地方の企業活動に多大な影響を与えた。一方、企業の中には、阪神・淡路大震災等を契機に策定したBCP(事業継続計画)に基づき、対策チームを被災した仕入先に派遣し、復旧活動を支援した結果、翌日に工場操業を再開させた自動車製造会社がある等、事前に策定していたBCPが復旧に役立った事例がみられたことは、今後の災害に対しての良い教訓となった。

(3)政府等の対応と対策

政府は、平成30年6月18日に官邸対策室を設置し、「大阪府北部を震源とする地震に関する関係閣僚会議」を実施した。同月21日には安倍内閣総理大臣が高槻市の避難所など大阪府北部の被災地を訪問し、被災状況を確認した。

住宅被害が多かったことから、破損した屋根へのブルーシート展張のために自衛隊が90カ所で応急対策支援を行った。本災害では、大阪府の12市1町に災害救助法が、1市に被災者生活再建支援法が適用された(附属資料14-2「大阪府北部を震源とする地震」(附-24~25)参照)。

また、ブロック塀の倒壊事故を受け、文部科学省は、地震後直ちに大阪府等各教育委員会に対し、防災体制の強化を図り、児童生徒等及び施設の安全確保等に万全を期すよう要請し、翌19日に学校におけるブロック塀の安全点検等について取組を促す通知を全国の各教育委員会等に発出した。国土交通省は、同月21日に「ブロック塀の安全点検のチェックポイント」を公表し、地方公共団体に対し、塀の所有者等に向けた注意喚起の依頼等を行った。加えて、避難路沿道のブロック塀等について、建築物と同様に耐震診断を義務付けることができるよう、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」施行令の一部を改正し、平成31年1月に施行した。これに併せて、ブロック塀等の耐震診断や診断の結果、撤去等を行う場合の費用に対する支援について、平成30年度第2次補正予算に盛り込んだ。


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