(4)早期避難実現のための措置の推進

(提言)

  • 土砂災害に対する住民の早期避難実現のため、気象警報等を活用するとともに、行政側の警戒避難体制の基準となる指標を地域の実情に応じ複数設定する。
  • 指標の数値を客観的な事実として、気象警報や近隣地域の災害発生状況の情報等とともに、早い段階から継続的に住民へ伝達する仕組みをつくる。
  • 災害の発生に対応して、指標や基準の適否を検証し、必要に応じこれを見直す。
  • 気象警報等や、設定された警戒避難基準の考え方、発表方法等について、平常時から住民への周知を図る。

<昨年の豪雨災害における現状と反省点>

 昨年の豪雨災害においては、避難勧告は発令されなかったものの、住民が自主的に早期避難を行い被災を免れた例が見られた。その際に、住民の多くは、消防団員等による避難の呼びかけや、付近で起こったがけ崩れ等の異常現象を避難の契機としており、きっかけがあれば避難を開始する状態にあったと言える。

 住民の早期避難を可能にするためには、気象警報等を活用するとともに、各地域毎に雨量強度、実効雨量など、必要に応じ一つまたは複数の客観的な指標を設定し、当該地域における指標の変化や、近隣地域における災害発生状況等を、当該地域において、災害発生の危険性が小さい段階から継続的に住民に伝達し、住民の災害の危険性に対する認識を高めるとともに、避難の準備をする時間をできるだけ確保できるよう図る必要がある。

 また、行政側の警戒避難体制レベルや避難勧告・避難指示の発令までの手順を指標の数値と対応させた警戒避難基準を設定することで、迅速に避難勧告・指示等を発令することが可能になる。

 警戒避難基準の運用に当たっては、気象警報等の活用を図るとともに、指標の精度の向上と、警戒避難基準の信頼性の確保のため、災害の発生に対応して、指標・警戒避難基準の適否を検証し、必要に応じ、見直しを実施することが重要である。また、土壌雨量指数など新たな指標についても、導入に向け開発を進めることが重要である。

 さらに、行政においては、気象警報等や、指標の表す意味、設定された警戒避難基準の考え方、発表方法について、平常時から住民に周知し、避難勧告等の情報が発せられた場合には、その内容を住民が十分理解し、速やかに避難行動に移るよう普及啓発を図る。

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