(2)帰還復興に向けた取組


(2)帰還,復興に向けた取組

<1> モニタリングの実施

東京電力福島第一原子力発電所の事故により環境中に大量の放射性物質が放出され,国民の健康への影響等が懸念されることから,事故発生当初から,関係府省庁や福島県,原子力事業者等が連携して,空間線量や土壌等の放射線モニタリングを継続的に実施してきた。

さらに,平成23年8月以降は,関係府省庁や福島県,原子力事業者等で構成されるモニタリング調整会議において決定された「総合モニタリング計画」(平成23年8月決定,平成24年3月及び4月改訂)に沿って,各府省庁や福島県をはじめとする関係機関間の連携を強化しながら,放射線モニタリングを実施している(参照:図表1-1-25)。また,放射線モニタリング情報のポータルサイト(URL: http://radioactivity.mext.go.jp/ja/別ウインドウで開きます (別ウィンドウ))において,各府省庁等が実施したモニタリングの結果を一元的に情報提供している。

図表1-1-25 総合モニタリング計画(平成24年4月1日最終改定)に沿った主要なモニタリング 図表1-1-25 総合モニタリング計画(平成24年4月1日最終改定)に沿った主要なモニタリングの図表

<2> 除染の実施

東日本大震災に伴う原子力発電所の事故によって放出された放射性物質による環境の汚染が生じており,これによる人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することが喫緊の課題となっている。

こうした状況を踏まえ,平成23年8月30日に「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(以下「放射性物質汚染対処特措法」という。)が公布された。

11月11日には「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針」が閣議決定され,環境の汚染の状況についての監視・測定,事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理,土壌等の除染等の措置等に係る考え方が取りまとめられた。これに基づき,事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減するため,放射性物質による汚染の除去等の取組を進めることとされた。

除染の実施に当たり,11月以降,警戒区域や計画的避難区域等において,除染の効果的な実施のために必要となる技術の実証実験等のため,除染モデル実証事業を実施し,その成果を平成24年3月に報告した。また,12月以降は,除染活動の拠点となる施設(役場,公民館等)や,除染を行う地域にアクセスする道路及び除染に必要な水等を供給するインフラ施設を対象に,先行的に,自衛隊等による除染を実施している。

加えて,環境省においては,「放射性物質汚染対処特措法」の全面施行に伴い,福島県等における除染や汚染廃棄物処理を推進するために福島環境再生事務所を開所し,体制を整備した。福島県及び環境省では,除染等に関する専門家を市町村等の要請に応じて派遣するとともに,除染のボランティア活動等の関連情報の収集・発信のための拠点として,国,福島県,関係機関,関係団体等の連携を図る除染情報プラザを設置した。

民家の軒下・雨樋の清掃 民家の軒下・雨樋の清掃の写真
側溝の汚泥の除去 (提供)福島市 側溝の汚泥の除去 (提供)福島市の写真
草木の刈り取り (提供)伊達市 草木の刈り取り (提供)伊達市の写真 出典:環境省資料

<3> 復興に向けた取組

避難指示区域においては,避難指示が解除された後に住民が安全・安心に帰還できる環境を早期に整備するため,必要な道路,水道,下水道等の公共インフラの早期復旧も重要な課題である。

このため,比較的線量の低い地域においては,災害復旧事業を迅速に進めるとともに,線量の高い地域においても広域の地域経済社会の復興のために地元地方公共団体等から早期復旧を強く要望される施設に係る現況把握等と復旧に向けた取組を行っている。

特に,避難指示区域の基軸交通インフラとなる常磐道については,低線量地域における復旧・建設工事を進めつつ,関係府省庁において高線量地域における除染等の措置や復旧・建設の方策を検討している。

また,下水汚泥・し尿・ごみ等の広域処理施設については,稼働可能施設における稼働時間の延長や暫定的な処理に加え,避難指示区域の近隣地方公共団体等の施設の協力を得て,処理を実施している。

あわせて,津波・地震により被災したり,高線量であるため稼働不能な広域処理施設についても,復旧に向けた検討を進めている。このほか,政府は原発事故避難者(帰還できない場合及び帰還しない場合を含む)の帰還や生活再建のための支援に取り組んでいくこととしている。

<4> 「福島復興再生特別措置法」

原子力災害により深刻かつ多大な被害を受けた福島の復興及び再生について,その置かれた特殊な諸事情とこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任を踏まえて行われるべきものであることに鑑み,原子力災害からの福島の復興及び再生の基本となる福島復興再生基本方針の策定,避難解除等区域の復興及び再生のための特別の措置,原子力災害からの産業の復興及び再生のための特別の措置,新たな産業の創出等に寄与する取組の重点的な推進,福島の復興及び再生に関する施策の推進のために必要な措置等を内容とする「福島復興再生特別措置法」が平成24年3月30日に国会で成立し,翌日,公布・施行されたところであり,政府は,同法に基づき,福島の復興・再生のための総合的な対策を策定し,実施しているところである。


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