2−2 インド洋地域の津波早期警戒体制の構築に向けて



2−2 インド洋地域の津波早期警戒体制の構築に向けて

(1)国連防災世界会議での取組み
 インドネシア・スマトラ島沖大地震及び津波災害による被害を踏まえ,2005年1月6日にインドネシアのジャカルタで開催されたASEAN主催緊急首脳会議において,小泉内閣総理大臣は,国連防災世界会議においてインド洋における津波災害軽減のための特別会合を開催することを提案した。これを受け,国連防災世界会議において,専門家レベルによるテーマ別特別会合が1月19日に,また,政府間レベルでの特別会合が20日に開催された。
[1] 専門家レベル特別会合の開催
 専門家レベルでの特別会合は,我が国気象庁,内閣府,国土交通省,アジア防災センター及びユネスコ政府間海洋学委員会(UNESCO/IOC)が共催し,気象庁長官が議長を務めた。ここでは,インド洋における津波早期警戒体制の構築にあたって,インド洋沿岸各国の国内体制の強化と国際的な協力体制の構築の観点から検討すべき事項を整理した。また,本格的な体制構築までの暫定的な措置として,我が国気象庁及び米国太平洋津波警報センターが協力し,現時点で利用可能なデータ等を活用し,津波監視情報を提供することを提案した。
[2] 政府間レベル特別会合の開催と「共通の声明」
  政府間レベルでの特別会合では,専門家レベルでの議論を踏まえ,被災国から被害の状況が紹介されるとともに,多数の有識者や各国が参加の下,インド洋地域の津波早期警戒のあり方等について活発な議論・報告が行われた。我が国は,谷川外務副大臣から,インド洋の津波早期警戒体制の構築のために知見と技術を最大限に提供する用意があり,(i)本格的なメカニズムができるまでの間の暫定的措置として,津波監視情報を提供する用意があること,(ii)19日に我が国が中心となって主催した専門的なテーマ別特別会合の報告を踏まえた行動が取られることを期待すること,(iii)国連国際防災戦略(UN/ISDR)や国連教育科学文化機関(UNESCO)等の国際機関と協力するとともに,国際協力機構(JICA)による研修も速やかに行うことを表明した。
  政府間レベルの特別会合では,これらを踏まえ,議長を務めた村田防災担当大臣により,「インド洋災害に関する特別会合の共通の声明〜より安全な未来に向けたリスク軽減〜」がとりまとめられた。ここでは,太平洋地域における津波早期警戒システムの経験を活用しつつ,インド洋における効果的な津波早期波警戒体制の整備を推進することを呼びかけ,その際には,国連の調整のもと,インド洋地域の実情と要請に即した体制整備を推進することとされた。
(2)国連防災世界会議後の国際的な動きと我が国による支援・協力
  国連防災世界会議の後,早速,被災国やドナー国,UNESCO等が様々なイニシアティブを展開しており,国連の調整の下,インド洋津波早期警戒体制の構築に向けた調整作業が進められている。これに対し,我が国は,国連の調整活動(1月6日に発表された国連統一アピールに位置づけ)に400万ドルの拠出を行ったほか,津波先進国としての知識,技術を最大限活用し,様々な具体的な支援を実施している。

インド洋における津波早期警戒体制の構築に向けた動き(その1)

インド洋における津波早期警戒体制の構築に向けた動き(その2)

 まず,津波対策に関する被災国の理解の向上が,インド洋地域における次の津波への備えの第一歩であることから,[1]2月22〜24日に,ISDR主催の被災国ハイレベル政策対話ミッションを日本(東京,静岡)で開催し,我が国の津波防災に関する知見の提供を関係府省及びアジア防災センターが連携して実施し,また,[2]3月7〜18日の2週間にわたり,JICA主催の被災国津波防災担当者研修を開催(東京,和歌山)し,専門的な研修を実施した。
 さらに,暫定的な措置としての津波監視情報の提供については,インド洋沿岸諸国の求めに応じて早期に情報提供の開始ができるよう準備を迅速に進めてきた。この津波監視情報は,インド洋で大きな地震が発生した場合,その発生時間,震源の位置,地震の規模及びこれらから推定される津波の発生可能性の有無に加え,津波の発生可能性がある場合には,津波が到達するまでの予想時間を伝えるものである。この準備過程において,3月28日(現地時間)に発生したスマトラ島沖の再びの巨大地震に際しては,気象庁からインド洋沿岸諸国に対し津波監視情報を緊急に提供するなど,いつ起こるかわからない地震津波に対し,我が国の迅速な事前の備えの取組みが有効に活かされた。なお,3月31日をもって,正式に津波監視情報の提供が開始された。

インド洋地域への津波監視情報の提供



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内閣府政策統括官(防災担当)

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