防災白書の刊行に当たって



防災白書の刊行に当たって

内閣府特命担当大臣(防災) 中井 洽の写真
内閣府特命担当大臣(防災)
中井 洽

私は、本年1月に内閣府特命担当大臣(防災)に任じられ、6月8日に発足した菅内閣でも引き続きその職務を務めることとなりました。

大きな自然災害が日本を見舞ったときのために万全の備えをすることは、政治の重要な役割であります。防災は、行政の様々な分野に横断的に関連する、広がりをもったテーマであり、私は、災害列島といわれる日本の防災を担当する者として、政治のリーダーシップの下、災害予防、応急対策、復旧・復興の各段階にわたり全力を尽くしてまいる所存です。

国内外を問わず、災害はいつ起こるか分からず、またいつ起こってもおかしくありません。

最近でも、1月にはハイチにおいて大地震が発生し、20万人以上の方が犠牲になりました。また、2月にはチリ中部沿岸を震源とする地震が発生し、現地において甚大な被害が発生したほか、翌日には日本にも津波が到達して、三陸を中心に養殖施設等に大きな被害を与えました。政府においては、激甚災害の補助対象を思い切って拡大するなど、被災された方々が一日も早く生活を再建できるように精力的に取り組むとともに、災害時における住民避難など、明らかとなった課題について中央防災会議の場で検討を進めています。

また、私自身、三宅島や桜島などを視察し、住民の方々が災害に立ち向かって力強く取り組まれていることを改めて実感したところです。こうした地域の生の声を政策に反映すべく、役所の縦割りではなく横串で取り組む視点で、災害対策の制度や体制の一層の強化を図ってまいりたいと考えています。

一方で、災害に強い国づくり、地域づくりには、行政だけではなく、様々な民間の皆様のお力が不可欠です。今回の白書では、地域等における「共助」の取組を促進する観点から、「新しい公共」の力を活かした防災力の向上について、各地での取組と今後の展開を述べています。阪神・淡路大震災以降の大きな流れとして、各地のボランティア団体、企業、学校などの様々な主体が実施する防災活動が国中で大きな広がりを見せています。少子高齢化や過疎化など地域を取り巻く状況が変化する中で、地域の防災力を向上させるためには、こうした様々な主体による防災活動の役割が大きく期待されており、今後も一層、自治体や住民の皆様との連携を進めていくことが重要です。

また、本白書では、最近発生した主な災害の状況と国等の対応状況について報告するとともに、住宅、学校、病院の耐震性向上の取組をはじめとする主な防災施策の取組について、現状と課題、今後の施策の方向についてまとめています。さらに、過去の幾多の災害で培った我が国の知識や経験を活かした国際貢献についても紹介しています。

国民の皆様には、本白書を通じ、災害を自分のこととしてとらえていただき、自助、共助の取組を実践していただくようお願いいたします。

政府としましても、災害から国民の安全・安心を確保し、国民の期待に応えられるよう、防災対策全般において今後とも尽力してまいります。

平成22年7月

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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