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別紙−2
地域防災計画における高潮対策の強化マニュアルのポイント
1.地域防災計画における高潮対策(以下、高潮防災計画)を策定する際の基本事項
- (1)ハード対策とソフト対策の一体化
- 高潮災害を防止するためには、海岸堤防や水門の整備等のハード面と、警戒・避難体制の強化といったソフト面とが一体となった総合的な対策が重要。
- (2)地域関係者が連携した防災対策
- 住民、海岸利用者、企業、行政が高潮危険性に対する共通の認識を持ち、「自分の身は自分で守る」との基本認識のもとで一体的に取り組んでいくことが重要。
- (3)同時発生災害への対応
- 豪雨による内水氾濫や地滑り、土石災害など、高潮発生時に同時発生する災害にも考慮することが必要。
- (4)被災形態の変化への対応
- 人口・背後地資産の集積等に加え、地下空間の活用展開に伴う地下街への高潮への浸水など、近年の被災形態への変化にも対応した防災対策が必要。
2.高潮防災計画の策定手順
計画策定のための調査や浸水被害の想定等を踏まえて、「高潮防災施設の整備」、「高潮に強い地域づくり」、「防災体制の強化」の3分野から検討し、高潮防災計画を策定する。
なお、利用状況や環境の変化に応じて随時計画の見直しを行う必要がある。
図−1 高潮防災計画の策定手順

3.高潮対策の強化
(1)高潮防災施設整備の観点からの高潮対策強化
- 越流した水が長時間背後地に湛水し、被害が拡大するのを防ぐためにも、背後地の内水対策を合わせて講じることが必要。
- 防災施設を整備するだけではなく、適切に維持・管理することが重要。
- 海岸と海岸付近の各施設(河川施設・港湾施設・漁港施設・干拓施設)との整備を連携して行うことが必要。特に、港湾・漁港は利用面を考慮しつつ整備を図ることが重要。
(2)地域づくりの観点からの高潮対策強化
- 臨海部の再開発計画で、土地利用規制等を活用し、高潮に強い土地づくりを推進することが必要。
- 避難・救護の拠点的性格を有する学校・病院等の公共施設の配置や構造、交通機関等骨格となる都市基盤の配置についても高潮に対して十分な安全性を確保することが重要。
- 臨海部では建物の構造等に考慮するとともに、地下鉄等の地下空間には防潮扉等の浸水対策を施すことが必要。
- 港湾・漁港に存する船舶や漁具等の流出により背後地へ被害を生じさせないよう、係留等の対策が重要
(3)防災体制の観点からの高潮対策強化
- 防災情報の収集から、警戒・避難、被害が発生した際の対策まで、市町村・都道府県・国等の関係機関が連携して防災対策に取り組むことが必要。
- 住民各自の適切な役割分担のもと、行政による取り組みと連携した防災対策を目指すことが必要。
4.ハザードマップの作成
(1)市町村長が主体となって、国・都道府県などの関係機関と協力して作成することが望ましい。
(2)地域の特性に応じて、以下の様な項目をハザードマップに記載する。
(2)地域の特性に応じて、以下の様な項目をハザードマップに記載する。
表ー1 高潮ハザードマップの主な記載事項
避難活用情報
災害学習情報
<浸水情報>- 浸水予想(浸水予想区域、予想浸水深ランク、予想到達時間など)
- 浸水実績(最大浸水区域、最大浸水深)
- 保全施設整備状況(堤防・護岸の現況天端高/計画天端高・老朽化度など)
- 避難が必要な地域(危険度ランク、要救護者施設、地下鉄・地下街の位置)
- 避難場所(高潮発生時に適した避難場所、公共施設、学校、病院等)
- 避難経路および危険箇所(避難経路、土砂災害の恐れがある等の危険箇所)
- 避難基準(避難命令等の発令基準、自主避難の重要性など)
- 情報の伝達手段(住民への情報の伝達経路と手段、情報入手方法)
- 作成主体(作成主体の名称、作成年月など)
- その他(避難時の心得、我が家の防災メモなど)
- 高潮発生のメカニズム(気象要因、地形的特徴)
- 高潮の危険性(氾濫形態、被害の内容、複合氾濫、複合災害)
- 気象に関わる基礎知識(気象用語、雨の降り方など)
- 既往高潮の情報(気象・水文、浸水被害、避難状況)
- 地域の歴史(地形形成史、市街地形成史、災害史)
- 高潮ハザードマップの見方
- 高潮ハザードマップの使い方
- 防災情報の伝達経路
- 常時、高潮時の心得
- 避難場所での過ごし方
- 付加情報
(3)高潮ハザードマップの中心となる危険度評価を定めるにあたり、下記の前提条件を基本に氾濫解析を行い、最大浸水深・浸水最短到達時間を求める。
表−2 氾濫解析を実施する際の前提条件及びパラメータ
前提条件
パラメータ
(1)地形条件 1)標高2)境界(2)外力条件 1)潮位2)波浪3)降雨(3)浸水条件 1)浸水開始時刻2)浸水形態3)浸水位置(4)避難条件 1)避難速度2)避難可能水深3)避難行動の開始(4)作成したハザードマップは住民への普及を図るとともに、社会状況の変化や計算技術の進歩などを考慮し、内容の見直しをおこなう。