日時:平成18年11月7日(火)10:00~12:00
場所:虎ノ門パストラル 新館5階 ミモザ
(議事次第)
テーマ:「災害をイメージする能力を高めるコンテンツの充実」
「テーマ横断的に取り扱う事項」
(配布資料)






(概要)
災害被害を軽減する取組の実践例として、教育出版(株)から「防災に関する教科書と副読本の現状」、(株)まちづくり計画研究所から「『彼女を守る51の方法』~若い世代の防災力向上のために~」、事務局から骨子「災害をイメージする能力を高めるコンテンツの充実」、論点「テーマ横断的に取り扱う事項」について説明があった。これらに関して、以下のような発言があった。
○ 副読本の作成には、地域性を盛り込むなど、さまざまな工夫に感心させられたし、マンガやグラビアなど柔軟に新しいメディアを活用していくことが、若者等を取り込んでいくために重要なことが本日の発表でよく分かった。このような取組を通じて減災の取組が若い人にも広がっていくことを期待しているし、私どもも情報発信していこうと思う。
○ 「稲むらの火」は、災害情報伝達の重要なポイントを示唆している。「津波だ」と伝えるよりも、単に「稲むら」に火を点けるという行動が合理的であったことは多分に示唆的である。
例えば、ラジオで津波情報が出たら、すぐに車のクラクションを鳴らすなどの対応もあっていい。情報の高精度化は重要だが、いかにコンパクトに伝えるかは重要である。
○ 日本は災害大国なのだから、小学校入学以前からも子どもたちが自分の身を守るための知識を身につけることが大事だ。
○ 新たに企業の方がBCPなど防災担当になったときに、とりあえず読めるテキスト、情報が不足している。担当は2、3年おきに代わるわけであるし、特に初動時のイメージが分かるものがあるといい。エスノグラフィーなどを活用した訓練教材の必要性を是非位置づけてもらいたい。手軽にアクセスしやすい素材が欲しいという要望は強い。
○ 最も重要なテーマは住宅・建物の耐震化を国民運動として進めることであり、このことを、より強い形で示していくことが重要である。
○ 従来の被害予測や被害想定は、どうも数字だけを並べている印象がある。住民に被害のイメージが具体的に伝わっていないので、何らかの工夫が必要である。
○ 良い教材が出来ても、その場に集まってくれないと意味がない。防災の集まりには参加率が悪いが、お祭りなどでは近隣の住民はみな参加するので、そのような機会に乗っかって行っていく必要がある。また、コンテンツがあっても、それを皆に伝える機会と人材を欠いている。お祭りやレクリエーション的な機会にどんどん参加し、さらにその際に内容を親しみやすく伝える人材の育成も重要。
○ 毎年「防災とボランティアのつどい」を続けているが、だんだんに顔の見える関係が出来上がってくると取組が深まっていく。ネットワーク作りが重要だ。
○ 地震対策単独では難しいが、PTAなどでは不審者対策などと組み合わせて行うと参加者が増えた。
○ 考える場を与えるのがメディアの役割。よって地域においては、地方にある地元のメディアにも声をかけて、減災の取組に巻き込んでいくことが重要。
○ 国民運動のなかに、地方の拠点における活動を位置づけていかないと、個々の先進的活動が全国的なものとして波及していかない。
○ 教材については、完成された教材のみでなく、写真や動画などの素材を自由に使えるように配慮してもらいたい。再利用自由の素材の蓄積場所があれば、多種多様な活用方法が生まれてくる。
○ この数回、減災のコンテンツのご紹介を頂いているが。まだまだ全然出きっていない感が依然として強い。これからもこのような有益な情報の紹介と意見交換と新たな組み合わせによる防災活動を生み出す場を続けていくことが必要である。
この専門調査会のように、様々な提案を出し合い実際に取組む場は本当に貴重であり、継続していくべきと考えている。
また、このような取組は、国レベルのみならず、地域レベルでも取り組んで欲しいと思うので、各方面を通じ各地にも同様の取組の場づくりを呼びかけていって欲しい。
○ 多様な主体による、幅広い連携こそが、実効的で持続可能性のある取組につながる。防災白書などに国民運動についての分かりやすい図が掲載され、私どもの団体も国民運動の中に位置づけて頂いた。今後、白書のこの図のような資料を活用して、国民運動の重要性を知らしめる努力を続けてまいりたい。
○ 10回を超える会議を通じて、災害被害を軽減する国民運動が進んできていることを実感している。日本経団連のなかでも減災の国民運動に関する会合などで、会場に収容できないほど、回を追う毎に参加者が増えてきており、企業側の関心も高まっている。企業の生存本能が働いているとも考えられるが、皆、熱心に聞き、また取り組もうとしているところである。今後とも、この国民運動を続けていって、私たちの意識の中に減災のDNAが組み込まれるように努力していきたい。


