04.室蘭民報や北海道新聞は、避難者に向けた各種情報提供を行った。

 【区分】
第3期 噴火継続対応期(最初の噴火~2週間)
3-04.避難生活の支援
1.避難住民への各種情報の提供
【教訓情報】
04.室蘭民報や北海道新聞は、避難者に向けた各種情報提供を行った。
【文献】
◆77年有珠山噴火で、(1)困難こそ人を伸ばす(2)新しい住民連携が生まれる(3)一つの災害で人間と社会と科学が一段進歩することなどを学んだ地元紙「室蘭民報」は、本格取材が始まった28日夕刻、現地で取材・編集活動の視点を説明し確認した。それは、(1)危険区域への突貫取材はしない。(2)火山用語に注意。火砕流・熱泥流などは観測陣の確認を待つ。(3)流言情報を取り上げない。(4)住民取材に細心の注意。避難所で「土足で上がり込む」ような取材の厳禁。(5)「声の大きい人々だけを取り上げない。」(6)大変だ!不安・恐怖の表現を避ける。(7)暮らしを支援する情報・救援情報を各機関に出させる問い合わせ、何が被災者の役に立つかを最優先に、雇用・救援情報を漏らさずに。(8)住民連携・行政連携を支援する。(9)噴火・火山情報、観測見直しを欠かさない。(10)美談ばかり探さない、悲劇ばかりも避ける、便乗に注意。などであった。
室蘭民報はまた、北大の岡田弘・宇井忠英教授の「減災のテトラヘドロン」すなわち、行政も科学者もマスメディアも、災害の主人公となり得る住民の自覚と行動を底辺から支援する必要があり、それが減災につながる、という意見に共鳴していた。岡田教授は「マスコミはブレが激しかった」と評したが、地元を知りつくしている室蘭民報にはそれがなく、その取材・編集活動は科学者からも、町行政関係者からも評価された。
北海道全域をエリアとする「北海道新聞」も災害取材のノウハウを持っていた。道新は93年7月の北海道南西沖地震で、被災住民に対する取材ルールを体験的に学んでいた。住民との信頼関係を築く、夜は取材しない、本人の了解なしに写真は撮らない等々である。[『2000年有珠山噴火・その記録と教訓』北海道虻田町(2002/12),p.580-581]
◆室蘭民報は77年噴火の経験から3月28日夜、現地で取材や編集の視点を明確にし、罹災者の心に土足で踏み込むような取材は厳禁したという。北海道新聞もまた、北海道南西沖地震の経験から罹災者との信頼関係を築くという視点を大切にして取材した。「減災のテトラヘドロン」構築を重視してきた研究者も、この両紙の報道姿勢、記事内容を高く評価している。罹災者の目線で取材し、不安や恐怖を募らせるような見出しを避け、罹災者はいま何を必要としているかを全国に訴え、罹災者に噴火とたたかう勇気と復興への希望を与えていった地元紙の記事と姿勢は多くの罹災者の好感を集めた。[『2000年有珠山噴火・その記録と教訓』北海道虻田町(2002/12),p.6]

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