第4章 今後の取組について
今回の災害は,従来の政府の想定を超える極めて巨大な自然災害であり,被災地が非常に広範囲に及ぶとともに,被害は極めて激甚なものとなっている。このため,災害への対応は難易度が高く,かつ,長期間に及んでいる。
当面の最大の課題は,被災者の生活環境の改善等による被災地の生活平常化,インフラ等の復旧,さらには,緒についたばかりではあるが,被災地の復興等であり,それに向け,これまで述べてきた取組の一層の強化が望まれるところである。
1 被災地における生活の平常化に向けた取組
すでに災害の発生から約2ヶ月半以上が経つが,引き続き大勢の被災者が不自由な避難生活を余儀なくされている。大変なストレスを感じながら頑張っている被災者の命を守り,その生活を改善してゆくことが政府として最優先の課題である。長引く避難生活の中で,避難所での梅雨期の対策や夏期の暑さへの対策にも留意する必要がある。
このため,平成23年5月20日,本格的な復興の取組段階に至るまでの,当面3ヶ月程度の間に,被災地における生活の平常化に向けて,被災者や市町村・県の取組を支援するために国が取り組んでいくべき施策を取りまとめた「東日本大震災に係る被災地における生活の平常化に向けた当面の取組方針」が緊急災害対策本部において決定された。その主な内容は次の通りである。
(1)避難所等の生活環境の向上
避難所に避難されている被災者及び在宅被災者の生活環境を改善。特に,著しく厳しい環境となっている避難所を重点的に改善するため,県・市町村を支援。必要な情報の提供と各種相談を実施。
(2)居住の支援
応急仮設住宅の建設促進,国家公務員宿舎・公営住宅等,民間賃貸住宅の活用等を進め,応急仮設住宅等への一刻も早い入居を支援。
平成23年8月中旬までに大部分の避難所を解消,応急仮設住宅等への希望者全員の入居を目指す。
(3)保健・医療・福祉・教育等のサービスの確保
医療等のサービスの質・量を確保するため,被災地外からの応援,仮設施設の設置を行いつつ,施設の復旧を進める。
教育活動等の平常化に向け,学校施設等を復旧するとともに,被災児童生徒等への支援を充実。
(4)がれき処理
マイナスの状態から,まっさらな状態(ゼロ)に戻すべく,生活環境に支障が生じ得る災害廃棄物を平成23年8月末を目途に概ね撤去。
(5)緊急災害防止対策
梅雨期前まで,台風期までに必要な二次災害対策をそれぞれ実施。津波・地盤沈下により湛水した地域の排水や液状化対策を進める。
(6)ライフライン,交通網,農地・漁港等の復旧
家屋流出等地域におけるライフライン・交通網等のインフラの早期復旧に向けて,引き続き力を注ぐとともに,農地・漁港等の復旧を進める。
全浸水地域を対象とした被災状況等の調査分析を行い,地元地方公共団体の取組の支援を行う。
(7)生活の再建に向けて
復旧事業等による雇用創出,新たな就職に向けた支援,被災企業等の雇用維持の取組に対する支援,企業の営業再開支援等を行い,地域経済の復興に向けた足掛かりを作る。