2 自然災害の状況
2−1 自然災害による死者・行方不明者の状況
我が国では,毎年,自然災害により多くの尊い人命や財産が失われている(図1−2−1,表1−2−1)。
昭和20〜30年代前半には1,000人以上の人命が失われる大災害が頻発し,昭和34年の伊勢湾台風は死者・行方不明者が5,000人を超す未曾有の被害をもたらした。
伊勢湾台風以降の昭和30年代後半から,死者・行方不明者は著しく減少し,長期的に見ると逓減傾向にある。これは,治山・治水・海岸事業等の国土保全事業の積極的推進,災害対策基本法の制定等の防災関連制度の整備等による防災体制の充実,気象観測施設・設備の整備の充実,予報技術の向上,災害情報伝達手段の発展及び普及等によるところが大きい。
平成に入ってからも死者・行方不明者は比較的低い水準で推移していたが,平成7年の阪神・淡路大震災においては,6,000名を超える犠牲者を出し,戦後最大の大災害となった。
近年の自然災害による死者・行方不明者を災害別にみると図1−2−2のとおりであり,北海道南西沖地震,阪神・淡路大震災が起こった平成5,7年を除くと,風水害,雪害によるものが大きな割合を占めている。