1−3 平成19年(2007年)新潟県中越沖地震に対してとった措置



1−3 平成19年(2007年)新潟県中越沖地震に対してとった措置

(1)警察庁における対応

警察庁及び関東管区警察局においては,「災害警備本部」等を設置して,情報の収集,関係機関との連絡調整,警察広域緊急援助隊の派遣調整等に当たった。また,機動警察通信隊は災害発生直後から警察通信の確保に当たり,警察庁,官邸等へ現場映像の伝送等を実施した。さらに,新潟県公安委員会からの援助要求を受けて,7月16日から28日までの間,栃木,群馬,埼玉,千葉,神奈川,山梨,長野,静岡,富山の各県警察及び警視庁の広域緊急援助隊等約560名を派遣し,被災者の救出救助等に当たった。新潟県警察においては,「災害警備本部」を設置して,情報の収集,被災者の避難誘導・救出救助,警戒活動,被災者支援,交通規制等の災害警備活動に当たった。

(2)総務省における対応

総務省においては,多大な被害を受けた新潟県内5団体に対して,地方交付税法第16条第2項の規定に基づき,9月に定例交付すべき普通交付税の一部を繰上げ交付した。

(3)消防庁における対応

消防庁においては,「災害対策本部」を設置し,関係地方公共団体から情報収集を行うとともに,新潟県知事からの要請を受け,仙台市消防局,宮城県,福島県,栃木県,埼玉県,東京都,神奈川県,富山県,石川県,山梨県及び京都府に対して緊急消防援助隊の出動を要請し,情報収集及び救急・救助活動を行った。

さらに,政府調査団の一員として消防庁職員1名を派遣したほか,新潟県緊急消防援助隊消防応援活動調整本部及び柏崎刈羽原子力発電所へ消防庁職員12名を派遣し,現地調査及び現地活動の支援を行った。

(4)財務省における対応

財務省においては,災害により相当な損害を受けた地域を指定し,当該地域に居住していた被災者について,その申請に基づき,財務大臣が別途定める日の翌日まで関税に関する申請,納付等の期限を延長することとした。また,被災者の申請に基づき,当該被災者を支援するための貨物等に係る臨時開庁手数料等を免除できることとした。

また,災害により,特に著しい被害があった地域については,国税庁告示をもって,国税の申告,納付期限の延長を行ったほか,納税者からの申請に基づき,国税の納税の猶予及び国税の軽減免除等を行った。

(5)文部科学省における対応

文部科学省においては,災害情報連絡室を設置,同日災害応急対策本部に格上げし,教育委員会等の関係機関から被害情報を収集するとともに,児童生徒の安全確保・二次災害の防止等適切な対応をとるよう指示した。7月22日には,大臣政務官が学校施設の被害状況及び学校再開に向けた課題等について把握するため視察を行った。また,建築の専門家等の派遣による学校施設等の安全点検や児童生徒等の心のケアの実施等学校再開に向けた取組,児童生徒への支援を行った。

また,7月16日には,地震調査研究推進本部地震調査委員会の臨時会を開催し,地震活動及び地殻変動の総合的な評価を実施した。

さらに,科学技術振興調整費による緊急研究(「平成19年(2007年)新潟県中越沖地震に関する緊急調査研究」)を実施したとともに,震源断層の実態解明などを目的とした「2007年新潟県中越沖地震に関する総合調査」を行おうとする東京大学等の研究者に対し,科学研究費補助金を交付した。

(6)厚生労働省における対応

厚生労働省においては,災害救助法に基づき,新潟県長岡市他9市町村において実施した救助に要した費用の一部について負担した。

また,災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により死亡した遺族に対し支給した災害弔慰金等に要した費用の一部について負担した。

さらに,災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき,本災害により一定の被害を受けた世帯の世帯主に貸し付けた災害援護資金の原資の一部の貸付を行った。

(平成19年度決算額 5,762百万円)

(注)決算額については,新潟県中越地震の決算額を含む。

(7)被災中小企業者対策

中小企業庁においては,新潟県内の政府系中小企業金融機関等に特別相談窓口を設置し,災害復旧貸付の適用,既往債務の返済条件緩和等の措置を行った。

また,新潟県の3市町村(柏崎市,出雲崎町,刈羽村)の中小企業者等を対象として,災害復旧貸付の金利引下げを行った。また,新潟県の10市町村(長岡市,柏崎市,小千谷市,上越市,出雲崎町,刈羽村,三条市,十日町市,燕市,南魚沼市)の中小企業者を対象として,信用保証協会の別枠化等を実施した。

さらに,中小企業基盤整備機構から新潟県に320億円の無利子融資を実施し,新潟県が行った総額400億円の被災中小企業復興支援基金の創設を支援した。

(8)気象庁における対応

気象庁本庁および各気象台においては,津波注意報及び地震情報を迅速に発表・伝達し,災害応急活動を支援するとともに,ただちに現地調査のための職員を派遣した。東京管区気象台,新潟地方気象台,長野地方気象台においては,地震による地盤の緩みにより,通常より少ない雨量でも土砂災害や洪水発生の可能性があることから,地震後約10ヶ月,新潟地方気象台においては大雨警報・注意報,洪水警報・注意報の基準を,長野地方気象台においては大雨警報・注意報の基準をそれぞれ引き下げて警報・注意報を発表し,警戒を呼びかけた。

(9)海上保安庁における対応

海上保安庁においては,地震発生直後に本庁及び第九管区海上保安本部に地震災害対策本部を設置するとともに特殊救難隊,及び機動防除隊を出動させ,巡視船艇・航空機等により周辺の主要港湾や被害状況調査等を実施した。また,柏崎市付近において水道等のライフラインに被害が生じたため,地震発生から7月27日までの間,柏崎港において,巡視船から自衛隊及び地方自治体の給水車2,479台に対し清水4,172トンを給水した。この地震災害に巡視船艇延べ162隻(地震発生から8月1日の間),航空機延べ62機(地震発生から7月27日の間)が対応した。

(10)防衛省における対応

防衛省においては,全省的に対応するため,7月16日に防衛省新潟県中越沖地震災害対策本部を設置した。また,同日,新潟県知事から災害派遣要請を受け,同日から8月29日までの間,救出・救助活動,人員・物資の輸送,給食・給水支援,入浴支援,天幕設置支援,道路啓開を実施し,派遣規模は延べ人員約92,400名,車両約35,100両,艦艇94隻,航空機1,184機であった。

また,米国政府が被災地に寄贈したエアコンの設置について,東京防衛施設局(当時)職員が,米軍に対して技術支援を実施した。


所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.