12.津波は予想外の早さと規模で、住民に避難行動の適切な判断の余裕を与えなかった。


【区分】
第3期 地震被害発生期
3-4. 被災者の行動
1. 避難行動
【教訓情報】
12.津波は予想外の早さと規模で、住民に避難行動の適切な判断の余裕を与えなかった。
【文献】
◆北海道南西沖地震の第一次避難行動における決定的に重要な点は、地震後に襲った津波の規模と早さであった。地震の規模から判断して、また過去の日本海中部地震とそれに伴う津波の経験から判断して、津波が襲来するという予測をした住民は少なくなかった。しかしその予測も、どの程度の規模とどれくらいの早さにおいて、津波が襲来するのかということまでを念頭におき、避難行動をとるというものではなかった。証言や聞き取り調査結果からすると、被災者は、地震屋外に出て不気味なうなりの音を聞いた時、津波の襲来を察知した。あるいは、屋外に出た時、海面の隆起や自宅近くにすでに寄せてきている波の音で津波の襲来に気づいたということであった。(中略)。しかし予想外の津波の早さと規模は、津波に対する第一次避難行動の適切な判断の余裕を住民に与えないものであった。[『北海道南西沖地震に伴う家族生活と地域社会の破壊と再組織化に関する研究』北海道大学文学部(1999/11),p.15]
◆今回の北海道南西沖地震発生の際には、5分後に「オオツナミ」警報が札幌気象台より出されている。この警報発令は、手続きとしては物理的に限界に近い程の早さであって、称賛に値しよう。1983年の日本海中部地震の経験が生かされたとみられる。しかし、それらの情報が人々に充分に伝達される暇を与えず奥尻島を津波が襲い、多くの人々の生命を奪ってしまった。生き残ったのは、地震に反応して反射的に高所に逃げた人々であった。[『平成5(1993年)北海道南西沖地震 東京都調査班報告書』東京都(1994/1),p.28]

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