(3)住民等との連携の強化

(提言)

  • 自らの安全を確保するためには、早期自主避難が重要であることを住民に周知し、その協力を得るとともに、住民の円滑な避難のため、自主防災組織等の地域のコミュニティを活かした避難活動を促進する。
  • 行政においては、平常時より、災害危険箇所やその他防災情報について、ハザードマップ、ダイレクトメール、インターネットなど多様な手段により周知を図る。災害時には、サイレン、戸別受信機、広報車、マスコミなど多様な手段を通じて情報を住民に伝達する。
  • 多様かつ多数の住民に対し情報伝達を行うことが必要であることから、協定の締結、連絡会議の設置など「行政−報道機関」の連携を推進する。
  • 住民の側も行政と連携し、異常な自然現象を察知した場合には、その情報を速やかに行政に伝達する。

<昨年の豪雨災害における現状と反省点>

 土砂災害のような突発的・局所的な災害を、全て行政で予測し対応することは困難である。このため、自らの安全を確保するためには、早期自主避難が重要であることを住民に周知するとともに、行政はそのための環境整備に努める必要がある。その際に、防災リーダーの育成、自治会長など地域の防災リーダー宅への防災無線等の整備、情報端末の設置等により、自主防災組織等の地域コミュニティを活用した避難体制の整備を図ることが重要となる。

 昨年の豪雨災害により被災した広島市、呉市では、土砂災害の危険箇所について事前に把握していたものの、住民に対する具体的危険区域図等の配布は実施されていなかった。また、全国的に見ても、危険箇所の周知は十分でない状況にある。自主避難により人的被害を回避できた事例を見ると、災害の前兆現象等から危険を察知して避難しており、災害危険箇所、災害の前兆現象、避難場所などの情報を事前に周知しておくことは重要である。このため、ハザードマップの配布、ダイレクトメールの送付、広報誌やインターネットを用いた情報提供など様々な手法を用いた事前周知の実施を推進することが必要である。

 また、災害時には、防災行政無線の音が聞こえにくかったなどの問題も指摘されていることから、サイレン、戸別受信機、広報車による広報や、マスコミを通じた広報等様々な手段を組み合わせた情報伝達を行うことが必要である。また、例えば、雨量情報等を示す電光掲示板を設置するなど、異なるメディアを活用して情報伝達を行うことを検討することが必要である。

 この場合、多数かつ多様な対象に情報を提供しなければならないことから、今後、協定の締結、連絡会議の設置などにより「行政−報道機関」の連携をさらに推進することが求められる。さらに、土砂災害のように局所的かつ突発的に発生しうる災害に対応するため、例えば、自治会長など地域の防災リーダー宅への、地域の雨量状況や近隣の災害発生状況をリアルタイムで伝える情報端末の設置など、新たな方策について検討することも重要となる。

 一方、住民は災害現場の近くにおり、日頃から地域の状況等を知っていることから、自治体においては、地域住民からの情報を活用できるような体制の整備をさらに推進することが大切である。例えば、「土砂災害110番」の整備や、あらかじめモニターに指名した地域の住民などから情報を収集するなどの工夫が考えられる。また、平常時においても、地域住民の間に残る災害に関する伝承等を積極的に収集し、蓄積、発信するなど、行政と住民との連携を強化し一体となった防災体制の確立に努めることが肝要である。

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