【区分】
第4期 被災地応急対応期(9/4全島避難~平成14年3/12一時帰宅)
4-3.長期避難と避難生活
4.避難生活の問題点
【教訓情報】
06.テレホンカードの寄附は、学校生活の中で児童が親や家族とのコミュニケーションに役立った。
【文献】
◆秋川高校に避難してきて一週間が経った頃、小学校4年生の女の子数人が私を訪ねてきた。
そして、数十枚のテレホンカードを手渡してくれた。三宅島の子どもたちに渡してほしいという。避難してきた子どもたちがお父さんや母さんに会えないでいることをテレビで見て、「何か自分もできることはないか」と、お父さんと相談してテレホンカードを集めたという。その子は学級の友達にも呼びかけ、立川の駅前で募金箱に手作りの説明書きを貼り付けて、通りかかる人たちに声をかけた。たくさんの方々が協力してくれた。その1週間もかかって集めたという貴重なテレホンカードを私は手渡された。小学生の女の子が三宅島の子ども達のために駅前に立つというその実行力には本当に感激した。
一緒に付き添ってきてくれたお父さんからそのいきさつを聞いている時の、女の子とその友達の何とも言えない照れくさそうな満足したような表情が忘れられない。
そのお父さんは、実は私の学生時代の友人である。その友人も娘の姿に触発されたとのことで会社の関係者に声をかけて五〇〇枚ほどのテレホンカードを集めてきて、一緒に渡してくれた。
私たちが秋川に到着してまだ2週間というあわただしい中での忘れられない出来事であった。[『三宅島 こどもたちとの365日』小笠原康夫(2002/2),p.73-74]