5−2 防災まちづくりの推進



5−2 防災まちづくりの推進

(1)「防災まちづくり」の理念

「防災まちづくり」とは,自主防災組織や商店会,NPO等の地域組織が,防災に係る訓練や普及・啓発などを行う活動であり,このような活動を通じて地域の防災力の向上が期待されるものであるが,大きな災害の発生からの時間の経過とともに,防災意識が低下しがちであることから,その継続には関係者による苦労の絶えないのが実情である。

このような状況に対して,前述の「民間と市場の力を活かした防災戦略の基本的提言」では,従来からの防災を主目的とした活動の重要性を当然であるとしつつも,防災への関心をつなぎ止め,日常的な継続を図っていく観点から,防災のために何かをするといった取組みだけではなく,防災以外の何かを主目的として行われるもの,又はそうした他の目的に併せて行われるものであって,結果として防災につながることになる取組みも視野に入れて,それぞれの地域に根ざした取組みを進めるべきことが提起されている。

このような従来とは異なった観点を取り入れることによって,非常に幅広く多様な活動にまで防災との接点を見出すことが可能となり,それを契機に防災に資する活動の日常化・広域化やそれに関連した物的防災力の向上といった継続的発展への道筋が見えていくことが期待される。

愛知県・わがやネット「かぐてんぼう隊」(家具転倒防止施工隊)の活動のようす 愛知県・わがやネット「かぐてんぼう隊」(家具転倒防止施工隊)の活動のようすの写真
三重県・災害ボランティアネットワーク鈴鹿による「三ちゃん防災サミット」での三世代災害図上訓練DIGのようす 三重県・災害ボランティアネットワーク鈴鹿による「三ちゃん防災サミット」での三世代災害図上訓練DIGのようすの写真
(2)全国防災まちづくりフォーラムの開催

全国防災まちづくりフォーラムは,防災まちづくりに関連した地域内及び地域間の交流を支援し,防災まちづくり活動を活性化させ,これに関係する市民・団体に永続的な活力を涵養することを目的に,前述の「民間と市場の力を活かした防災力向上に関する専門調査会」の審議過程であった平成17年度から開催されてきている。

これまでは,全国の防災まちづくりに関わる推進者が集い,自らの進める活動内容を相互に発表し合い,更には,有識者,参加団体相互等の投票による独自の審査方式を用いて団体表彰を行う「活動発表会」として開催されてきたが,一昨年・昨年には大規模な地震が各地で相次いで発生し,様々な形で地域の防災力が実際に発揮されたことにかんがみて,平成20年度には,「被災してわかること」をテーマに,例年とは装いを異にした展開が図られた。

発生から70日余しか経過していなかった岩手・宮城内陸地震を含め,直近に発生した大規模な地震で被災された皆様から,具体的な被災体験,復興に向けた取組みについて,直接お話し頂くとともに,平時,被災時,避難時,復興時のそれぞれの段階で活かされた地域ぐるみの「共助」の活動,知恵・工夫等を伺い,更には,これまでの活動発表会に参加した団体から活動継続のヒントを得るためのパネルディスカッションも行われた。最後には,「相互交流の時間」も設けられ,ノウハウ交換,励まし合い等を通じた活動主体同士の横の連携構築が図られた。

リレートーク「被災してわかる日頃からの共助・防災まちづくりの大切さ」のようす リレートーク「被災してわかる日頃からの共助・防災まちづくりの大切さ」のようすの写真
パネルディスカッション「防災まちづくり活動 継続のヒント」のようす パネルディスカッション「防災まちづくり活動継続のヒント」のようすの写真
(3)防災まちづくり活動の普及・啓発

防災まちづくり活動の普及・啓発に向けては,前述のフォーラム開催や内閣府広報誌「ぼうさい」での関連記事掲載はもとより,防災活動に関わってこなかった個人,まちづくり組織,企業等が,防災に関心を持ち,防災活動にも取り組むさらなるきっかけとなることを期して,全国の先進事例(特に,地域住民をひきつける要素を備えたもの等)やこの種の活動を支援する制度など取組みを進める上で役立つ情報やノウハウを紹介する防災まちづくりポータルサイト( http://www.bousai.go.jp/minna/ )を構築・運営するとともに,地域活動に関わる各主体が防災に関して自ら取り組めることから実行に移していくための手がかりを平易に解説した小冊子「防災まちづくりガイドブック」を作成している。


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