(1)警戒区域避難指示区域等の推移


(1)警戒区域,避難指示区域等の推移

<1> 緊急時避難準備区域の解除

原子力災害対策本部は,東京電力福島第一原子力発電所から半径20kmから30km圏内のうち,緊急時における避難等の対応が求められる可能性が否定できない地域として設定した緊急時避難準備区域について,原子力発電所の安全性評価,区域内における放射線量の詳細なモニタリングの結果,公的サービス・インフラ等の復旧のめどが立った時点で,同区域を解除する方針を決定した(平成23年8月9日)。

当該方針に基づき,関係市町村においては,住民の意向を十分に踏まえるとともに県と連携し,住民の円滑な移転支援,学校,医療施設等の公的サービスの再開,公的インフラの復旧,学校グラウンド・園庭等の除染を含む,市町村の実情に応じた「復旧計画」の策定を開始し,当該計画の策定が完了した段階で,緊急時避難準備区域を一括して解除することを原子力災害対策本部で決定し,関係市町村に指示した(9月30日)。

<2> 警戒区域,避難指示区域の見直し

原子力災害対策本部は,東京電力福島第一原子力発電所の事故収束の状況や放射線被ばくの危険性の低下を踏まえ,警戒区域(原子力発電所から半径20kmの区域)については,インフラ等の安全確認・応急復旧を行うとともに,防災・防犯対策等について関係者間で十分に調整を図った上で,段階的に解除する方針を決定した。

また,避難指示区域(原子力発電所から半径20kmの区域及び同半径20km以遠の計画的避難区域)については,関係者と協議した上で,放射線量を基準として,以下の三つの区域に見直しをすることを決定した(12月26日)。

ア 避難指示解除準備区域

避難指示解除準備区域とは,避難指示区域のうち,年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認された区域である。同区域は,引き続き避難指示は継続されることとなるが,除染,インフラ復旧,雇用対策等の復旧・復興のための支援策を迅速に実施し,住民の一日でも早い帰還を目指す区域である。

イ 居住制限区域

避難指示区域のうち,年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり,住民の被ばく線量を低減する観点から引き続き避難を継続することを求める区域である。同区域においては,将来的に住民が帰還し,コミュニティを再建することを目指し,除染やインフラ復旧等を計画的に実施する。

ウ 帰還困難区域

帰還困難区域とは,避難指示区域のうち,5年間を経過してもなお,年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある,現時点で年間積算線量が50ミリシーベルト超の区域である。同区域は将来にわたって居住を制限することを原則とし,同区域の設定は5年間固定する。


当該方針に基づき,原子力災害対策本部長は,避難指示区域等の見直しにかかる協議が整った川内村,田村市及び南相馬市について,警戒区域及び避難指示区域の見直しを行うことを決定し,関係市町村に指示した(平成24年3月30日)。

この決定を踏まえ,平成24年4月1日午前0時に,川内村は警戒区域を解除し,現行の避難指示区域を居住制限区域及び避難指示解除準備区域に見直し,田村市は警戒区域を解除し,現行の避難指示区域を避難指示解除準備区域に見直しを行った。また,南相馬市は,対象となる区域が広域であることや人口が多いことから,必要な準備期間を考慮し,4月16日午前0時に警戒区域を解除し,現行の避難指示区域を帰還困難区域,居住制限区域及び避難指示解除準備区域に見直しを行った。

図表1-1-23 警戒区域と避難指示区域の概念図(平成24年6月1日時点) 図表1-1-23 警戒区域と避難指示区域の概念図(平成24年6月1日時点)の図表

<3> 一時立入りの実施

避難区域内の被災者は,事故発生時に緊急に避難したため,必要な物資を持ち出せなかった者が大半であり,自宅への一時立入りの強い要望があった。このため,対象市町村(大熊町,葛尾村,川内村,田村市,富岡町,浪江町,楢葉町,双葉町及び南相馬市)それぞれの対象者数見込みや準備状況を勘案し,地方公共団体や警察等の協力の下,第1巡目として平成23年5月10日から9月9日まで,第2巡目として9月19日から12月24日まで,第3巡目として平成24年1月29日から4月22日まで一時立入りを実施した。第1巡目から第3巡目の一時立入りの実績は下図表1-1-24のとおりである。

図表1-1-24 一時立入りの実績 図表1-1-24 一時立入りの実績の図表

第1巡目では,1世帯あたり原則1人での送迎バスによる立ち入りとし,また,持ち出し品は大きさ70センチ×70センチ程度の1枚の袋に入る量に限られており,区域内の滞在時間も放射線量等も考慮して,約2時間とする等の措置をとった。

第2巡目では,住民からの要望等を踏まえ,バス方式と併せて,マイカーによる一時立入りを実施した。立入りの人数の上限も立ち入る車の定員とし,持ち出せる荷物も車に積めるだけ持ち出せることとした。立入時間についても4時間以内(一部は5時間以内)に拡大した。これらにより,住民の利便性は向上した。

第3巡目では,マイカーによる一時立入りにおいて,住民が車から降りることなく受付ができるドライブスルー方式を導入した。さらに,自宅以外の場所への一時立入り(墓参りのための立入り等)や引っ越し業者等の帯同も認めた。

平成24年5月から開始された第4巡目は,更なる利便性の向上を目指し,3巡目までは市町村が行っていた立入日程調整を,新規に設置したコールセンターが行うこととし,立入当日における受付ではバーコードシステムにより立入者を管理する方式を導入した。

一時立入り時の車両誘導の様子 一時立入り時の車両誘導の様子の写真 出典:内閣府資料

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