09.奥尻島津波の死者は半数近くが老年世代。


【区分】
第3期 地震被害発生期
3-2. 被害の概要
2. 人的被害
【教訓情報】
09.奥尻島津波の死者は半数近くが老年世代。
【文献】
◆奥尻町における死者総数198人中、61歳以上が90人で、実にその45.5%と突出しており、国勢調査による同世代の人口比率を、30%以上も上まわっているというのであるから事態は予想以上であった。昭和三陸津波と北海道南西沖地震津波における、地震からの時間的な余裕(即ち避難のための余裕)の差、等々、考慮すべき問題は他にもあるが、今回行った死亡者の世代別分類調査によって全体として明らかになり、再確認させられたのは、災害弱者としての子どもたちと、体の不自由なお年寄りや障害者の避難と安全を如何にして確保するかの問題である。事は深刻である。北海道南西沖地震津波の際、奥尻島では、歩けないお年寄りを避難させるためにリヤカーに乗せて一人で引っ張っていた娘さんが、カおよばず、ついに津波に追いつかれて共倒れになった例や、体の不自由なお年寄りだけを残して自分たちだけが逃げるわけにはいかないと、家族全員が一つの部屋に集まり、七人中、六人が共倒れになったなどの痛ましい事例が報告されている(『防災セミナー96・今、津波防災を考える』収録、広井惰「巨大津波と避難行動」)。さかのぼると昭和三陸津波の際も、老母を背負って避難しているうちに、ついに津波に追いつかれ、提灯を持って先に立っていた娘さんとともに三人が共倒れになってしまった村長(田野畑村)一家の遭難など、悲惨な事例が数多かった。こうした高齢者や体の不自由な人たちの避難と安全確保は、家庭内だけでは非常に難しい問題であり、自主防災組織などを中心に、地域ぐるみで協力し合い「私たちの町は私たちで守る」を合言葉に取り組む以外に解決の方法がない。自主防災組織が重視され、その活動への期待が高まっている所以である。[『津波の恐怖−三陸津波伝承録』山下文男(2005/3),p.91-92]

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