【区分】
第5期 復旧・復興期(3ヶ月~1年)
5-01.噴火活動の沈静化
1.マグマ活動の終息
【教訓情報】
01.7月10日に、火山噴火予知連が「一連の噴火活動が終息に向かっている」との統一見解を発表した。
【文献】
◆有珠山(732メートル)の火山活動について、火山噴火予知連絡会(予知連、会長・井田喜明東大地震研究所教授)は、10日午後、気象庁で会合を開き、「一連のマグマの活動は終息に向かっており、火砕サージを伴うような爆発性の強い噴火はないと考えられる」と、有珠山火山活動に関する新たな統一見解を発表した。この見解に基づき、虻田町は、現在指定している危険度の目安となる「カテゴリー」区域の見直し・緩和などを12日にも実施する見通しだ。[『有珠山−平成噴火とその記録−』室蘭民報社(2000/12),p.264]
◆予知連は東京の気象庁と伊達市の現地対策本部、札幌管区気象台をテレビ会議システムで結び、午後2時から会合を行った。その後井田会長らが気象庁で、宇井忠英北大教授らが伊達市の対策本部で午後7時半から同時に記者会見し、新統一見解を発表した。
見解では、観測データに基づき(1)地盤隆起は、大部分で反転して沈降傾向。さらに広域の変動もほぼ停止(2)噴火当初の噴煙には、マグマ起源の物質が多量に含まれたが、最近は水蒸気を主体とする活動に移行。爆発力、熱エネルギーは減少傾向−などと、「深部からのマグマの供給が途絶えた状態」と説明。
結論的に「一連のマグマの活動は終息に向かっている」とし、5月22日に初めて「終息」に言及した統一見解より、さらに一歩踏み込んだ。[『有珠山−平成噴火とその記録−』室蘭民報社(2000/12),p.264]
◆臨時火山情報 第22号(平成12年7月10日19時30分 室蘭地方気象台発表)
有珠山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解
有珠山では、北西山麓の金比羅山火口群と西山西麓火口群で水蒸気爆発が続いていますが、深部からのマグマの供給はほぼ停止しており、火山活動は徐々に低下していくものと考えられます。
一連の噴火活動は、深さ約10kmの深部マグマだまりから、深さ4~5kmの浅部マグマだまりに、噴火開始の直前にマグマが上昇してきたことにより始まったものと推定されます。さらに、この浅部マグマだまりから一旦上昇したマグマは、北西に向けて移動し、地盤の隆起と2つの火口群からの噴火を起こしてきました。
地盤の隆起は現在も西山西麓で続いていますが、一定の割合で鈍化しています。中心部の隆起速度は1日5cm程度になり、隆起域も狭くなりつつあります。5月中頃以降、山体の大部分では、変動方向が反転して沈降傾向になっています。この事実は、北西山麓の下に貫入したマグマの一部がさらに浅部に移動していく過程に対応するものと理解できます。更に広域の変動がほぼ停止していることから見ても、深部マグマだまりからの供給はほぼ途絶えた状態にあると考えられます。
噴火開始当初の噴煙にはマグマ起源の物質が多量に含まれましたが、その後噴火は水蒸気を主体とする活動に移行し、噴煙の高度、爆発力、熱エネルギーは減少傾向にあります。最近は、西山西麓火口群は間欠的に火山灰を噴出し、爆発力は弱くなっています。また、西山西麓火口の周辺には、熱水・噴気活動域の拡大が認められます。金比羅山火口群は空振・爆発音・噴石を伴って頻繁に爆発していますが、その活動度は最近低下してきました。噴石の落下範囲は、この1ヶ月ほどは、火口から少なくとも300m程度となっています。
地震活動は主に南西山麓で続いていますが、その規模・回数は徐々に低下しつつあります。
以上のように、深部からのマグマの供給はほぼ停止しており、一連のマグマの活動は終息に向かっていると考えられます。
今後、火砕サージを伴うような爆発性の強い噴火はないと考えられます。しかし、現在までに上昇してきたマグマが熱を供給し続けていることから、当分の間、現在と同様の爆発が両火口群で継続すると考えられ、火口から500m程度の範囲では、噴石や地熱活動に対する警戒が必要です。
『臨時火山情報 第22号(平成12年7月10日19時30分 室蘭地方気象台発表)』
第5期 復旧・復興期(3ヶ月~1年)
5-01.噴火活動の沈静化
1.マグマ活動の終息
【教訓情報】
01.7月10日に、火山噴火予知連が「一連の噴火活動が終息に向かっている」との統一見解を発表した。
【文献】
◆有珠山(732メートル)の火山活動について、火山噴火予知連絡会(予知連、会長・井田喜明東大地震研究所教授)は、10日午後、気象庁で会合を開き、「一連のマグマの活動は終息に向かっており、火砕サージを伴うような爆発性の強い噴火はないと考えられる」と、有珠山火山活動に関する新たな統一見解を発表した。この見解に基づき、虻田町は、現在指定している危険度の目安となる「カテゴリー」区域の見直し・緩和などを12日にも実施する見通しだ。[『有珠山−平成噴火とその記録−』室蘭民報社(2000/12),p.264]
◆予知連は東京の気象庁と伊達市の現地対策本部、札幌管区気象台をテレビ会議システムで結び、午後2時から会合を行った。その後井田会長らが気象庁で、宇井忠英北大教授らが伊達市の対策本部で午後7時半から同時に記者会見し、新統一見解を発表した。
見解では、観測データに基づき(1)地盤隆起は、大部分で反転して沈降傾向。さらに広域の変動もほぼ停止(2)噴火当初の噴煙には、マグマ起源の物質が多量に含まれたが、最近は水蒸気を主体とする活動に移行。爆発力、熱エネルギーは減少傾向−などと、「深部からのマグマの供給が途絶えた状態」と説明。
結論的に「一連のマグマの活動は終息に向かっている」とし、5月22日に初めて「終息」に言及した統一見解より、さらに一歩踏み込んだ。[『有珠山−平成噴火とその記録−』室蘭民報社(2000/12),p.264]
◆臨時火山情報 第22号(平成12年7月10日19時30分 室蘭地方気象台発表)
有珠山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解
有珠山では、北西山麓の金比羅山火口群と西山西麓火口群で水蒸気爆発が続いていますが、深部からのマグマの供給はほぼ停止しており、火山活動は徐々に低下していくものと考えられます。
一連の噴火活動は、深さ約10kmの深部マグマだまりから、深さ4~5kmの浅部マグマだまりに、噴火開始の直前にマグマが上昇してきたことにより始まったものと推定されます。さらに、この浅部マグマだまりから一旦上昇したマグマは、北西に向けて移動し、地盤の隆起と2つの火口群からの噴火を起こしてきました。
地盤の隆起は現在も西山西麓で続いていますが、一定の割合で鈍化しています。中心部の隆起速度は1日5cm程度になり、隆起域も狭くなりつつあります。5月中頃以降、山体の大部分では、変動方向が反転して沈降傾向になっています。この事実は、北西山麓の下に貫入したマグマの一部がさらに浅部に移動していく過程に対応するものと理解できます。更に広域の変動がほぼ停止していることから見ても、深部マグマだまりからの供給はほぼ途絶えた状態にあると考えられます。
噴火開始当初の噴煙にはマグマ起源の物質が多量に含まれましたが、その後噴火は水蒸気を主体とする活動に移行し、噴煙の高度、爆発力、熱エネルギーは減少傾向にあります。最近は、西山西麓火口群は間欠的に火山灰を噴出し、爆発力は弱くなっています。また、西山西麓火口の周辺には、熱水・噴気活動域の拡大が認められます。金比羅山火口群は空振・爆発音・噴石を伴って頻繁に爆発していますが、その活動度は最近低下してきました。噴石の落下範囲は、この1ヶ月ほどは、火口から少なくとも300m程度となっています。
地震活動は主に南西山麓で続いていますが、その規模・回数は徐々に低下しつつあります。
以上のように、深部からのマグマの供給はほぼ停止しており、一連のマグマの活動は終息に向かっていると考えられます。
今後、火砕サージを伴うような爆発性の強い噴火はないと考えられます。しかし、現在までに上昇してきたマグマが熱を供給し続けていることから、当分の間、現在と同様の爆発が両火口群で継続すると考えられ、火口から500m程度の範囲では、噴石や地熱活動に対する警戒が必要です。
『臨時火山情報 第22号(平成12年7月10日19時30分 室蘭地方気象台発表)』
