平成26年版 防災白書|第2部 第2章 2 2-2 地震災害対策一般の研究


2-2 地震災害対策一般の研究

(1)実大三次元震動破壊実験施設を活用した耐震実験研究

独立行政法人防災科学技術研究所においては、世界最大の実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)を活用し、各種構造物等の破壊過程や耐震性能・余裕度評価に関するデータの取得・蓄積を行うとともに、構造物の耐震補強技術や免制震技術等の研究開発及び構造物崩壊シミュレーション技術の開発を推進した。特に、平成24年度においては、長周期・長時間地震動を再現するための機能強化を実施した。

(2)東北地方太平洋沖地震による被災対応の研究

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構においては、東北地方太平洋沖地震の発生直後から、地震により被災したため池・ダム・農業用排水路等の農業水利施設について緊急の調査を実施し被災状況を把握するとともに、被災したため池堤体の破壊機構の解明等の研究を行った。

(3)東北地方太平洋沖地震による津波被災対応の研究

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構においては、東北地方太平洋沖地震の発生直後から、沿岸域における津波により被災した農地海岸堤防、農業用排水機場及び用排水路、農地について緊急の調査を実施し被災状況を把握するとともに、農地の除塩技術や地域復興計画の策定手法の開発等に関する研究を行った。

(4)強震観測

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、土木構造物の合理的な耐震設計法を確立するため、強震観測網の維持管理並びに地震動の観測及び解析を継続した。

(平成24年度決算額 12百万円)

(5)外装材の耐震安全性の評価手法・基準に関する研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、東日本大震災から過去約20年間に発生した大地震におけるRC造建物外装材の被害について文献等調査を行い整理した。また、阪神淡路大震災ならびに東日本大震災において外壁の応急危険度判定にあたった調査者に対してアンケートおよびヒアリング調査を実施し、外壁診断に関する応急危険度判定の実情と問題点について整理した。さらに、地震被害が多く見られたRC造建物のタイル外壁を対象として耐震性能評価のため、タイル仕上げ材料および構法に関する材料性能試験を実施し、特性について整理した。

(平成24年度決算額 15百万円)

(6)土木構造物の耐震設計技術に関する研究

独立行政法人土木研究所においては、地震により被災した基礎の被災メカニズムの評価、鉄筋コンクリート橋脚の地震限界状態の評価手法の提案、地盤変状の影響を受けた橋の被災の検証及び被災要因の分析、実山岳トンネルの地震時挙動の計測による被害発生メカニズムの解明、統計分析による道路盛土の被害要因の分析、河川堤防の耐震診断技術の開発、再開発ダムや新形式ダムを含めたダムの地震時挙動特性の分析、液状化の発生及び評価に及ぼす要因分析等に関する研究を行った。

(7)土木構造物の耐震補強技術に関する研究

独立行政法人土木研究所においては、耐震補強で目標とする性能に応じた限界状態の設定と補強対策案の提案、トンネルにおける耐震対策の効果に関するメカニズムの解明、盛土の耐震診断・耐震補強法技術の開発、河川堤防の耐震補強技術の開発等に関する研究を行った。

(8)北海道における橋梁等の耐震設計法及び施工法に関する研究

独立行政法人土木研究所においては、北海道の特殊土地盤における地震による構造物被害等の災害を防止するため、地震動の特性に関する研究及び地震時における基礎構造の安定に関する研究を行った。

(9)港湾・海岸及び空港土木施設の地震災害防止に関する研究

独立行政法人港湾空港技術研究所においては、港湾地域及び空港における強震観測の実施、東北地方太平洋沖地震のような長継続時間の地震動作用時の液状化特性把握に基づく判定手法の提案、杭式構造物の耐震性能評価手法と補強方法の提案等、地震災害の防止・軽減に関する研究を行った。

(10)災害対応を改善する津波浸水想定システムに関する研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、最新の防潮堤等の耐震化進捗状況を反映し、津波警報で予測される津波波高に対応する津波浸水の範囲・深さを迅速に想定できる「津波浸水データベース」の構築のため、津波浸水計算プログラムを開発した上で、津波浸水データベースを試作した。

(平成24年度決算額 16百万円)

(11)大規模広域型地震被害の即時推測技術に関する研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、強震記録を地震発生直後に自動的に統合処理し地震動分布を推定、表示する地震動分布即時推定システムの試作を行った。東日本大震災を含む過去の地震で発生した河川堤防と道路盛土の被災事例を収集し、被災しやすい構造的要因や被災度と地震動強さとの関係を分析した。被災事例が少ないケースを中心に簡易な数値解析を多数実施し、これらの結果をもとに、各施設の被害推測手法の素案を作成した。

(平成24年度決算額 12百万円)

(12)巨大地震等に対する建築物の安全性向上技術に関する研究開発

独立行政法人建築研究所においては、長周期地震動に対する超高層建築物等の安全性評価手法の確立など、巨大地震による建築物の被害抑制方策に関する研究を行った。さらに、構造計算における工学的判断基準の明確化に関する研究を行った。

(13)沿岸都市の防災構造化支援技術に関する研究

国土交通省国土技術政策総合研究所においては、沿岸地域の都市における巨大地震時の住民の津波からの迅速な避難、津波被災時の都市防災拠点機能の維持、宅地液状化の防止に関して、防災まちづくりの充実・防災構造化の進展を図るため、計画策定や支援の充実に当たって拠り所となる技術的な指針・基準類や計画手法を検討している。津波避難シミューレータの開発や防災拠点機能のリダンダンシー確保手法、液状化対策に関する数値基準の整備に向けた調査・開発を実施した。

(平成24年度決算額 14百万円)


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