1-5 災害遺構の活用
災害遺構等とは、過去に災害で被害にあった人達が、その災害からの教訓を将来に残したいと意図して残された構築物、自然物、記録、活動、情報等である。例えば、岩手県宮古市では、昭和三陸地震の津波被害の教訓を刻んだ石碑が建てられているが、この石碑より高い場所に住居を構えた住民は、東日本大震災の津波による建物被害を受けなかった。このように、過去の災害で残された災害遺構等を通じて得られる教訓を次世代に受け継いでいくことは、災害被害を軽減する上で重要なことである。また、災害遺構等は地域の身近なところに存在しているケースが多く、地域の災害を知る上でのきっかけとなるものである。
このため、内閣府では災害遺構等が身近にあるものであることを知り、それらを活用して災害の知識を学んでいただくため、平成27年度に災害遺構等の活用方法について検討する「「災害遺構」の収集及び活用に関する検討委員会」を設置し、災害遺構等の種類やそれらの活用状況について、調査し活用方法をまとめた。たとえば具体的な活用例としては、愛知県では、地域に存在する災害遺構等を「歴史地震記録に学ぶ防災・減災ガイド」というマップ形式でとりまとめ、地域を散策しながら災害遺構等を巡り、地域の過去の災害を学ぶことができるものである。
このように、災害遺構等は、気軽に知ることができることから、本検討委員会の検討結果をもとに、これらの活用を進めていくため、災害遺構等に係るサイトを設置し、活用の普及を図っていく。
一般社団法人防災ガールは、20~30歳代の女性が中心となり、同世代の女性や若者向けに防災を広める活動を行っている。若者は、災害時の共助を行う上で重要な担い手であるが、若者からは防災はダサい、面倒というイメージが持たれており、かつ防災への関心が低いと言われている。このため、おしゃれにわかりやすく防災を伝え、若者の防災意識を変えることを目指して活動に取り組んでいる。
その活動の一つとして、GPSを利用したスマートフォン用のゲームを使った次世代避難訓練「LUDUSOS(ルドゥオス)」がある。この訓練は、参加者が2つの陣営に分かれて指定された「一時避難場所」「帰宅困難者支援ステーション」など防災・災害に関する場所を制限時間内に回ってポイントを競うものである。また、ゲームの途中では、防災に関するクイズが出題されるなどし、楽しみながら避難行動を行う上で必要なことを学ぶことできるものとなっている。