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平成27年版 防災白書|特集 第3章 第2節 2-3 国際復興支援プラットフォーム(IRP)


2-3 国際復興支援プラットフォーム(IRP)

2005年の第2回国連防災世界会議の際には、開催地である兵庫県の阪神・淡路大震災からの復興の取組も活かし、災害後の復興に関する様々な知見を集約・発信する国際復興支援プラットフォーム(IRP:International Recovery Platform)を立ち上げた。

これを踏まえて、2005年5月、我が国をはじめUNDP、ISDR、OCHA、国際労働機関(ILO)、アジア防災センター、世界銀行、国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)等の機関の連携により、災害後の復興に関する様々な知見を集約・発信する国際支援の枠組であるIRPの活動を展開していくことが確認され、兵庫県がHAT神戸(神戸東部新都心)に活動の拠点を提供し、兵庫行動枠組に基づく国際的な復興支援の活動が開始された。

IRPは、被災後の円滑な復興を支援するためのネットワークと枠組の充実を図ること、復興に関する教訓の発信や復興に向けた共通手法・仕組みを開発すること、被災後の復興計画・構想策定に助言や支援を行うこと、より長期の開発計画と確実に連携しながら各国の復興への対応力を高めることなどを目的に活動を行っており、年1回の国際復興フォーラムの開催や復興ガイダンスノートの作成、人材育成ワークショップの実施等に取り組んでいる。

平成27年(2015年)1月には、兵庫県神戸市において11回目となる国際復興フォーラムが開催され、「世界各地から防災の英知が兵庫に集結、大規模災害からの復興を語る」をテーマに、36か国、27機関、179名の防災関係者が活発な意見交換等を行った。

我が国は、平成26年度において、IRPの活動を支援する経費として、国連ISDRへの拠出金を通じて支援しているほか、国際復興フォーラム開催経費を支援している。(平成26年度:国連拠出金からの支援22.5万ドル、国際復興フォーラム開催経費約750万円)

今後は、「仙台防災枠組」に明確に位置づけられた「より良い復興」を世界各地で推進していくために、優良事例の発信や類型化、これまでの蓄積を生かした助言や支援の活動を強化していくこと、また、そのための体制整備が課題となっている。

「より良い復興(ビルド・バック・ベター)」とは

「より良い復興」(ビルド・バック・ベター)とは、災害の発生後の復興段階において、次の災害発生に備えて、より災害に対して強靱な地域づくりを行うという考え方である。潜在的な災害リスクを削減するには、できるだけ災害リスクの低いところに住宅を作ることや、都市の構造そのものを強靱にしていく必要がある。災害からの復興段階は、災害から得た教訓を生かし、被災後は、土地利用や構造的な対応など抜本的な対策を取るチャンスでもある。

我が国ではその自然的な条件から多くの災害に見舞われているが、その度に同じような災害に遭わないような対策を講じており、「より良い復興」の考え方を古くから実践してきた。その具体的な最近の事例を以下に2例紹介する。

1995年に発生した阪神・淡路大震災は、人口集中地域で発生した直下型の地震であり、全壊した住宅だけでも10万棟を超える被害が発生した。しかしながら、震災後、関係者の懸命の取組により、建物の耐震化など震災に強いまちづくりが行われており、また、これを契機に、全国的に住宅や公共施設の耐震改修が進んでいる。

また、2011年に発生した東日本大震災の被災地では、一例として、宮城県震災復興計画の理念において、「災害に強く安心して暮らせるまちづくり」や「『復旧』にとどまらない抜本的な『再構築』」、「壊滅的な被害からの復興モデルの構築」などが挙げられており、高台への集団移転や防潮堤の嵩上げ、防潮堤の整備と併せ内陸部の幹線道路にも堤防機能を付与する等の多重防御などの取組が行われている。

こうした「より良い復興」の考え方は、2013年にフィリピンに甚大な被害をもたらした台風ハイエンからの復旧・復興でも活かされている。日本政府は、フィリピン政府に対し、ハザードマップの策定、土地利用計画や災害に強い街づくり等の中長期的な計画立案を支援した。また、沿岸部の公的建造物については、平常時は1階を日陰のある運動場・集会所として利用し、災害時には2階を避難所として活用する計画となっている。これらの日本の支援を受け、フィリピン政府の復興計画書の表紙には、「Build Back Better」の文字が明確に記載されている。日本発の「より良い復興」の取組が世界にも広がっている。

阪神・淡路大震災後、街の安全性を向上させながら創造的な復興を遂げる(写真提供:神戸市)阪神・淡路大震災後、街の安全性を向上させながら創造的な復興を遂げる(写真提供:神戸市)
「津波被害に脆弱な地域を高台に移転させるイメージ」資料提供:復興庁「津波被害に脆弱な地域を高台に移転させるイメージ」資料提供:復興庁
コラム:第7回世界水フォーラム

2015年4月12日から17日、韓国大邱市・慶州市において第7回世界水フォーラムが開催された。世界水フォーラムは、フランスに本部がある世界水会議とホスト国が主催する世界最大級の水に関する国際会議であり、2003年の第3回は京都・滋賀・大阪で開催されている。今回は、「Water for our future」をテーマとして、168カ国から4万人以上の参加のもと、水災害対策を含め、水に関する様々な課題について集中的な議論がなされた。日本からは、太田昭宏国土交通大臣が閣僚級円卓会議「統合水資源管理」の議長を務め、高橋ひなこ環境大臣政務官が閣僚級円卓会議「持続可能な水管理と生態系の保全」において発表を行った。

12日に開催された水と災害に関する特別セッション(主催:HELP(注))においては、「人々の水への想いをかなえる-科学技術を通じた水と人の関わり」と題した皇太子殿下のビデオメッセージによるご講演が行われた。また、同セッションでは、ハン・スンス防災と水に関する国連事務総長特使をはじめ、閣僚、国際機関代表等の参加者により、水災害対策の世界的な取組推進の必要性が議論されるとともに、各国の大災害対応の教訓を取りまとめた「水政策ジャーナル特別版」(../../../../tolink/out45.html(別ウィンドウで表示))が発表された。

閣僚会議で採択された閣僚宣言においては、ポスト2015年開発アジェンダに水に関する目標を含めることへの支持や、第3回国連防災世界会議の成果を踏まえ、水災害への備えや強靱性を強化すること等が強調された。


* HELP(水と災害ハイレベル・パネル High-level Experts and Leaders Panel on Waterand Disasters):水災害の削減に向けて各国・国際機関が強調して活動する国連の体制づくりを目指し、2013年6月に設立された国際パネル。水災害分野をリードする各国閣僚級、国連機関の代表等から構成(../../../../tolink/out46.html(別ウィンドウで表示))。

水と災害に関する特別セッションにおける皇太子殿下のビデオメッセージ(宮内庁HPより)水と災害に関する特別セッションにおける皇太子殿下のビデオメッセージ(宮内庁HPより)

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