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EPCF
※「国土庁防災局」は、2001年より、「内閣府(防災部門)」になりました。
東京ガスにおけるリアルタイム地震防災 -SIGNALを中心として-
 
3.2.4 震源推定システム
 震源推定は5ケ所の基盤地震計から連続的に送られる加速度波形を用いてリアルタイムで行う。まずP波とS波の初動時刻を求め次に理論走時と観測走時を比較して誤差が最小になるよう震源位置を決定し、さらに気象庁の算定式に準じてマグニチュードを決定する4)。この震源推定は、5ケ所の基盤地震計のうち最低3ケ所のデータが収集できれば実施可能であるため、どんな大地震においても稼働すると考えられる。よって何らかの原因 でSIセンサーのデータ収集が一部地域で行えない場合、この震源からの距離減衰式を用 いて各地点のSI値を算出し、欠落したSI値のデータの自動補間を行うことが可能であり、被害推定を実施する事ができる。
 

4. 東京ガスにおける今後のリアルタイム地震防災の進め方
4.1 超高密度リアルタイム地震動計測・防災システムの概要
 阪神大震災における、地震動・被害等の分析に関する研究が数多く行われているが、その大きなネックとなっているのは激震地域における地震動の測定値が無いことである。また、阪神大震災以降、多くの機関高密度地震動モニタリングシステムの構築やリアルタ イム被害推定システムの整備が実施されている。東京ガス㈱では"SIGNAL"を既に運用しているが、今後の防災レベルのより一層の向上を図るため、それに加えて1998年1月より供給区域約3,100k㎡に対して約3,600基の地震計を設置しモニタリングする世界一超高密度な地震防災システムの構築を開始した。図10に地震センサー全数の配置図を示す。
超高密度リアルタイム地震動計測・防災システムの構成を図11に示す。現在、東京ガスでは、従来のSI遮断装置の更新の機会を利用して後述する新SIセンサー、地区ガバナ 遠隔監視システム(以下DCXと略す)を約3,600ヶの地区ガバナに設置中であり、これらの機器と指令センターを通信で結ぶことにより、約3,100k㎡の供給区域の約3,600点 (0.9k㎡に1ヶ)でのSI値、PGA、圧力、ガバナ遮断状況、液状化警報等の計測および指令センターでの遠隔監視が可能となる。

(1)新SIセンサー
 マイクロマシニング技術により超小型加速度ピックアップ(住友精密工業㈱製)の採用が可能となり、また高性能小型CPU、RAM等が安価に入手できるようになったことから、低価格で高機能・高精度を実現させた新SIセンサーを山武ハネウエル㈱と共同開発 した。大きな特徴は以下のとおりである。

  可変設定のSI値/加速度によるガバナ遮断、SI値/加速度の計測(±2,000Galまで)、液状化の検知、地震波形の保存(SI値の高い順にXYZ3軸6地震分)が可能であり、 かつ遠隔監視・制御装置に対応している。また、防爆・耐水仕様となっており、常時自己診断機能とあわせて高いメンテナンス性を保持している。

(2)地区ガバナ遠隔監視システム(DCX)
 DCXは、公衆回線・専用回線・無線等に対応したテレメータ機能、異常状態を判断し発報ずるアラーム機能、定期データ収集機能および警報データ/定期データ保存機能等の データロガー機能を具備している。

  DCXは、平常時においては地区ガバナのトラブルシューティングまた圧力監視および記録に使用されるため、通信手段はコストを重視して選択する必要があり、全ての地区ガバナには、NTT一般加入回線等の有線通信を利用している。地震時の通信信頼性は地震発生後の短時間のみあると思われるが、その後は輻しんが考えられるため通信困難となるこ とが考えられる。そのため、地震時には地区ガバナでの情報を優先付けして送信するようソフトを開発し発報回数を減らす論理をDCXに組み込む。これにより、阪神大震災クラスの大地震の場合は、強地震動地域にある約80%の地区ガバナの情報を30分以内に収集する事が可能と考えている。

 

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