5.被害想定の基本的考え方1


5.被害想定の基本的考え方
(1) 被害想定の手順
  特定の地震については、地震ごとに個別の被害想定を行い、時間経過を含めた地震被害シナリオ及びこれに対する防災対策シナリオを作成する。
 
   
1) 特定の地震を対象とした被害想定の実施
特定の地震発生ケースを設定して、当該地域での被害全体規模や広がりを建物倒壊など、必要となる項目ごとに想定する。
これにより、事前の防災体制の検討や初期活動、救助・救命活動、消防活動等、広域応援活動等の活動対策を検討する際の材料となる。
   
2) シナリオ化
特定の地震により想定される被害の時間的、空間的な広がりや対応した対策活動のシナリオを以下の観点に留意して作成する。
 
   
3) 特定の地震を対象としない網羅的な観点から実施する危険度評価
  [予防対策]
実施すべき防災対策の具体的なターゲットを絞り込む
数多くある予防対策、応急対策の中から、何を実施すべきなのかといったターゲットを具体的に絞り込む。
絞り込んだ防災対策の具体的な目標を決める。
絞り込んだ防災対策を、「いつまでに」、「どのくらい」実現するのかについて、被害想定や対策実施による被害軽減効果の想定結果を踏まえ、具体的な目標を設定する。
   
  [応急対策]
時間的、空間的な被害状況の広がりを想定し、被害の拡大を阻止・軽減する観点から応急対策について検討する。
   
(2) 検討対象とする地域や地震の特徴も踏まえた課題
一般住宅の震動被害に関する問題
耐震性に課題のある老朽住宅が高密・大量・広範囲に存在しており、建物倒壊、延焼火災の多発、応急対策の実施困難などの課題が指摘されている。
地震により構造体が損壊しない場合でも、付帯設備、内外装等の二次部材、家具等の損壊・転倒により人的被害が発生し、施設が使用不能、機能低下する場合がある。
文化財等の被害に関する問題
美術工芸品等の落下や倒壊による損傷の危険性

文化財周辺が木造密集市街地であることによる火災延焼、文化財の多くが紙や木などの可燃性の素材であることによる焼失の危険性

崖崩れや倒壊物による二次被害の危険性
参拝を目的とする不特定多数の人の被災に関する問題
集客・交流施設被害に関する問題(地下街、ターミナル駅、商業・娯楽施設 等)
大量の集客力を持つ高層ビル、地下街、商業、業務施設、文化・娯楽施設、ターミナル駅が高密に集積しており、特定の地区・施設内に多数の人的被害が発生するリスクがある。
火災・延焼被害に関する問題
大都市圏では、高密度な市街地が広がり火災延焼の拡大を防止する農地、森林、公園等のオープンスペースが少ない。
大規模震災時の火災延焼被害では、消防力が十分には及ばないことが明らかであり、発生件数を縮減することが極めて重要である。
常時通電している電気機器が増えていることにより、通電火災の危険性がある。
人的被害に関する問題
救助能力を超える大量の要救助者発生の危険性
通勤、通学、出張、買い物、旅行等の滞留者による大量の帰宅困難者の発生が想定される。
   
 
 
 

 
 
前へ 】【一覧へ 】【次へ


 
 

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.