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第4章 世界の自然災害と国際防災協力 1 世界の自然災害の状況 1−1 世界における最近の自然災害



第4章 世界の自然災害と国際防災協力

1 世界の自然災害の状況

1−1 世界における最近の自然災害

2008年4月以降に世界で発生した主な自然災害は表4−1−1のとおりであり,そのうち被害の大きなものは次のとおりである。

表4−1−1 2008年4月以降に起こった主な自然災害(2009年4月現在) 2008年4月以降に起こった主な自然災害(2009年4月現在)の表
(1)サイクロン「ナルギス」(5月)

2008年4月27日にベンガル湾で発生した熱帯低気圧は,翌28日にサイクロンへと発達,徐々に勢力を強め,5月2日ミャンマー南部,エーヤワディデルタ地域に達した。このサイクロン「ナルギス」は,インド気象局の発表によると最大平均風速60m/s,中心気圧944hPaを記録し,暴風雨に加え,高さ約3.5mの高潮が発生した。死者84,537人,行方不明者53,836人(東南アジア諸国連合(ASEAN)事務局6月24日発表)という人的被害は,同国の災害史上最大の規模となった。多数の家屋が倒壊し,病院,学校等の公共機関,水道,電気,道路,橋梁,通信設備等のインフラにも深刻な被害が及んだ。

ミャンマー政府は,エーヤワディ管区及びヤンゴン管区を被災地域に指定し,緊急委員会を組織して国家災害管理計画を策定するとともに救援活動を実施した。また,ASEANに支援物資,要員の受け入れ機関が設置され,ミャンマー政府,ASEAN,国連の3者が共同で被災地の支援策の実施について中心的な役割を担った。

このほか,国連は国際社会に向け,緊急支援として2億200万ドルの要請を行い,国際機関,各国政府,国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC),NGO,企業,学界等,内外のさまざまなセクターが物資,人材を提供し,活動を実施した。

日本政府は,国際緊急援助隊医療チーム23人をエーヤワディ管区に派遣し,約1,200人に対し医療活動を行った。また,3回にわたり合計約1億800万円相当の緊急援助物資(テント,発電機,簡易水槽等)を供与した。更に,国連児童基金(UNICEF),国連難民高等弁務官事務所(UNHCR),国連世界食糧計画(WFP),国際移住機関(IOM)等を通じて1,310万ドルの緊急支援を行った。また官民の連携により運営されている緊急人道支援の枠組であるジャパン・プラットフォームを通じ,NGOの活動に対し8億1,900万円を供与した。

(2)中国・四川省における大地震(5月)

2008年5月12日午後2時28分(日本時間午後3時28分),中国四川省川県でマグニチュード7.9(米国地質調査所発表)の地震が発生し,死者69,227人,行方不明者17,923人(中国国務院9月18日発表)に及んだ(詳細については 1−2を参照 )。

(3)インドの大雨・洪水(6月〜10月)

2008年6月から10月にかけ,インド各地(アーンドラ・プラデシュ州,ビハール州,ウッタル・プラデシュ州,マハーラーシュトラ州,グジャラート州,アッサム州,カルナータカ州,ケーララ州,オリッサ州等)でモンスーン期による大雨,洪水の被害が発生した。2,744人が死亡し,約2,800万人が被災した。家屋への被害は倒壊家屋67万4,753軒,一部損壊家屋91万7,363軒に上り,農地被害も240万ヘクタールを超え,人々の生活に甚大な被害をもたらした(インド政府10月13日発表)。

(4)ハリケーン「グスタフ」及び「ハンナ」(8月)

2008年8月から9月にわたり,カリブ海諸国はハリケーン「フェイ」「グスタフ」「ハンナ」「アイク」に次々と見舞われ,中でも「グスタフ」と「ハンナ」はより深刻な被害をもたらした。「グスタフ」(カテゴリー1)は,8月26日にハイチ南部ジャクメルに上陸した後,カテゴリー4に勢力を強め,8月30日キューバ西部フベントゥド島に上陸し,メキシコ湾へと進路をとった。「グスタフ」によりハイチでは77人が死亡,8人が行方不明となり,キューバでは8人が死亡した(国連人道問題調整部(UN/OCHA)9月2日発表)。この他ドミニカ共和国,ジャマイカ,ケイマン諸島等も影響を受けた。

続いて発生した「ハンナ」「アイク」についてもハイチに上陸し,同国の2008年のハリケーンによる被害合計は,死者793人,行方不明者310人,被災世帯165,337世帯に達した(UN/OCHA9月6日発表)。

深刻な被害を受けたハイチ,キューバに対し,日本政府は緊急援助を実施した。ハイチに対しては計約3,900万円相当の緊急援助物資(プラスチックシート,浄水器,ポリタンク等)の供与及び,WFP,IOMを通じた1億8,000万円の無償資金協力を実施した。キューバに対しては,WFPを通じた9,000万円の無償資金協力を実施した。

(5)パキスタン・地震(10月)

2008年10月29日午前4時9分(日本時間10月29日午前8時9分),パキスタン南西部バロチスタン州で,マグニチュード6.4(米国地質調査所発表)の地震が発生した。人的被害は死者166人,負傷者370人に上り,家屋への被害は,全壊3,487棟,半壊4,125棟に上った他,多くの病院,教育機関等の施設も被災した(UN/OCHA11月6日発表)。

日本政府はパキスタン政府に対し,約1,100万円相当の緊急援助物資(テント,毛布等)を供与した。


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