3−1 震災対策 (9)総合防災情報システムの整備



(9)総合防災情報システムの整備

a 防災情報共有プラットフォームの構築

防災関係機関が横断的に共有すべき防災情報を共通のシステムに集約し,その情報にいずれからもアクセスし,入手することが可能となることを目指した共通基盤である防災情報共有プラットフォームの構築を平成17年度より進めている(図2−3−58,図2−3−59)。

防災情報共有プラットフォームでは,地震による被害推計情報,気象情報,河川情報等を取り込み,災害現場における被災情報や各機関の活動情報を同一の地図上の情報として,わかりやすい形で共有することを可能としている。このような情報の共有の実現により,防災関係機関の情報の集約や伝達に係る労力を省力化するとともに,物資調達,緊急輸送ルート確保,医療搬送,救助などの基幹オペレーションの効率的な実施が可能となり,大規模災害に対する災害対応能力の向上につながると考えられる。

内閣府では,さらなる災害応急対応能力の向上のために,防災情報に関連したシステム間の連携の推進や発災時のデータの入力等が可能となるべく機能の拡張を継続して実施する。

図2−3−58 防災情報共有プラットフォームの構築 防災情報共有プラットフォームの構築の図
図2−3−59 防災情報共有プラットフォームのイメージ(緊急輸送ルート選定支援の例) 防災情報共有プラットフォームのイメージ(緊急輸送ルート選定支援の例)図

b 地震防災情報システムの整備

阪神・淡路大震災に際しては,発災時における応急対策活動を円滑に行うための課題として,特に被災地の状況を迅速に把握することの重要性が改めて指摘された。

内閣府ではこうした経験にかんがみ,地震発生直後に被害のおおまかな規模を把握するための「地震防災情報システム(DIS:Disaster Information System)」の整備を進めており,平成8年4月から運用を行っている(図2−3−60,図2−3−61)。

本システムは震度4以上の地震が発生した際に自動的に起動し,地震発生直後に気象庁から送付される震度情報と,あらかじめデータベースに登録された,全国の市区町村ごとの地盤,建築物,人口等のデータに基づいて,建築物の全壊棟数と建築物の全壊に伴う死傷者数の概数を推計するものである。これらは発生から30分以内に推計され,迅速かつ的確な初動対応のための判断材料として中央防災無線を介して中央省庁の防災関係部局に提供している。

図2−3−60 地震防災情報システム(DIS)の概要 地震防災情報システム(DIS)の概要の図
図2−3−61 地震被害早期評価システム(EES) 地震被害早期評価システム(EES)の図

c 衛星画像等を活用した被害早期把握システムの整備

本システムは,大規模災害発生時に,広範囲の撮影が可能な人工衛星等の画像を活用することにより,交通・通信網の途絶等により被災状況等の把握が極めて困難な場合においても,実被害情報を早期に把握し,迅速かつ的確な初動体制の確立を図ることを目的として整備を行っている。

現在,既に多数の人工衛星が地上を撮影しているが,それぞれの衛星が被災地を撮影する機会は数日に一度であること,衛星によって分解能等の性能がまちまちであること,光学センサーでは夜間や悪天候の場合は撮影出来ないこと,等の制約条件がある。そのため,発災後に出来るだけ早く画像を得て被害状況を把握するためには,撮影要求を行うための判断が速やかに可能となることや,得られた画像から速やかに被災状況を抽出することが求められることから本システムでは,以下の機能を備えている。

  • 観測対象域決定機能:DISからの被害推計情報を元に,撮影すべき対象地域を特定する。
  • 被災地域抽出機能:入手した被災後の画像データと予め蓄積しておいた被災前データを比較し,その差分が激しい地域を甚大な被害の可能性ありとして抽出する。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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