2 阪神・淡路大震災以降における民間主体の防災活動の広がり



2 阪神・淡路大震災以降における民間主体の防災活動の広がり

我が国では,阪神・淡路大震災後も,毎年のように地震や台風などによる自然災害が発生している。今ではボランティア,企業,学校などの防災活動は,各地で見られるようになっているが,この15年間,各主体は様々な課題を乗りこえて活動内容の充実を図ってきた。

例えば,防災ボランティア活動について,阪神・淡路大震災の際には,全国から多数のボランティアが駆けつけたが,発災当初は災害時における行政側のボランティア受入体制が整っていなかったこと,経験豊富なコーディネーターがほとんどいなかったことに加え,初心者ボランティアが多く,宿舎や食事のあてもなくやみくもに来たボランティアへの宿泊等の手立てに翻弄されたこと等多くの問題が指摘された。

このため,近年は,地元の社会福祉協議会が中心となって,被災地におけるボランティア希望者の受付の円滑化や情報発信,被災地の支援ニーズの調整等を行う「災害ボランティアセンター」が設置されるなどの取組が行われるようになってきている。「平成21年7月中国・九州北部豪雨」や「平成21年台風第9号」においても,地元社会福祉協議会等の協力の下,災害ボランティアセンターが各自治体に設置され,ボランティア活動の拠点となりコーディネート機能を発揮した。

また,復興段階では被災地のニーズは時とともに変化するため,このニーズの変化に対応していくことができるかも課題の一つである。阪神・淡路大震災を例にすると,復興初期の段階では,迅速に被災者の生活を再建するため,各種インフラの整備をはじめとするまちづくりを進めることが求められたが,15年を経た現在は,高齢化が進む被災者への対応や震災後再建された商店街等の活気をとりもどすことなどが課題となっており,これらに対応する活動がボランティアなどにより行われている。

写真2 ボランティアセンターの様子 写真2 ボランティアセンターの様子の写真1 写真2 ボランティアセンターの様子の写真2
写真3 高齢者のケアをするボランティア 写真3 高齢者のケアをするボランティアの写真1 写真3 高齢者のケアをするボランティアの写真2

国民一人ひとりの防災意識及び具体的な取組もこの15年間で少しずつではあるが着実に進捗が見られる。例えば,大地震に備えて家具や冷蔵庫を固定し,転倒を防止している人の割合は,平成3年の8.5%から阪神淡路大震災後の平成7年に12.7%に上り,平成21年の調査では26.2%まで上昇している(図表2)。家具の固定の有用性については,平成21年8月に発生した駿河湾を震源とする地震の後に行った調査でも,固定していなかった家具については約10%の家具が所定の場所から大きくずれたり,倒れたりといった被害が出たのに対し,固定していた家具の被害は約3%であり,被害の程度は3倍以上の開きが見られる。

また,自主防災活動や災害援助活動に参加したいと回答した人の割合は,平成10年の時点で14.8%だったのに対し,その時々の災害状況に影響されつつも,平成22年には21.5%と増えてきている(図表3)。

図表2 家具固定の推移 図表2 家具固定の推移の図表
図表3 自主防災活動や災害援助活動への貢献希望の推移 図表3 自主防災活動や災害援助活動への貢献希望の推移の図表

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