次頁 1-2 防災施設設備の整備
（1）中央防災無線網の整備
内閣府においては，官邸等国の主要拠点，指定行政機関，指定公共機関及び地方公共団体間の通信を確保するため，中央防災無線網を整備している。平成24年度も引き続き，通信の安定的な運用のための適切な措置を講ずるとともに，首都直下地震対策として立川地区の通信設備の改修，衛星通信設備の更新，現地災害対策本部用衛星通信設備の地方配備等を推進する。
（2）災害に強い地域づくりの推進
内閣府においては，災害により，道路の寸断や通信の途絶による孤立集落が発生した際，救命救助活動の大きな障害となることから，既存の地上系の通信システムを補完するために，衛星系の通信システムとして，衛星携帯電話等の整備に対して支援を行う。
（3）災害警備活動用資機材の整備
警察庁においては，都道府県警察の災害警備活動に必要な資機材としてヘリコプターの整備を行うとともに，警察施設の耐震化等による防災機能の強化等を図る。
（4）防災基盤整備事業の推進
総務省及び消防庁においては，災害等に強い安全安心なまちづくりを進めるため，防災基盤整備事業として地方財政措置を講じることにより，地方公共団体が行う防災施設整備，消防防災の情報化等の重点的な防災基盤の整備を推進する。
（5）NHKにおける非常用電源設備の整備
NHKにおいては，大規模災害における電波の安定確保のため，放送局の非常用電源設備の整備を図る。
（6）電気通信網の確保等
NTTグループ各社においては，伝送路の多ルート化，通信センターの分散，災害に強い通信設備の構築等による災害に強く信頼性の高い通信網の構築や，各種災害対策機器の配備強化等による重要通信の確保，早期復旧対策の充実を引き続き実施し，安定した電気通信サービスの提供に努めるとともに，円滑かつ適切な災害対策を遂行できるよう十分な連携協力を行う。また，大規模災害等発生時の通信輻輳時においても，被災地との円滑な安否確認等に利用できる「災害用伝言ダイヤル（171）」，「災害用伝言板」，「災害用ブロードバンド伝言板（web171）」及び「災害用音声お届けサービス」の社会への一層の定着を推進する。
KDDI株式会社においては，伝送路の多ルート化，通信設備の二重化の増強及び電源設備等の信頼性強化を実施するとともに，重要通信の確保，早期復旧対策の充実，非常災害対策機器の配備強化を引き続き実施し，安定した電気通信サービスの提供の確保に努める。また，大規模災害等発生時の通信輻輳時においても，被災地との円滑な安否確認等に利用できる「災害用伝言板」の社会への一層の定着を推進する。
（7）災害対策用移動通信機器の配備
総務省においては，地震等の非常災害時に，被災地方公共団体等から被災地の通信手段確保として，災害対策用移動通信機器の貸付要望があった際に速やかに対応できるよう，備蓄庫を設け，移動無線機を被災地へ搬入できるよう引き続き体制を整備する。
（8）政府情報システム分散拠点整備
総務省においては，首都圏における大規模災害に備え，政府の情報システムの運営・バックアップの拠点分散を行うため，既存の国有財産等を有効活用し，首都圏外に政府共通プラットフォームの運営拠点を別途整備する。
（9）消防防災無線通信設備の整備
消防庁においては，災害時における国・都道府県・市町村相互間における情報の収集伝達の確実化及び迅速化を推進するため，全国的な消防防災通信ネットワークの整備等，機能の高度化に努める。
（10）緊急消防援助隊関係施設及び資機材の整備
消防庁においては，東海地震，東南海・南海地震及び首都直下地震等の大規模災害への対応力を国として強化するため，緊急消防援助隊を計画的に増強整備し，より効果的な活動体制を構築するために，消防用車両や消防救急デジタル無線等の整備について，地方公共団体に対し補助を行う。
（11）消防防災施設の整備
消防庁においては，地震等の大規模災害や特殊災害，増加する救急需要等に適切に対応し，住民生活の安全・安心を確保するため，消防防災施設の整備について，市町村等に対し補助を行う。
（12）救助消防ヘリコプターの整備
消防庁においては，大規模災害時における，広域的な情報収集と迅速な災害実態把握を行うため，ヘリコプターを国が取得し，地方公共団体に配備する。
（13）文化財の防災施設等の整備
文化庁においては，文化財の防災対策のための設備整備等に対し，補助を行う。
（14）NBCテロ災害対応資機材の維持管理
消防庁においては，特別高度救助隊等の資機材（特別高度工作車，大型除染システム車，大型ブロアー搭載車及びウォーターカッター搭載車），NBCテロ災害対応資機材の維持管理を行う。
（15）NBCテロ災害対応資機材の整備
消防庁においては，緊急消防援助隊のNBC災害対応資機材を充実させ，NBCテロ災害に対する全国的な対応力の強化を図るため，テロ災害対応資機材を全国の主要な都市に配備する。
（16）災害拠点病院の整備
厚生労働省においては，災害拠点病院の整備について補助を行う。
（17）広域災害・救急医療情報システムの整備
厚生労働省においては，都道府県が既存の救急医療情報センター事業を再編強化し，災害時において医療機関の稼動状況，医師・看護師等スタッフの状況，災害派遣医療チーム（DMAT）等災害医療にかかる総合的な情報収集を行うため，厚生労働省，保健所，消防本部，病院等とのネットワーク化を図るための整備について補助等を行う。
（18）社会福祉施設の整備
厚生労働省においては，障害福祉施設等における防災対策上必要な施設整備に対する補助を行う。
また，厚生労働省においては，地域密着型の特別養護老人ホーム等における防災対策上必要な施設整備に対する補助を行う。（なお，政令指定都市分については，平成24年度より一括交付金化され，「地域自主戦略交付金」（内閣府所管）により対応。）
さらに，厚生労働省においては，児童福祉施設等における防災対策上必要な施設整備に対する補助を行う。
（19）農林水産省における情報収集・伝達体制の整備
農林水産省においては，災害に備えた確実な情報体制を確保するため，本省と各地方農政局等とを結んだ衛星通信施設等の整備を図る。
（20）漁港漁村の防災対策施設の整備
農林水産省においては，地震，津波，高潮等の災害発生時において，居住者や漁港就労者，来訪者の安全を確保するとともに，漁港や荷捌きの機能を維持する観点から，災害に強い漁業地域づくりガイドラインの普及を図る。加えて，複数集落が連携した防災関連施設等の整備を始め，堤防等の海岸保全施設や避難路の整備，漁港・荷捌き施設の耐震化等を図り，漁業地域の防災対策を推進する。
（21）農山村の防災機能強化の促進（防火・防災対策林道整備）
防火及び消火活動の円滑な実施に資する林道を整備する事業について助成を行う。
（22）緊急時の農業水利施設の活用
農林水産省においては，農業水利施設から緊急時の消防用水及び生活用水の取水を可能とするための防火水槽，吸水枡，給水栓等の施設整備を行う。
（23）被災宅地危険度判定制度の整備
国土交通省においては，宅地が大規模かつ広範囲に被災した場合に，被害の発生状況を迅速かつ的確に把握し，危険度判定を実施することにより二次災害の軽減・防止を図る被災宅地危険度判定制度について，引き続き，危険度判定を行うための実施体制の整備支援を推進する。
（24）河川・道路管理用無線通信設備等の整備
国土交通省においては，電話，河川情報，道路情報，レーダ雨量データ，CCTV映像やテレビ会議等の河川管理，道路管理，災害対応に必要な情報を流通させるための通信基盤となる光ファイバネットワークと多重無線通信網をシームレスに接続するIP統合通信網の整備を引き続き実施すると共に，平成24年度には東日本大震災等に対応した地震対策及び津波対策を実施する。また，河川・道路管理用の次期移動体通信システムと衛星通信システムの導入に向けた検討を実施する。
（25）宅地防災工事資金の融資
独立行政法人住宅金融支援機構等においては，宅地防災工事に対する融資により，「宅地造成等規制法」，「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」又は「建築基準法」による勧告又は命令を受けて擁壁又は排水施設の設置等を行う宅地防災工事を支援する。
（26）気象観測施設の整備等
気象庁においては，台風，豪雨，豪雪等の自然現象による災害の防止・軽減を図るとともに，国際協力を行うため，次のとおり台風・集中豪雨雪監視体制の整備を行う。
・静止地球環境観測衛星の整備
・地上気象観測装置の整備
・レーダー観測所処理装置の更新
・局地的降水予測システムの整備
（27）巡視船艇の整備等
海上保安庁においては，巡視船艇・航空機の整備，電子海図システムの整備及び航路標識の整備を行う。
（28）海上防災体制の整備
海上保安庁においては，油，有害液体物質等排出事故に対応するための防災資機材の充実，巡視船艇・航空機等により，迅速的確に対処しうる体制の確保を図る。