平成26年度「防災週間」の実施について

平成26年7月29日
中央防災会議決定

1.趣 旨

  我が国は、その位置、地形、地質、気象等の自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、地滑り、地震、津波、火山噴火等による災害が発生しやすい国土となっている。

  昨年は、平成25年4月に震度6弱を観測した淡路島付近を震源とする地震が発生したほか、6月から8月にかけての梅雨期における大雨等や台風第26号等により全国各地で様々な被害が発生した。特に、台風第26号は、東京都大島町における大規模な土砂災害の発生等により、多くの人的、物的被害をもたらした。また、本年も平成26年豪雪による除雪作業中の事故等での多くの人的被害や山梨県や長野県等における多くの世帯の孤立等、災害により大きな被害が発生している。

  災害からの被害を軽減するためには、東日本大震災を始めとする大規模地震災害やこれまでに発生した雪害・水害・土砂災害等から得られた教訓を的確に活かし、平素より災害時における被害軽減に対する備えを充実強化するとともに、災害時に迅速かつ適切な防災活動を行い、被災後の円滑な復旧・復興を可能としていくことが重要である。

  日頃からの具体的な「備え」を実践する取組を更に拡大し、社会全体における防災力を向上させるため、以下のとおり、国、関係公共機関、地方公共団体及びその他関係団体等の緊密な連携の下に、防災に関する各種の行事、広報活動を全国的に実施する。

  なお、防災週間の一環として実施する防災訓練に当たっては、「平成26年度総合防災訓練大綱」(平成26年3月28日中央防災会議決定)によるものとする。

2.実 施 期 間

平成26年8月30日(土)から9月5日(金)

3.実 施 主 体

国、関係公共機関、地方公共団体、その他関係団体

4.実 施 事 項

  国、地方公共団体等は、災害が発生した場合、災害応急対策から、災害復旧・復興までの一連の対策を迅速かつ円滑に行うための備えを十分に行う必要がある。一方、国民は、平常時より災害に対する備えを心がけ、発災時には自ら身の安全を守るとともに、地域住民及び企業が連携してお互いに助け合うことが非常に重要である。

  国、地方公共団体等は、こうした「自助」、「共助」、「公助」それぞれが適切に役割を果たすよう、「災害被害を軽減する国民運動の推進に関する基本方針」及び「平成26年度総合防災訓練大綱」に基づき、行政における十分な準備と訓練を行うとともに、国民に対する防災知識の普及・啓発を図り、災害被害を減らす取組を推進することが必要である。

  これらを踏まえて、防災週間においては、地域の実情に応じて、次に掲げるような、防災週間の趣旨にふさわしい内容の行事等を実施するものとし、国は、関係公共機関、地方公共団体及びその他関係団体等に対して協力を要請するものとする。

(1) 実施する行事等

「防災週間」を中心とする期間内に実施する行事等は次のものとする。

  • ①実施主体は連携を強化し、より実践的な防災訓練等を行うものとする。特に南海トラフ沿いで発生する大規模地震や首都直下地震等の大災害を想定した地域においては、広域的ネットワークを活用した訓練や地方公共団体間の緊密な連携の下に地方公共団体相互で締結されている協定等に基づく広域的応援訓練の実施に努めるものとする。
  • ②防災に関し、災害時の防災活動の実施、防災思想の普及又は防災体制の整備の面で貢献した団体や個人(ボランティアや企業等も含む。)への表彰を行う。
  • ③実践的な防災行動の促進のため、次のような行事等を実施する。
    • a 防災に関するイベントの開催
    • b 映画・ビデオ上映会、被災や災害対応の体験談を語る会、防災センター等における災害擬似体験、キャンプ等による避難生活体験、防災体験ツアー、防災マップづくり体験、非常食の調理体験、その他の教育啓発活動
    • c テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、広報誌、インターネット、携帯端末、コミュニティ放送、ポスター、屋外看板、懸垂幕等多様な手段の活用による広報活動
    • d パンフレット、リーフレット、災害の危険箇所や指定緊急避難場所・指定避難所等について明らかにした防災マップ等の配布
    • e 標語、図画等の募集
  • ④行事等の実施に当たっては、災害への備えに関する次の事項について普及・啓発を行う。
    • a 様々な災害(大規模地震災害、雪害、水害、土砂災害等)発生時における、様々な状況下(家屋内、路上歩行時、自動車運転中等)においてとるべき行動
    • b 警報・注意報、東海地震に関連する情報等の発表時にとるべき行動の確認及び防災マップ等による指定緊急避難場所・指定避難所の位置や経路等の把握
    • c 家族内及び事業所内における安否確認の連絡方法の確認及び指定緊急避難場所等でとるべき行動
    • d 非常用持出品(救急箱、懐中電灯、ラジオ、乾電池等)の準備
    • e 最低でも3日、出来れば一週間分程度の食料、飲料水等の備蓄
    • f ライフラインの途絶に備えた対応の確認(電気、ガス、上下水道、通信等)
    • g 家庭動物との同行避難や指定避難所等での飼養等についての日頃からの準備
    • h 家具・家電製品等の転倒・収納物の落下に対する防止対策の重要性
    • i 建物の耐震診断及び補強の実施並びに耐震診断に対する地方公共団体等の助成制度、耐震化された公共建築物のリストの公表等公共建築物の耐震性に関する情報、被災建築物応急危険度判定活動等
    • j 感震ブレーカー等の設置による出火の予防
    • k 地震保険加入の促進
    • l 緊急地震速報を広く一般の利用に供するため、緊急地震速報の特性と限界の周知、及び受信時に利用者がとるべき行動等
    • m 自主防災組織や次の事業所等における防災のための施設、設備及び資機材の点検
    • - 危険物を有する石油コンビナート等の事業所
    • - 電気、ガス、上下水道、通信等のライフライン関係及び廃棄物処理関係事業所
    • - ターミナル駅、高層ビル、地下街、ホテル、百貨店、劇場、遊園地等不特定多数の者が出入りする施設や事業所
    • - 病院、社会福祉施設等の施設
    • n 自主防災活動の実施・参加及び消防団活動への参加・協力並びに地域住民と事業所従業員等と連携した防災訓練の実施
    • o 地区防災計画の作成
    • p 企業における、災害時に備えた中枢機能・情報システムのバックアップ、ライフライン系統の多重化、要員の確保等、事業継続計画(BCP)の策定及び事業継続マネジメント(BCM)の構築
    • q コンピュータ、情報通信ネットワークシステム等の保守点検及び機能停止に備えた代替手段の確認
    • r 初期消火、顧客の避難誘導、負傷者・要配慮者救助の心構えと準備

(2) 行事等実施に当たっての留意事項

①地域における災害事例、防災体制、防災意識及び防災活動等の実情を踏まえ、かつ、東日本大震災を始めとする大規模地震災害や近年の雪害・水害・土砂災害等の経験と教訓を活かした効果的な行事等となるよう努めること。

②若年層や要配慮者を含めた幅広い層の住民の防災意識や災害時の行動力の向上に資するため、新技術の積極的な活用や体験性・ゲーム性を加味した種々の行事を組み合わせ、多くの住民が興味や関心をもって参加・体験でき、身近な防災活動に活かせることができるような実践的な内容となるよう努めること。

③防災に係る既存の各種訓練や運動等の関係行事と有機的関連を保持しつつ、相互の効率を上げるよう努めること。
その一環として、自衛隊、海上保安庁等国の機関と地方公共団体及びその他関係団体等との連携や情報連絡の緊密化等が、地域の実情に応じて更に円滑に行われるよう配慮すること。

④高齢者、障害者、乳幼児等の要配慮者に十分配慮し、地域において要配慮者を支援する体制が整備されるよう努めること。
また、社会福祉施設、医療施設等に対する的確な情報提供や地域と一体となった警戒避難体制の確立等への取組が更に推進されるよう努めること。

  • ⑤自主防災組織やボランティア、企業等民間の活動との協調に配慮すること。
    • ・災害時における企業の果たす役割(顧客・従業員の安全、二次災害の防止、経済活動の維持、地域社会への貢献)の大きさにかんがみ、各企業がその役割を十分に認識して更に防災活動を推進するよう、企業の防災意識の高揚等に努めるとともに、行事の実施に当たっては、積極的な企業の参加を得るようにすること。
    • ・建築、法律、救助、労働安全衛生等の専門分野についての深い知識や技能を持ったNPO、ボランティア等と連携を図るようにすること。
    • ・一般の国民が、復旧・復興や災害予防等の幅広い局面において、ボランティア活動に参加する際の情報提供等の環境整備を行うこと。

⑥参加者の防災意識の向上等が一過性のものとならないよう、11月5日の「津波防災の日」や1月17日の「防災とボランティアの日」等の防災に関する記念日の普及・啓発を行う等、防災週間終了後においても防災意識が定着するような内容となるよう努めること。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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