(3)人の命を大切にする避難対策


(3)人の命を大切にする避難対策

東日本大震災では,地震発生後,避難しなかったり,避難後再度戻ったことにより亡くなった方や避難所に逃げる途中に亡くなった方がいる。この中には,日頃からの防災教育や過去の災害から得られた教訓がしっかりと伝わっていれば,迅速な避難行動が取られたであろう場合や,津波警報等の情報が円滑に住民等に伝わっていれば被害を防げた場合があったと考えられる。また,避難に時間を要する高齢者,障害者等の要援護者への対応が十分に取られていれば助かった場合があったと思われる。

一方で,指定避難場所に避難したものの,そこで津波に巻き込まれて犠牲になった方もおり,安全な避難場所が確保されていれば助かっていた場合もあったと思われる。また,避難所に避難したものの,避難所の避難生活環境が十分でなかったため亡くなった方もいた。

これらの教訓を踏まえると,津波から人の命を守るという観点に立った徹底した避難対策の確立が必要である。

<1> 津波避難の在り方の見直し

津波避難の在り方について,情報と避難行動の関係,情報伝達手段とその在り方,自動車での避難の在り方,津波からできるだけ短時間で円滑に避難ができる方策等について具体的な検討を行い,法的整備も含め,避難の在り方について見直しを行う必要がある。さらに,災害時の要援護者の避難を安全に配慮しつつ円滑化する方策について検討する必要がある。また,避難行動を取ることについての防災教育の強化や伝承や教訓等を他地域にも発信し,共有できるように努める必要がある。

<2> 安全な避難場所等の確保

避難場所については,津波等に対して安全な場所を指定することは当然のことである。

現在,避難場所について,法令上明確な位置付けは行われていないが,これについて,一時的に難を逃れる場所としての機能と長期にわたって居住空間を提供する場所としての機能を峻別したうえで,前者について,その安全基準の確立とそのための仕組みの整備を早急に行うべきである。


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