5 事故災害対策 5−1 海上災害対策



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5 事故災害対策

平成11年の鉄道,宇宙開発,原子力災害等の事故災害の多発に対応し,同年10月に内閣官房副長官を議長とする「事故災害防止安全対策会議」が設置された。同会議は,事故災害の防止及び被害の低減を図り,安全に対する国民の信頼を回復すべく各事業主体が取り組むべき対策を,同年12月に報告書としてとりまとめた。関係省庁では,同報告書に基づき,所管事業に係る個別具体的な安全対策について継続して実施している。

5−1 海上災害対策

(1) 海上災害の現況

我が国の周辺海域では,原油や液化ガス等が専用船により大量に海上輸送され,さらには貨物船,漁船等様々な船舶が輻輳している状況にある。このため,船舶の衝突,沈没等による災害が発生する危険性は常に存在する。

近年では,平成9年1月のナホトカ号海難・流出油災害,同年7月のダイヤモンドグレース号油流出事故といった大規模な事故が発生している。

(2) 海上災害対策

港則法,海上交通安全法,海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律,消防法,石油コンビナート等災害防止法等関係法令等により,危険物積載船舶の航行及び荷役時の安全確保や石油貯蔵施設の安全確保を図るとともに,海上災害が発生した場合に迅速・的確な防災措置を講じるため,巡視船艇・航空機の出動体制の確保,防災資機材の適切な配置等により海上防災体制の充実強化を図っている。

さらに,民間における海上防災のための中核機関としては,平成15年に独立行政法人化した海上災害防止センターが,自主防災体制の中核的な役割を果たしているところである。

海上における捜索救助については,「1979年の海上における捜索及び救助に関する国際条約」(SAR条約)に基づき関係機関が連携協力することによって,迅速かつ的確な海難救助体制の整備を推進している。

また,平成18年に「2000年の危険物質及び有害物質による汚染事件に係る準備,対応及び協力に関する議定書」(OPRC-HNS議定書)を実施するため,所要の法律改正を行ったほか,「油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」(平成18年12月8日閣議決定)を策定し,油の大規模流出事故のほか,有害液体物質等の流出事故発生時の即応体制,関係機関の密接な連携強化等を図った。

国土交通省においては,大規模流出事故に備えて「清龍丸」「海翔丸」「白山」3隻の大型浚渫兼油回収船を配備し,概ね48時間以内に本邦周辺海域の現場まで到達できる体制を構築しているところである。

海上保安庁では,気象庁との連携等により漂流予測の一層の高度化を図ることとしている。

環境省では,環境保全の観点から油流出事故により影響を受けやすい海岸等に関する情報についてまとめた「脆弱沿岸海域図」をインターネット等で公開している。


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