特集「未来の防災」
第2節 身近な活動と防災の取組
2-2 情報や意思疎通の面からみた人々の活動
防災に関する取組を、一般の人々により一層広げるためには、身近な日常生活の延長上において取り組むのが有効であると考えられる。以下、内閣府は、防災に関する意識や活動をWEBアンケート方式による調査(「日常生活における防災に関する意識や活動についての調査(平成28年5月)」)を行った(以下、「防災意識等調査」という)。防災意識等調査を用い、一般の人々が情報へ接触するポイントや参加しやすい活動等を把握する。
(1) 情報との接触
防災に限らず、あらゆる取組を始めるためには、取組に関する情報と接触することが、最初に行う行動であろう。そこで、一般の人々が日常生活の中で情報をどのように入手しているのかについて把握した。
日常生活の中で何から情報を得ているのかを聞いたところ、「現在、最も利用している」情報との接触は、テレビ、ICT、口づてが多い(図表13)。ICTについては、現在、最も利用している人よりも「今後、最も利用したい」と思う人が多く、情報媒体として期待されていることがわかる。
次に年齢階層別に最も利用している情報媒体を把握する。
若年層になるほどICTが多く、高齢層になるほど新聞やチラシ等、自宅に配達される形式の紙媒体が多くなる(図表14)。また、ICTをさらに細分すると、15~24歳の層でSNSの利用が、他の年齢層に比較して突出した多くなっている(図表15)。
これは、若年層にはSNSでの情報発信が有効であることを示唆している。
(2) 意思疎通の相手
一般の人々が、家族以外で、日常的な意思疎通をする相手やグループを全て回答する設問を設けた(複数回答方式)。これにより、多少なりとも意思疎通をする相手やグループを把握できる。
結果は、職場等の日々の拘束行動、近所や趣味等の身近な人の割合が高い(図表16)ことがうかがえる。
次に、最も日常的に会話や意思疎通を行う相手やグループを聞いた(選択肢は1つのみを選ぶ)。
結果は、54歳以下の層では3割以上の人が学校や職場・アルバイト・パート先の人と最も意思疎通等を行っている(図表17。以下同じ。)。
他に、特徴的な結果は、55歳以上は地域の人との意思疎通が多くなる、いわゆるママ友等と答えた層は25歳~44歳が多い、趣味のグループやサークルの人との意思疎通は、15歳~24歳の層が約1割であり、30歳~49歳の層で低下した後、55歳以上の層で再び上昇し、65歳以上の層で1割を超える。
次に、多少なりとも意思疎通のあるグループについてそれぞれを年齢階層別に見る。これは意思疎通のあるグループを複数回答で調査したものである。
全体的な傾向は、前ページと同じであるが、職場等の拘束行動のグループ以外、趣味、いわゆるママ友等、近所の人との意思疎通が、最も意思疎通のある対象を調べた単数回答に比べると、多くなる(図表18)。仕事等の拘束される活動以外の付き合いの幅が広がっていることが見て取れる。