特集「未来の防災」
第2節 身近な活動と防災の取組
2-1 時間の面から見た人々の活動
国民の防災意識の向上、避難行動の定着等を図るためには、適時適切な国民への働きかけが必要である。働きかけるタイミングや防災に関する取組を追加的に行える活動を探るため、「2015年国民生活時間調査(NHK放送文化研究所世論調査部)」(以下、「生活時間調査」という。)により国民の活動を分析した。
生活時間調査では、睡眠、食事等の必需行動、仕事、買い物(家事)、授業等の拘束行動、会話、スポーツ、テレビ視聴、休息等の自由行動を29の行動に分類して「活動時間」を把握している。この調査では、活動を行った時間だけでなく、その活動を少し(15分)でも行ったかも集計しており、「行為者率」としている。そのため、時間は短くても行う活動を把握できる。
(1) 活動時間
活動時間としては「仕事」が長い。また、「レジャー活動」の活動時間は短いが、行為者率は高い。平日にレジャーに使う時間は短いが、行為として行う人の率が高いことが見て取れる(図表9、図表10)。
国民の防災行動への参画のためには、事業所への防災の呼びかけや、趣味のサークルの接触率の高い媒体に特集記事を掲載する等、仕事中やレジャー中に防災意識の向上に資する媒体に接触できるよう働きかけることが、効果が高いことが想定できる。
(2) 年齢階層別の活動時間
活動時間では、平日の主な行動について、「仕事」に着目すると「30~50代」の時間が長い。「レジャー活動」に着目すると、「30~50代」と比較して、「10~20代」と「60代以上」の時間が長い。土・日については、「レジャー活動」の時間が、「10~20代」で特に長くなる。また、「子どもの世話」が他の年代と比較して「30~50代」で長くなる(図表11)。
行為者率でも同様に、平日の主な行動について、「仕事」に着目すると「30~50代」の割合が高い。「レジャー活動」に着目すると、「30~50代」と比較して、「10~20代」と「60代以上」の割合が高い(図表12)。
「30~50代」は仕事を行っている際に、「10~20代」と「60代以上」はレジャー活動を行っている際に、防災に関する呼びかけを行うことにより、幅広く接触できる可能性がある。