2−3 復興支援のための仕組みづくりを目指して



2−3 復興支援のための仕組みづくりを目指して

 世界各地における自然災害による被害の中には,過去の教訓が活かされず,繰り返し同じ地域が同様の被害にあう事例が多くみられる。自然災害に見舞われたとき,単に原状を回復するだけでは,同じような自然現象が繰り返された場合,同様の被害が発生することになってしまう。地震災害が多発する地域での耐震性の乏しい住宅の倒壊による被害,洪水や土砂災害等の常襲地帯への居住地域の拡大による毎年繰り返される被害などはその一例といえる。
 しかし,不幸にして被災したそのときこそ,将来に備えた防災力を高め,災害に強い地域をつくる絶好の機会でもある。そのためには,復興段階において,それまでコミュニティが抱えていた災害に対する脆弱性を検証・確認し,いかに次の災害に備えるか,つまり災害予防の観点を取り込んだ復興計画に基づいて被災地域の復興開発を図る必要がある。災害復興の過程において次の災害に備えた災害に強い地域づくりを多様な分野,多様な主体間の連携,調整により包括的に推進する活動を支援できる仕組みが構築される必要がある

防災の視点を組み込まない開発,災害復興による貧困と災害の悪循環

 このような中で,我が国は,国連防災世界会議の準備段階から,災害からの復興段階における国際的な協力支援の仕組みを国連の適切な関与の下に構築することを提案してきた。具体的には,
i)災害からの復興事例集(成功事例や教訓),復興計画の策定・実施に関するノウハウ等の共有
ii)効率的かつ効果的に被災地域に対する復興ノウハウが提供され,復興ニーズに関する情報が共有されるような仕組みの構築
iii)被災地に派遣しうる防災・復興の専門家名簿の作成
といった活動により国際的な協力体制の構築を目指している。
 これらを実現するために,国連防災世界会議において,内閣府,国連開発計画(UNDP),国連国際防災戦略(UN/ISDR),国連人道問題調整部(UN/OCHA),アジア防災センターの共催によるテーマ別セッション「災害からの復興−教訓,課題,将来の道−」を開催した。ここでは,復興段階での国際的な協力の手段としての復興プラットフォーラムの構築が必要であること,日本政府と各国連機関の広範な連携のもと構築されるべきこと,さらに2005年5月には国連国際防災戦略(UN/ISDR)の下にワーキンググループを設置し,復興の優良事例のデータベースの暫定運用を開始することが取りまとめられた。また,「兵庫行動枠組」においても,「被災国に対して,(中略)将来的な災害リスクの軽減における協力をするための国際機構を強化する。こうした活動としては,被災後の復旧・復興段階におけるリスク軽減活動や,また関係する国家,専門家,国連機関との間で,成功事例,知識,技術支援を共有する必要がある。」と国際的な復興支援の仕組みづくりの必要性が盛り込まれた。これにあわせて,兵庫県がHAT神戸(神戸市東部新都心)にこれらの活動の拠点を提供することを表明している。
 こうした取組みの強化に対し,我が国としても,阪神・淡路大震災の経験を含め,多くの災害を通じて蓄積してきた様々な復興に関する教訓やノウハウが国際社会の中で活用されるよう貢献することとしている。




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