1 災害一般共通事項



第2章 科学技術の研究


1 災害一般共通事項


(1) 総合科学技術会議による防災科学技術研究の推進

 平成13年3月に閣議決定された第2期科学技術基本計画(平成13〜17年度)の中で,国の存立にとって基礎的であり,国として取り組むことが不可欠な領域として社会基盤分野が定められ,防災科学技術,危機管理に関する技術等が盛り込まれている。
 これに基づき平成13年9月に策定された分野別推進戦略では,社会基盤分野の重点領域の一つとして,自然との共存を基本とするコンセプトに立脚し,減災といった理念にたった「安全の構築」が定められ,異常自然現象発生メカニズム,発災時即応システム,過密都市圏での巨大災害被害軽減対策,超高度防災支援システム等の項目について,重点的に研究開発を推進することとしている。
 総合科学技術会議は,これらの方針に基づき次年度において特に重点的に推進すべき事項等を明らかにし,科学技術に関する予算,人材等の資源配分の方針を作成する。さらに,この方針を反映した予算編成が行われるよう,必要に応じて予算編成過程で財政当局との連携を図り,推進戦略等に沿って,防災科学技術研究・危機管理技術の研究開発を充実する。

(2) デジタル防災行政無線の普及促進

 総務省においては,市町村防災行政無線のデジタル方式の導入にあたり,より安価で互換性のあるシステムの導入を促進するため,同方式の特長を生かした技術的な任意推奨規格を策定することとし,平成13年度の基本部分の検討に引き続き,平成14年度においては文字表示機能や中継方式等の検討を行う。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         10          10       0 

(3) 情報通信危機管理基盤技術の研究開発

 独立行政法人通信総合研究所においては,情報通信危機管理研究施設を拡充し,サイバーテロを未然に防ぐための情報通信技術や,大規模災害時の被災者支援通信システムの研究開発をさらに推進する。

(4) 消防防災対策に関する研究

 消防庁及び独立行政法人消防研究所においては,次の研究を行う。
a 衛星データ通信・データ放送に係る調査検討
 消防庁においては,通信衛星等を用いた高度情報伝達システムを構築するため,課題,改善方法等の検証結果に基づき設備の改修を行う。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         62          7       55 

b 災害時における消防防災ヘリ映像等を活用した被災状況把握システムに係る調査検討
 消防庁においては,消防防災ヘリコプター等で撮影した被災地の画像等のコンピュータ解析により被災状況を把握し,地図表示を行うシステムの機能について検討する。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         32          87     △ 55 

c 携帯電話等からの119番通報発信地表示システム等の検討
 消防庁においては,携帯電話等から直接管轄消防本部に119番通報ができ,かつ発信地表示することのできるシステムの検討を行う。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         13          52     △ 39 

d 消防・救急無線のデジタル化の検討
 消防庁においては,消防・救急無線のデジタル化を円滑に進めるための移行計画及び移行期間中の運用ルール等の検討を行う。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         15          65     △ 50 

e 救急システムに関する研究
 独立行政法人消防研究所においては,救急救命率の向上,市民から期待される救急サービスの維持・向上を図ることを目的として,増加し多様化することが予測される救急要請の実態,消防機関における救急隊の運用状況を調査分析し,消防力資源を効果的に運用する救急システムの構築のための研究を実施する。

(5) 防災科学技術の推進

a 防災分野の研究開発の調整および連携
 文部科学省においては,防災に関する研究開発基本計画(昭和56年7月内閣総理大臣決定,平成5年12月改定)に基づき,科学技術に関する経費の見積もり方針の調整等による総合調整を図る。また,防災研究フォーラムの設置により,防災分野の研究開発ニーズの的確な把握,研究開発成果の普及を図るとともに,組織,災害の分野,科学技術の分野を越えた研究機関及び研究者間の連携を推進する。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         5          1       5 

b 防災科学技術研究所における総合的,共通的研究等
 独立行政法人防災科学技術研究所においては,防災科学技術に関する総合的,共通的研究(プロジェクト研究は別掲)を行うとともに,内外の防災科学技術資料の収集・整理及び提供を行う。
c 防災科学技術研究所における施設整備
 独立行政法人防災科学技術研究所において,防災科学技術に関する総合的,共通的研究に資するための施設整備を行う。

(6) 自然災害に関する研究

 文部科学省においては,自然災害の予防・軽減策を確立するため,科学研究費補助金により,大学等の研究者による研究プロジェクトを支援し,基礎的研究を推進する。

(7) 砂防,海洋災害,防災材料,水文学等に関する研究

 文部科学省においては,国立大学の研究所等で,砂防,海洋災害,防災材料,水文学及びオホーツク海沿岸の流氷等に関する基礎的研究を行う。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         192         267     △ 74 

(8) 農作物及び森林の災害防止等に関する研究

 農林水産省においては,道府県の各試験研究機関の協力を得て,次の研究を行う。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         103         103       0 

a 農作物の災害防止に関する研究
 耐冷性,耐寒性,耐湿性,耐干性品種の育成,冷害,風害,凍霜害,干害等への作物の気象災害防止技術に関する研究を独立行政法人農業技術研究機構,独立行政法人農業環境技術研究所,独立行政法人農業工学研究所において行う。
 また,指定試験事業として,道府県に委託し,農作物の耐冷性品種等の育成のための品種改良試験を進める。
b 農業用施設等に関する研究
 独立行政法人農業工学研究所においては,農地の地すべり防止に関する研究,異常降雨・大規模地震による災害の軽減対策に関する研究を行う。また,農業用施設等の災害に伴う周辺地域への影響予測に関する調査研究を行う。

(9) 災害時緊急輸送システムの開発

 国土交通省においては,都市圏・内陸部における災害時の物資輸送リダンダンシーを確保するため,民間等の既存船舶を有効に活用し,災害時に安全,迅速にフィーダー輸送するための緊急輸送ネットワークの構築を目指すとともに,当該ネットワークを効率的・効果的に機能させるため,リアルタイムで岸壁等の被災状況を確実に把握する技術等の研究開発,既存船舶では困難な箇所でも航行が可能な船型の検討を行う。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         24          0       24 

(10) GPS連続観測による上下地殻変動検出手法開発に関する研究

 国土交通省国土地理院においては,全国にほぼ均一に配備されているGPS連続観測データを用いて,全国の上下方向の地殻変動の進行状況を解明する手法の開発について研究する。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         3          3       0 

(11) 火山斜面地の地形変化に関する研究

 国土交通省国土地理院においては,多時期の空中写真から作成した火山斜面地の地形データをGIS上で比較することにより,火山斜面地の開折過程を把握し,火山防災に利用していくための研究を行う。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         6          6       0 

(12) 火山モニタリング手法の高度化に関する研究

 国土交通省国土地理院においては,火山地域におけるGPS連続観測等の地殻変動データから,火山活動の推移をモニタリングする火山活動監視システムの開発に関する研究を行う。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         13           0      13 

(13) 船舶における防災技術の研究

 独立行政法人海上技術安全研究所においては,衝突時の油流出防止のための緩衝型船首構造基準,ダブルハルタンカーの構造の経年劣化,荒天下における航行不能船舶の漂流防止,フェールセーフとしての衝突・座礁回避システム等の研究を行う。

(14) 流出油除去作業に関する研究

 独立行政法人港湾空港技術研究所においては,海域での油流出事故による被害を最小限に抑えるための油回収専用ポンプの開発等を行う。

(15) 港湾・海岸及び空港における防災技術の研究

 独立行政法人港湾空港技術研究所においては,津波・高潮・高波等に関する研究,耐波構造物に関する研究,漂砂に関する研究,沿岸の防災に関する研究等,港湾・海岸及び空港における災害を防止するための研究を行う。

(16) 波による地盤の液状化・変形メカニズムの解明とその対策・利用技術の確立に関する研究

 独立行政法人港湾空港技術研究所においては,波による地盤の液状化現象,さらには洗掘や吸い出し現象等,波と構造物,そして地盤との相互作用を明らかにし,海の構造物の沈下災害などを防止する設計法を確立する。また,液状化させた地盤によって波を減衰させる「液状化消波システム」等の開発を行う。

(17) 長周期波の発生メカニズムと港湾・海岸における長周期波対策に関する研究

 独立行政法人港湾空港技術研究所においては,越波による浸水被害や,共振による荷役障害などを引き起こす長周期波の発生メカニズムを解明するとともに,港湾や海岸における長周期波対策を提案する。

(18) 北海道における港湾・海岸防災に関する研究

 独立行政法人北海道開発土木研究所においては,冬期における港湾・漁港の安全確保のため,港内への流氷流入,港内結氷,港内施設への着氷等の対策及び高波による施設被害や護岸の背後における利用障害を防止するための技術開発を行う。

(19) 気象・水象・地象に関する研究

 気象庁においては,気象研究所を中心に気象業務に関する技術の基礎及びその応用に関する研究を推進する。特に,地球温暖化の問題に適切に対処するために,大気中の温室効果ガス濃度の増加に伴う地球温暖化の予測技術の高度化を図る。この成果を基に,IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最新の排出シナリオを用いて,地球温暖化に伴う気温,降水量等の変動の予測を行い,「地球温暖化予測情報(第5巻)」として公表する。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)        1,149         1,170     △ 21 

(20) 有害液体物質に関する調査研究

 海上保安庁においては,有害液体物質の防除手法の見直しを目的として「有害液体物質に関する調査研究」を実施する。
   平成14年度予算額   平成13年度予算額    差引増△減 (百万円)         6          6       0 


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