三宅島島内における作業等の今後の進め方について
東京都災害対策本部
政府非常災害対策本部
1.現状と経緯
(1) | 三宅島においては、火山の活動は全体としては低下傾向にあると考えられ、全島避難 の要因となっている火山ガスの放出にも若干の低下傾向がみられるものの、火山ガスの 放出量は依然として高く、このような活動は今後も続くと考えられている。 |
(2) | 東京都及び政府においては、火山活動が沈静化した場合に住民の方々の一刻も早い帰島を実現するため、帰島時期の判断等を適切に行うことを可能とするとともに早急に本格的復旧作業に着手できるよう、火山観測・監視体制の強化、主要都道、電力等のライフラインの維持・復旧等を達成することを目指し、両者の密接な連携の下、これまで島内における各種作業及び作業員の安全確保のための対策を実施しているところであり、島を周回する都道の仮復旧等が実現しているところである。 また、これらに加え、泥流による道路・家屋へ被害が及ぶ事態が拡大しており、泥流被害防止対策の推進が喫緊の課題になっている。 |
(3) | 三宅島における作業を効率的に実施するため、島内の既存の堅固な建物に火山ガスに対する安全対策を施した施設(クリーンハウス)を整備する等の安全対策を講じて、島内夜間滞在を実施することとしているが、防災機関職員等によって5月4日から実施した夜間滞在の試行によって、クリーンハウスの安全性や緊急時の避難体制等が確認されたところである。(詳細は2ページの2.夜間滞在の趣旨・経緯) |
2.今後の進め方
これらの状況を踏まえ、本進め方に基づいて、状況に応じた適切な安全対策を講じることとし、7月9日を目途に一般の工事関係者も含めた本格的な夜間滞在を開始する予定である。
当面は、150人規模で夜間滞在を実施し、最終的には8月中を目途に300人規模の夜間滞在を行い、泥流対策等を効率的かつ集中的に行う予定である。
また、作業のために立ち入り可能な区域の拡大(山腹部の島内を周回する林道である鉢巻き道路より外側であったものを鉢巻き道路を含めてその外側とする。)等島内作業におけるカテゴリー区分等を見直すこととする。
問合わせ先 政府非常災害対策本部事務局 内閣府地震・火山対策担当 菅井、井上、西宮 電話03−3501ー5693 |
三宅島島内における作業等の今後の進め方についてのポイント
- ○現在の三宅支庁庁舎に加え、勤労福祉会館、三宅村役場庁舎についてもクリーンハウス化を進め、7月9日頃より、一般の工事関係者を含めた本格的な夜間滞在を開始する。当面は150人規模で実施し、さらにクリーンハウスを整備して、8月中を目途に300人規模の夜間滞在を実施する予定である。
- ○状況に応じた適切な安全対策の実施
1) 現在の安定した火山の状況が続く間は、自衛艦の近海待機等の特別の体制はとらないものの、艦船、ヘリコプターが基地等から迅速に出動する体制は維持する。(フェイズ1) 2) 火山観測データに異常が見られた場合は、即座に大規模噴火に至るおそれがない場合であっても、東京都手配の船舶が三宅島に待機する等速やかな島外避難が可能となる体制をとる。また、気象条件等島外避難が困難になる場合はあらかじめ島外に避難する等の安全対策を実施する。(フェイズ2) 3) 大噴火のおそれが高まった場合は、夜間滞在のみならず昼の作業も実施しない。(フェイズ3) - ○島内作業におけるカテゴリー区分の見直し
島内を危険度に応じて地域区分しているところであるが、作業のため立ち入り可能な区域(C3)の拡大(山腹部の島内を周回する林道である鉢巻き道路より外側であったものを鉢巻き道路を含めてその外側とする。)等の見直しを実施する。(別紙参照)
参考図
三宅島カテゴリー分けの新旧断面比較図

別図


三宅島島内における作業等の今後の進め方について
東京都災害対策本部
政府非常災害対策本部
1.今後の島内作業
三宅島噴火災害に関して、東京都及び政府においては、火山活動が沈静化した場合に、住民の方々の一刻も早い帰島を実現するため、帰島時期の判断等を適切に行うことを可能とするとともに、早急に本格的復旧作業に着手できるよう、火山等の観測体制の強化、主要都道、電力等のライフラインの維持等を達成することを目指し、これまで島内における各種作業及び作業員等の安全確保のための対策を実施しているところである。
これに加え、事態の長期化に伴い、泥流等により、応急復旧された道路等が再度被害を被るほか、避難者家屋等へ被害が及ぶ事態が拡大しており、砂防ダム、導流堤等を整備することにより泥流被害の防止対策を推進することが喫緊の課題となっている。
- (現状)
- 都道循環線で島内一周が可能、電気は24時間運転中、携帯電話は避難前の状態に復旧、ヘリポートは3か所(空港、三中、阿古)を確保した。
- (今後)
-
- ・都道循環線に仮橋(空栗、三七山)を7月中に設置し、都道一周を円滑にする。
- ・水道は、阿古から伊ヶ谷を回り神着まで6月に通水済み、引き続き三七山回りの工事を行う。
- ・砂防工事は、泥流監視装置(センサー、雨量計)を設置。27沢中16沢で家屋等の被害拡大防止のための工事を実施する。
2.夜間滞在実施の趣旨・経緯
- (1)夜間滞在の実施の趣旨
- 島内作業、特に緊急に実施する必要がある泥流対策を効率的かつ集中的に実施するため、島内作業の体制を強化し、これまでの神津島からの通勤方式に加えて、万全の安全対策を講じた上で三宅島における工事関係者等の島内夜間滞在を実施する。
- (2)経緯
-
- ・クリーンハウスの設置
- 夜間滞在場所として、東京都が噴石に対しても安全な構造・強度を有する建築物である三宅島伊豆地区の東京都三宅支庁第2庁舎に、高濃度の火山ガスを除去する能力を有する脱ガス装置を備えたクリーンハウスを整備した。
クリーンハウスは、脱ガス装置は故障等に備えて2機設置する、窓には噴石に備え強化樹脂等により覆いを設ける、設置位置は泥流被害のおそれがある箇所は避けるとともに港湾及びヘリポートまでの避難路を常時確保する、無線通信機器を配備する、発動発電機を装備して電力の多重化対策を施す、脱ガス装置のフィルター、防毒マスク、火山ガスの検知器、食・飲料について数量に十分に余裕をもって常備する等十分な安全性を確保したものとした。 - ・夜間滞在試行の実施
- 5月4日より、クリーンハウスの安全性能の検証等を行い、夜間滞在実施時の安全対策、夜間滞在実施の基準、緊急避難体制等を調査・検証し、成案を作成するため、防災機関職員等20名程度による試行を実施した。
夜間滞在実施に当たっては、万が一にも滞在者の生命、身体に危害を及ぼすことがないよう、緊急避難体制の整備等万全の安全対策を講じた。
- (3)試行により調査・検証した結果
-
- 1) クリーンハウスの防ガス性能の検証
- クリーンハウスの活性炭フィルターによるガス対策は万全であった。また、電力供給対策も3重の対策(東電、自家発電、発電車)で機能試験を実施したが良好であった。
- 2) 避難体制の検証
-
- ・都道一周開通により、車で昼夜ともおよそ1時間程度で余裕をもって一周できた。
- ・避難訓練(ヘリコプター、海上自衛隊の船舶、都手配小型船舶)も、各機関の協力でこれといった支障もなく実施できた。
- 3) その他
-
- ・食事対応
- 当初予定したレトルト食品による食事は不満の声が多く、神津島から食材を調達し自炊することとなった。試行終了後は、調理人による食事の提供を行うこととする。
- ・プライバシー問題
- 三宅支庁第二庁舎は、大部屋方式を予定したが、不満が多いため衝立による間仕切りを実施した。勤労福祉会館等今後設置するものについては、小部屋方式(4人から5人)とする等の工夫をする。
- ・娯楽設備
- 試行時は、テレビのみであったが、今後は、談話室や自動販売機等を設置する。
- ・風呂・シャワー
- 本格夜間滞在実施時には、風呂・シャワーに加え、温泉施設等も活用する。
3.夜間滞在の今後の予定
本格的夜間滞在の実施に当たって三宅島島内に医師を配置することとし、夜間滞在者の規模については、クリーンハウスの収容可能人員に対して余裕を持ったものとし、避難体制の検証等安全性を確認しつつ、クリーンハウスの規模拡充の状況を踏まえ、段階的に拡大することとする。
当面は、150人規模で滞在を開始し、最終的には8月中を目途に300人規模の夜間滞在を実施する。
- <クリーンハウスの整備予定>
-
1) 現状 三宅支庁第二庁舎(伊豆30人) 2) 7月初 勤労福祉会館(神着80人)、村役場(坪田30人) 累計140人 3) 7月末 ふるさと館 (阿古50人) 累計190人 4) 8月末 脱硫装置付き食事供給宿舎(150人) 累計340人
4.火山ガスの現状と火山活動の見通し
三宅島では、現在、多量の火山ガスを山頂火口から連続的に放出する火山活動が続いている。時々小規模噴火があるものの、噴石や多量の降灰を山麓までもたらす規模の噴火活動は、昨年9月以降発生していない。
地震活動・地殻変動に大きな変化は見られず、当面は現状と同様の活動が継続するものと思われることから、山麓に影響する規模の大規模な噴火の可能性は低いと考えられる。
このような火山活動の島内山麓部への影響については以下のとおり。
- (1)火山ガス
- 風下側に当たる領域では火山ガスが流れてくる可能性があり、実際に観測されている。風が弱い等の気象条件においては、噴煙はほぼ真上に上昇し、上空の風に流されていくため、島内が広くガスに覆われる可能性は低い。しかし、風がほとんどない場合には火口に溜まった火山ガスが山腹に沿って流下する場合もあるので窪地などガスの溜まりやすい場所については、注意が必要である。
- (2)爆発的噴火
- 山麓に噴石・火砕流をもたらす規模の噴火の可能性は低いと考えられる。また、現在のところ、このような規模の噴火が発生すると思われる異常な現象は見られていない。
- (3)泥流
- これまでの噴火により火山灰が堆積しており、降雨による泥流発生の危険がある。
5.安全対策の基本的考え方
- (1)段階的安全対策の実施
- 安全対策等の方針は火山の状況(大規模噴火のおそれの状況)に応じ、以下の3段階とする。
- ○フェイズ1(現状の安定した火山の状況が続いている場合)
- 現在の安定した火山の状況からは、緊急避難が必要になる大規模噴火はほとんど考えられない。このため、特別の緊急避難準備体制は取らないが、不測の緊急事態に備え、関係機関は船舶、ヘリコプターが駐在基地等から緊急連絡により迅速に出動できる体制を維持するとともに、情報連絡網等を整備する。
(フェイズ1の夜間滞在の安全対策についての詳細 「別紙1三宅島夜間滞在のフェイズ1の安 全対策の基本方針」) - ○フェイズ2(火山観測データに異常が見られた場合)
- 火山観測データに異常が見られた場合、即座に大規模噴火に至るおそれがないと思われる場合にあっても、火山活動に基本的な変化が発生していない又は火山活動が沈静化する方向で変化したと判断されるまでの間は、速やかな島外避難が可能となるような体制を取る。
1) 火山活動、火山ガス濃度、気象条件等により、夜間滞在を行うことが不適切と認められる場合には、夜間滞在を行わず、あらかじめ島外に退去する。 2) 気象条件等により緊急避難が困難となるおそれがある場合は、島外避難する。 3) 島外緊急避難を要する事態が生じた場合に備え、緊急避難体制の確保に万全を期する。 ・ 三宅島に東京都手配の船舶を配備し、緊急時の脱出に備える。 ・ 海上自衛隊の艦艇及び海上保安庁の巡視船が必要に応じ三宅島近海で待機する。 ・ 東京消防庁、警視庁、自衛隊、海上保安庁のヘリコプターが駐在基地等から緊急連絡により迅速に出動できる体制を維持する。 - ○フェイズ3(大規模噴火のおそれが高まったと判断される場合)
- 火山の状況から、大規模噴火のおそれが高まったと判断される場合は、夜間滞在はもちろん昼の作業も行わない。
- (2)段階的安全対策の実施体制
-
1) 火山観測データの異常とは、火山性微動の急増、継続的な顕著な地震の発生、噴煙の色等の異常変化、ガスの放出量の異常変化、GPSデータによる山体の変化等に異常(従来と異なる変化)が認められると気象庁が判断した場合とする。 2) 火山活動観測データの異常を気象庁が認めた場合は、東京都災害対策本部に速やかに連絡し、東京都災害対策本部は速やかに関係機関に連絡する。連絡を受けた関係機関はフェイズ2の安全対策の実施体制を速やかに整備し、島内滞在者がいる場合は、必要に応じ島外避難を実施する。 3) 気象庁は、火山活動に基本的な変化が発生していない又は火山活動が沈静化する方向で変化したと判断した場合は、東京都災害対策本部に連絡し、東京都災害対策本部は関係機関に連絡する。連絡を受けた関係機関はフェイズ1の安全対策の実施体制に移行する。 4) 気象庁は、大規模噴火のおそれが高まったと判断した場合は、東京都災害対策本部に連絡し、東京都災害対策本部は関係機関に連絡する。この場合、夜間滞在はもちろん昼の作業も行わないこととし、島内滞在者がいる場合は、緊急避難を実施する(フェイズ3の安全対策)。 5) 気象庁は、大規模噴火のおそれが低くなったと判断した場合は、東京都災害対策本部に連絡し、東京都災害対策本部は関係機関に連絡する。連絡を受けた関係機関はフェイズ2の安全対策に移行する。 - (3)島内作業実施に当たっての安全確保等
-
1) 引き続き、三宅島の全域を危険性からのカテゴリー区分を行い、それぞれの区域での安全確保のための非常時の行動等を設定することとする。
(詳細 「別紙3三宅島島内作業におけるカテゴリー区分について」)2) 引き続き、防毒マスクを装着する等の火山ガスに対する対策を実施することとする。
(詳細 「別紙三宅島島内作業における火山ガス対策について」及び「別紙5作業班が三宅島に入島して作業を行う場合の作業環境測定実施手順」)* なお、これまで島内作業実施に当たっての安全確保等について定めていた平成12年12月8日付け東京都災害対策本部・政府非常災害対策本部決定「三宅島島内における作業等の今後の進め方について」は廃止する。 - (4)火山噴火活動の監視体制
- 気象庁において観測データ及び遠望監視カメラ画像による監視体制をとる。また、必要に応じ、自衛隊機等による上空監視を行う。
別紙1
三宅島夜間滞在のフェイズ1の安全対策の基本方針
政府非常災害対策本部
三宅島での夜間滞在のフェイズ1の安全対策の基本方針を以下のとおり定める。
なお、この基本方針は、夜間滞在の結果等を踏まえ、今後、適時適切に見直しを行うこととする。
1.基本方針策定にあたっての考え方
夜間滞在に当たっては、万が一にも滞在者の生命、身体に危害を及ぼすことがないよう、クリーンハウスの安全性等に万全を期す。
2.クリーンハウスの安全性の確保等
(1) | 夜間滞在にあたっては、火山ガスから夜間滞在者を保護するため、夜間滞在場所として脱ガス機能を有するクリーンハウスを設置する。脱ガス装置は故障等に備え2機設置する。 |
(2) | クリーンハウスは高濃度の火山ガスを除去する能力を有するものとする。クリーンハウス内外においてガス濃度観測を常時実施する。 |
(3) | クリーンハウスには噴石等火山噴出物に対しても安全な強度・構造を有する建築物を使用し、窓に強化樹脂等により覆いを設ける等の機密性強化処置を講じる。 |
(4) | クリーンハウスの設置位置はC3領域(平成12年12月8日付け(平成13年6月29日一部修正)東京都災害対策本部・政府非常災害対策本部発表「三宅島島内作業におけるカテゴリー区分等について」による)内とし、泥流被害のおそれがある箇所は避けるとともに、港湾及びヘリポートまでの避難路を常時確保する。 |
(5) | クリーンハウスに無線通信機器(防災行政無線)を2器設置し通信体制を整える(以下、夜間滞在者の通信を「防災三宅」と称す)。夜間通信連絡先は東京都災害対策本部(東京都庁内)とする。 |
(6) | 発動発電機を装備し、電力の多重化対策を施す。 |
(7) | クリーンハウス内の常備品・消耗品等は、原則3日分以上備蓄する。 |
(8) | クリーンハウスには夜間当直を置く。 |
(9) | 夜間でも島内ヘリポートを使用できるよう、照明設備等を用意する。 |
3.夜間滞在実施の可否の判断基準
夜間滞在を実施するか否かについては、東京都災害対策本部が決定することとする。
判断基準は次のとおりとし、この基準のいずれかに該当する事態が発生した場合には、原則として夜間滞在を行わないこととする。なお、(3)及び(4)の場合は、当該障害等の生じたクリーンハウスに夜間滞在しないこととする。
- (1)火山活動の監視体制
- 夜間滞在時の火山活動に関する監視体制に不備が発生した場合(気象庁本庁が判断)
- (2)気象条件
- 台風等気象条件により長期間(概ね3日間程度)島内外交通が遮断されるおそれがある場合。
(気象庁、船舶運行者等からの情報により、東京都災害対策本部が気象庁と協議し判断) - (3)夜間滞在場所の火山ガス(二酸化硫黄)濃度
- 夜間滞在を実施するクリーンハウス周辺における東京都の火山ガス測定の実測値が15ppm以上であって、かつ気象庁の予報から見て風向、風速等の気象条件が好転しないと判断した場合(東京都災害対策本部が気象庁と協議し判断)
- (4)クリーンハウスの安全性
クリーンハウスに下記の障害等が生じ、修復等ができない場合は、当該クリーンハウスに夜間滞在しない。
1) 脱ガス装置、電力(発動発電器を含む)、建築物の物理的損壊の障害等、脱ガス機能に支障がある場合(夜間滞在責任者が判断) 2) 常備すべき物品の在庫が不足している場合(夜間滞在責任者が判断) 3) 通信施設等の障害により連絡手段に支障が生じた場合(夜間滞在責任者が判断) 4) 火山ガスの検知器(室外および室内)に障害が発生した場合(夜間滞在責任者が判断) 5) その他障害が生じ、夜間滞在責任者から報告を受けた東京都災害対策本部が総合判断して夜間滞在に適さないとした場合(東京都災害対策本部が判断) (注)夜間滞在責任者は、一人で判断するのでなく、副責任者と安全性等について十分検査・検討の上で判断することとする。
- (5)その他
-
1) 前項(1)〜(4)の他、夜間滞在に適さないと東京都災害対策本部が判断した場合。 2) 火山観測データに異常が見られた場合(フェイズ2の安全対策に移行)であって、フェイズ2の基準上夜間滞在に適さない場合。 3) 火山活動夜間滞在場所(C3領域)に影響を及ぼす噴火が予想されるなど、火山活動に異常が発生したと判断した場合。(気象庁が判断。)(フェイズ3の安全対策に移行。)
4.夜間滞在中の不測の緊急事態への対応
(1) | 船舶等の緊急出動体制の確保 | ||||||||||||
東京都手配船、海上自衛隊艦艇、海上保安庁巡視船、東京消防庁、警視庁、自衛隊、海上保安庁のヘリコプターは(4)、(5)1)、2)、3)の事態が生じた場合に駐在する港、基地等から緊急連絡により迅速に出動できる体制を維持する。 | |||||||||||||
(2) | 情報連絡網の整備 | ||||||||||||
不測の事態に備え、東京都害対策本部と関係機関への情報連絡網を別添のとおり定める。 ・緊急避難時に使用する連絡手段 防災三宅と東京都災害対策本部は防災行政無線で連絡を行う。 東京都災害対策本部は関係省庁と電話により連絡を行う他、艦艇及び巡視船と船舶電話、携帯電話で連絡を行う。 なお、ヘリコプターと防災三宅及びヘリコプター同士が連絡をとる必要がある場合は、123.45MHz帯による無線通信を行う。 | |||||||||||||
(3) | クリーンハウスの機能障害発生時の対応 | ||||||||||||
夜間滞在時に、脱硫装置等の故障、電力の供給停止、建築物の機密性の破損等クリーンハウスのガス防御機能が低下した場合、夜間滞在者は東京都災害対策本部(東京都庁内)にクリーンハウスの機能障害の状況、周辺のガス濃度等を東京都災害対策本部に報告し、指示をあおぐ。東京都災害対策本部はクリーンハウス内外の火山ガス濃度の報告を受けた上で、気象庁と協議の上、必要があれば(当該クリーンハウス周辺の火山ガス濃度が15ppmを超える場合など)島内における避難(他のクリーンハウスへの移動)を実施する。島内避難に当たってはガスマスクの装着、及び予備品、通信機器を携行し、避難場所等位置の確認の連絡を必ずとることとする。 | |||||||||||||
(4) | 急病人等が発生した場合 | ||||||||||||
三宅島在中の医師が当該急病人等に救急治療が必要と判断した場合、東京消防庁、警視庁、自衛隊又は海上保安庁のヘリコプターによる搬送を行う。 使用するヘリポートはガス濃度検知結果を基に、東京都災害対策本部(東京都庁内)が指定する。 | |||||||||||||
(5) | その他不測の事態の対応
|
5.夜間滞在時の火山活動等に関する監視体制
夜間滞在の場所は、三宅島島内作業におけるカテゴリー区分等について(平成12年12月8日付(平成13年6月29日一部修正)東京都災害対策本部及び政府非常災害対策本部)によるC3領域にあり、夜間滞在時においてもこの要領に従う監視体制を気象庁本庁において実施することとする。
この要領による「地震計、空振計による噴火現象の監視が実施できない場合」においては、3(1)にあるとおり、夜間滞在を行わないこととする。夜間滞在中にこのような事態が発生した場合には、4(5)1)による。
災害対策本部の緊急連絡体制

災害対策本部宿直時の緊急連絡体制

別紙2
三宅島夜間滞在のフェイズ2の安全対策の基本方針
政府非常災害対策本部
三宅島での夜間滞在のフェイズ2の安全対策の基本方針を以下のとおり定める。
なお、この基本方針は、夜間滞在の結果等を踏まえ、今後、適時適切に見直しを行うこととする。
1.基本方針策定にあたっての考え方
夜間滞在に当たっては、万が一にも滞在者の生命、身体に危害を及ぼすことがないよう、クリーンハウスの安全性等や緊急避難体制に万全を期すとともに、緊急避難を要する事態を極力回避するよう、夜間滞在実施の可否の判断を、安全性を最重要視した厳格なものとする。
2.クリーンハウスの安全性の確保等
(1) | 夜間滞在の試行にあたっては、火山ガスから夜間滞在者を保護するため、夜間滞在場所として脱ガス機能を有するクリーンハウスを三宅島島内に設置する。脱ガス装置は故障等に備え2機設置する。 |
(2) | クリーンハウスは高濃度の火山ガスを除去する能力を有するものとする。クリーンハウス内外においてガス濃度観測を常時実施する。 |
(3) | クリーンハウスには噴石等火山噴出物に対しても安全な強度・構造を有する建築物を使用し、窓に強化樹脂等により覆いを設ける等の機密性強化処置を講じる。 |
(4) | クリーンハウスの設置位置はC3領域(平成12年12月8日付け(平成13年6月29日一部修正)東京都災害対策本部・政府非常災害対策本部発表「三宅島島内作業におけるカテゴリー区分等について」による)内とし、泥流被害のおそれがある箇所は避けるとともに、港湾及びヘリポートまでの避難路を常時確保する。 |
(5) | クリーンハウスに無線通信機器(防災行政無線)を2器設置し通信体制を整える(以下、夜間滞在者の通信を「防災三宅」と称す)。夜間通信連絡先は東京都災害対策本部(東京都庁内)とする。 |
(6) | 発動発電機を装備し、電力の多重化対策を施す。 |
(7) | クリーンハウス内の常備品・消耗品等は、原則3日分以上備蓄する。 |
(8) | クリーンハウスには夜間当直を置く。 |
(9) | 夜間でも島内ヘリポートを使用できるよう、照明設備等を用意する。 |
3.夜間滞在実施の可否の判断基準
夜間滞在を実施するか否かについては、東京都災害対策本部が気象庁及び関係機関と協議し、当日の日没3時間前(夏場:概ね16時頃、冬場:概ね14時頃)までに決定することとする。
判断基準は次のとおりとし、この基準のいずれかに該当する事態が発生した場合には、原則として夜間滞在を行わないこととする。なお、(3)及び(5)の場合は、当該障害等の生じたクリーンハウスに夜間滞在しないこととする。
(1) | 火山活動の監視体制 | ||||||||||
夜間滞在時の火山活動に関する監視体制に不備が発生した場合(気象庁本庁が判断) | |||||||||||
(2) | 火山活動 | ||||||||||
夜間滞在場所(C3領域)に影響を及ぼす噴火が予想されるなど、火山活動に異常が発生したと判断した場合(気象庁本庁が判断)(フェイズ3の安全対策に移行) | |||||||||||
(3) | 夜間滞在場所の火山ガス(二酸化硫黄)濃度 | ||||||||||
夜間滞在を実施するクリーンハウス周辺における東京都の火山ガス測定の実測値が15ppm以上であって、かつ気象庁の予報から見て風向、風速等の気象条件が好転しないと判断した場合(東京都災害対策本部と気象庁本庁とで協議し判断) | |||||||||||
(4) | 気象条件
| ||||||||||
(5) | クリーンハウスの安全性
| ||||||||||
(6) | 前項(1)〜(5)に関わらず、夜間における島外避難のための体制(1.船舶(東京都手配船舶。なお、海上自衛隊艦艇、海上保安庁巡視船の近海待機を要請している場合にあっては、東京都手配船舶、海上自衛隊艦艇、海上保安庁巡視船。)、2.ヘリコプター)を確保できない場合 | ||||||||||
東京都災害対策本部が夜間滞在責任者、船舶運航者等からの通報を踏まえ判断する。当該関係機関は上述の体制を確保できない場合は、当日の日没3時間30分前までに東京都災害対策本部に連絡する。 | |||||||||||
(7) | その他 | ||||||||||
前項(1)〜(6)の他、夜間滞在に適さないと東京都災害対策本部が判断した場合。 |
4.夜間滞在時の避難体制
- (1)島外避難の手段及び待機体制
-
- 1) 手段
-
- ・東京都手配の船舶による島外脱出。 船舶で島外脱出を行う。
- ・海上自衛隊艦艇及び海上保安庁巡視船による島外脱出。
東京都手配の船舶が故障等の事由により使用できない場合は、海上自衛隊艦艇又は海上保安庁巡視船により島外へ脱出する。 - ・船舶での避難が出来なかった者等がいた場合はヘリコプター又は海上保安庁巡視船の搭載艇で避難する。この場合、海上保安庁巡視船は搭載艇を降下させ、滞在者を巡視船まで輸送し避難する。東京消防庁、警視庁、自衛隊、海上保安庁のヘリコプターは、三宅中学校(仮設)、阿古(仮設)、三宅空港のいずれかのヘリポートを利用する。
- 2) 待機体制
-
- ・東京都手配の船舶を三宅島に待機させる。
- ・必要に応じ、東京都からの要請に基づき海上自衛隊の艦艇、海上保安庁の巡視船は三宅島近海に待機する。
- ・東京消防庁、警視庁、自衛隊、海上保安庁のヘリコプターは、(2)1)、2)、(3)の事態が生じた場合、駐在基地等から緊急連絡により迅速に出動できる体制を維持する。
- (2)全員の島外避難の実施
-
- 1) 火山噴火のおそれがあると認められる場合(フェイズ3の安全対策に移行)
- 夜間滞在時に火山活動が急変し、夜間滞在場所(C3領域)に影響を及ぼす火山噴火が発生するおそれがあると気象庁が判断した場合、早急に島外避難を実施する。
東京消防庁、警視庁、自衛隊、海上保安庁は救出用ヘリコプターが駐在基地等からただちに出動できる体制をとる。海上自衛隊艦艇は三宅島沖合で待機体制をとる。海上保安庁巡視船は搭載艇による救助を行うための待機体制をとる。
東京都手配の船舶での全員の島外避難を実施する。東京都手配の船舶が故障等の事由により使用できない等の場合は、艦艇及び巡視船による救出を実施する。
ヘリコプター及び巡視艇の搭載艇による救出は、船舶による避難が出来なかった者等がいた場合に実施する。 - 2) 突然の噴火が発生した場合(フェイズ3の安全対策に移行)
- 突然の噴火が発生した場合、夜間滞在者はクリーンハウスで待機し、東京都災害対策本部による避難指示を待つ。
海上自衛隊艦船は三宅島沖合で待機体制をとる。海上保安庁巡視船は搭載艇による救助を行うための待機体制をとる。各機関は救出用ヘリコプターがただちに出動できる体制をとる。
気象庁は島外避難の時期を判断し、東京都災害対策本部はそれをもとに夜間滞在者へ島外避難の指示をする。
東京都手配の船舶での全員の島外避難を実施する。
東京都手配の船舶が故障等の事由により使用できない等の場合は、艦艇及び巡視船による救出を実施する。
ヘリコプター(飛行可能時)及び巡視艇の搭載艇による救出は、船舶による避難が出来なかった者等がいた場合に実施する。 - 3) 船舶の使用が困難になるおそれがあると判断された場合
- 東京都災害対策本部が船舶が使用困難になるおそれについて、東京都手配船舶運航者、自衛隊、海上保安庁から通報を受けて判断する。
この場合、東京都手配船舶の使用が困難になるおそれがある場合は島外避難を行う。なお、海上自衛隊艦船、海上保安庁巡視船の近海待機を要請している場合にあっては、東京都手配船、海上自衛隊艦船、海上保安庁巡視船のうち、いずれか1つが使用困難である場合は島外避難を行うこととする。
船舶の使用の可否は、船長が気象庁の予報や風、波等の実況をもとに判断する。
なお、当面、予報については風速10m/秒を超える風が予想される場合、また実況については風速10m/秒を超える風が一定の方向に1時間以上吹き続ける実況を運航困難の目安とし、その他、波高等の実況を踏まえ判断する。目安とした風の条件については、今後さらに風の実況と波の立ち方などを評価し、再度検討することとする。
避難にあたっては、東京都手配の船舶での全員の島外避難を実施する。
東京都手配の船舶が故障等の事由により使用できない等の場合は、艦艇及び巡視船による救出を実施する。 - 4) 気象庁の予報により、注意報及び警報が発表され、または発表される可能性があると気象庁が判断した場合。
- 東京都手配の船舶での全員の島外避難を実施する。
東京都手配の船舶が故障等の事由により使用できない等の場合は、艦艇及び巡視船による救出を実施する。
但し、気象条件が極めて急激に変化したため、島外避難について時間的余裕がないと判断する場合は、クリーンハウスで待機する(気象庁からの情報に基づき東京都災害対策本部が判断) - 5) その他、夜間滞在を続行すべきではないと判断される場合
-
- ・火山活動の監視体制に不備が発生
- ・通信機器等の障害等による連絡体制の不備が発生
- ・その他島外避難体制の維持が困難になる事態が発生
以上により夜間滞在をそのまま続行すべきではない状況となった場合、東京都災害対策本部は島外避難を決断する。島外避難方法については3)に準ずる。なお、東京都災害対策本部は判断に当たっては関係機関と協議するとともに、関係機関にあっては当該状況の変化を速やかに東京都災害対策本部に連絡し判断に必要な情報を提供すること。
- (3)急病人等が発生した場合の島外搬送
- 三宅島島内に在中する医師が当該急病人等に救急治療が必要と判断した場合、東京消防庁、警視庁、自衛隊又は海上保安庁のヘリコプターによる搬送を行う。
使用するヘリポートはガス濃度検知結果を基に、東京都災害対策本部(東京都庁内)が指定する。 - (4)島内避難(クリーンハウスの機能障害発生時の対応)
- 夜間滞在時に、脱硫装置等の故障、電力の供給停止、建築物の機密性の破損等クリーンハウスのガス防御機能が低下した場合、夜間滞在者は東京都災害対策本部(東京都庁内)にクリーンハウスの機能障害の状況、周辺のガス濃度等を東京都災害対策本部に報告し、指示をあおぐ。東京都災害対策本部はクリーンハウス内外の火山ガス濃度の報告を受けた上で、気象庁と協議の上、必要があれば(当該クリーンハウス周辺の火山ガス濃度が15ppmを超える場合など)島内における避難(他のクリーンハウスへの移動)を実施する。島内避難に当たってはガスマスクの装着、及び予備品、通信機器を携行し、避難場所等位置の確認の連絡を必ずとることとする。
- (5)緊急避難時の連絡体制等
-
- 1) 緊急避難時の関係機関の連絡体制
- 緊急避難時の東京都災害対策本部と関係省庁の連絡体制を別添のとおり定める。
- 2) 緊急避難時に使用する連絡手段
- 防災三宅と東京都災害対策本部は防災行政無線で連絡を行う。
東京都災害対策本部は関係省庁と電話により連絡を行う他、艦艇及び巡視船と船舶電話、携帯電話で連絡を行う。
なお、ヘリコプターと防災三宅及びヘリコプター同士が連絡をとる必要がある場合は、123.45MHz帯による無線通信を行う。
- (6)島外避難及び島内移動時の現地での留意事項
- 島外避難及び島内の移動による避難時においては、以下の安全確保等に留意するものとする。
- 1) ガス濃度の観測
- ガス検知器を携帯し、定期的にガス濃度を観測する。
- 2) ガスマスクの装着
- ガス濃度を測定の上、基準値を超える場合にはガスマスクを装着する。また、予備の吸収缶を携行する。
- 3) シェルターへの退避
- 火山噴火時においては、火山噴火が一時沈静化するまでクリーンハウス、都道沿いに設置されたシェルター等に退避する。
- 4) 通信機器の携行
- 東京都災害対策本部からの指示を受信するため、常に通信機器を携行する。
5.夜間滞在時の火山活動等に関する監視体制
夜間滞在の場所は、三宅島島内作業におけるカテゴリー区分等について(平成12年12月8日付け(平成13年6月29日一部修正)東京都災害対策本部及び政府非常災害対策本部)によるC3領域にあり、夜間滞在時においてもこの要領に従う監視体制を気象庁本庁において実施することとする。
この要領による「地震計、空振計による噴火現象の監視が実施できない場合」においては、3(1)にあるとおり、夜間滞在を行わないこととする。夜間滞在中にこのような事態が発生した場合には、4(2)5)による。
災害対策本部の緊急連絡体制

災害対策本部宿直時の緊急連絡体制

八丈島測候所が伊豆諸島南部(三宅島を含む)に発表する
注意報・警報基準一覧表
注意報・警報名 | 三宅島を対象とする注意報・警報基準 | |
---|---|---|
注意報 | 強風注意報 | 平均風速15m/s以上 |
波浪注意報 | 3.0m以上(有義波高) | |
高潮注意報 | +2.0m以上(MSL上) | |
大雨注意報 | 1時間雨量 30mm以上 3時間雨量 60mm以上 24時間雨量 150mm以上 | |
警報 | 暴風警報 | 平均風速30m/s以上 |
波浪警報 | 6.0m以上(有義波高) | |
高潮警報 | +3.0m以上(MSL上) | |
大雨警報 | 1時間雨量 50mm以上 ※ 3時間雨量 100mm以上 24時間雨量 300mm以上 |
※:降り出しからの積算雨量が150mm以上の条件付き
別紙3
(平成13年6月29日一部修正)
三宅島島内作業におけるカテゴリー区分等について
政府非常災害対策本部
三宅島火山活動の状況等を踏まえ、島内での観測機器の設置、ライフライン施設の維持等のために必要な作業及び火山の観測等を円滑に進めるため、噴石、火砕流及び火山ガスの危険性を考慮したカテゴリー区分、及びその区域内でこれらの作業等を行うにあたって、防災作業関係者に対する作業条件等を平成12年12月8日に定めたところであるが、今般、
「脱ガスの進行によって火山の活動は全体としては低下傾向にあり、山麓に影響するような大きな規模の噴火の可能性は低いと考えられます。」等の火山噴火予知連絡会見解を受けて、これの見直しを行うこととした。
今後とも、カテゴリー区分及びその区域内での作業条件等については、火山活動の状況、観測機器の整備状況、道路啓開やコンテナシェルター等の安全対策の整備状況に応じて、適時適切に見直すこととする。
なお、東京都現地災害対策本部(以下「現地対策本部」と言う。)での作業計画の調整等の諸手続については別途現地対策本部で定めるものに従うこととする。
1 カテゴリーの定義等
- (1) C1
-
1) 区域 火口縁の外側約100m以内(別図のとおり) 2) 規制 立ち入り禁止 3) 説明 前兆的な現象の把握が困難な
・小規模噴火(噴出物の初速度が100m/s未満、有色噴煙の高さが山頂から2000m以下)
・カルデラ火口壁の崩落(これまでの崩落状況をみて念のため火口縁から100m)
による危険性のある区域。 - (2)C2
-
1) 区域 C1の外側より火口縁から約500〜700m外側までの区域(別図のとおり) 2) 規制 原則立ち入り禁止。
ただし、火山専門家、火山専門家が同行する観測機器設置作業或いはライフライン維持作業等に必要な最小限の防災作業関係者のみ、厳重な監視の下に避難拠点まで5分程度以内で避難できる範囲に立ち入り可。
(参考) 車の場合:避難拠点から概ね1kmの範囲。
徒歩の場合:避難拠点から概ね300mの範囲。
車の速度は時速12km(200m/分)、徒歩の速度を時速4km弱(60m/分)と想定。
さらに、入域に際しては、所要の火山ガス対策を講じる必要がある。3) 説明
噴石・火砕流がC2領域に影響するような噴火については、火山性微動、噴気現象等の微弱な前兆的な現象しか現れない可能性が高い。このため、遠望監視カメラ画像による監視、現地における火山専門家による監視並びに地震計及び空振計等の観測機器による監視等を総合した厳重な監視の下に限定的に立ち入りを認めることとする。 - (3)C3
-
1) 区域 C1及びC2の区域を除く三宅島島内の区域 2) 規制 火山専門家、防災作業関係者のみ立ち入り可。
ただし、避難拠点まで10分程度以内で避難できる範囲に限る。
(参考)車の場合:避難拠点から概ね2kmの範囲。
徒歩の場合:避難拠点から概ね600mの範囲。
さらに、入域に際しては、所要の火山ガス対策を講じる必要がある。
なお、C2区域を経由してC3区域に入域し、作業を行う場合はC2区域の規制に従う。3) 説明
噴石・火砕流がC3領域に影響するような噴火については、その可能性が低いと考えている。万一このような大規模噴火が発生する場合においては、噴火の開始が地震計及び空振計等の観測機器により噴火の発生が直ちに確認でき、噴火開始から致命的な被害をもたらす噴石・火砕流の発生まで一定の時間があることから、地震計及び空振計等の観測機器による監視の下に火山専門家、防災作業関係者の入域を認めることとする。 - (4)C4
-
1) 区域 三宅島の海岸から約1.5kmの海域 2) 規制 島内作業のための船舶については、予め現地対策本部に登録した船舶のみ入域可。それぞれの船舶については現地対策本部との連絡が取れる体制が整備されていること。
火山ガスの危険性もあり、所要のガス対策が講じられるよう準備が必要。3) 説明
C4領域に影響する噴火の可能性は低いと考えている。しかし、万一このような噴火が発生した場合の安全対策が必要である。
2 作業実施のための監視体制
- (1)C2
- 下記による総合的な監視を実施する。
1) 噴気現象等の変化 遠望監視カメラ画像による監視 (気象庁本庁)
遠望監視カメラ画像による監視が実施できない場合であって作業を実施する必要性が高い場合は、自衛隊機(P3C)等による上空監視により代替することができることとする。2) 地震・地殻変動等の変化 地震計、空振計、GPS等の観測データによる監視
(気象庁本庁)1) 現地での火山観測 火山専門家による監視 - (2)C3
-
1) 噴火の監視 地震計、空振計の観測データによる監視(気象庁本庁)
地震計、空振計による噴火現象の監視が実施できない場合であって作業を実施する必要性が高い場合は、自衛隊機(P3C)等による上空監視により代替することができることとする。2) 地震・地殻変動等の監視 地震計、空振計、GPS等の観測データによる監視
3 作業開始にあたっての安全確認
作業実施にあたっては、現地対策本部において火山の活動状況、気象予測等と作業内容等を踏まえ、十分な安全確認を行ってから実施の可否を決定する。
4 緊急に作業中止等する場合の条件とその対応
- (1)噴火が発生した場合
-
1) C2、C3区域共に、2000m以上の有色噴煙、或いはそのような噴火に伴うと考えられる微動及び空振、又は規模は不明であるが大きい可能性があると判断される噴火を気象庁において観測したとの連絡が、現地対策本部からあった場合には、即座に避難拠点に避難し、その後の行動については現地対策本部の指示に従う。 2) 島内作業者が噴火を確認した場合には、現地対策本部に連絡するとともに避難拠点に自主避難し、その後の行動については現地対策本部の指示に従う。連絡を受けた現地対策本部は噴火した旨をC2、C3区域の全作業班に連絡し、避難拠点に避難するよう指示する。避難した各作業班はその後の行動について現地対策本部の指示に従う。 - (2)火山現象に異常が発生した場合
-
1) 気象庁において、噴煙現象、地震・地殻変動等の変化及び現地火山専門家による観測を総合的に検討し、C2、C3区域それぞれ避難の必要があるとの判断の連絡が現地対策本部にあった場合には、各作業班の対応については次のとおりの対応とする。
C2:速やかに作業を中止し、C3区域に避難、現地対策本部からのその後の行動についての指示に従う。
C3:現地対策本部から連絡があった場合にはその指示に従う。2) 現地火山専門家が火山活動に異常が発生し、速やかに避難すべき、もしくは避難する必要があるかもしれないと判断した場合には、現地対策本部へその内容を連絡するとともに、次のとおりの対応とする。連絡を受けた現地対策本部はC2区域にいる全作業班へC3区域への避難を指示する。各作業班の対応については次のとおりとする。
C2:速やかに作業を中止し、C3区域に避難、現地対策本部からのその後の行動についての指示に従う。
C3:現地対策本部から連絡があった場合にはその指示に従う。 - (3)作業実施のための監視体制に支障が生じた場合
- 現地対策本部から「作業実施のための監視体制」に支障が生じたとの連絡があった場合には、次のとおりの対応とする。
C2:速やかに作業を中止し、C3区域に避難し、島外避難について現地対策本部の指示に従う。
C3:速やかに作業を中止し、島外避難について現地対策本部の指示に従う。
5 火山ガスに対する警戒
作業場所周辺の火山ガス濃度については、C2からC4の全ての区域で十分安全性を確認して作業する必要があり、許容ガス濃度、各作業班が装備すべきガス関係機器、作業実施にあたっての対応等詳細については、別途定める「三宅島島内作業等における火山ガス対策について」に従うこととする。
なお、各作業班はこれに従って定期的に作業場所でのガス濃度を確認し、現地対策本部へ連絡する。また、現地対策本部は全作業班へ各作業班からの濃度確認情報及び島内の定点火山ガス観測装置の測定値を全作業班へ適時連絡する。
6 泥流に対する警戒
泥流の発生はこれまでの雨でもほぼ特定されており、作業を行うにあたっては事前に現地対策本部でこれらの場所や状況の確認を行う。また、これらの場所では降雨時には作業を行わないとともに、その場所で雨が降っていない時についても、山頂部で雨が降っている可能性のある場合(山頂が雨雲で覆われている場合など)には、原則として作業を行わないこととする。
泥流が発生すると道路の寸断等により、退路を断たれることがあるので、雨が降っている時には、泥流が発生しない場所においても、移動路の十分な確認を行い、退避不能な場所での作業は行わないこととする。
林道雄山環状線(鉢巻き道路)及びこの道路を経由して入域し作業を行う場合には、特にこれらに警戒することとする。
7 連絡体制について
各防災作業班に連絡責任者をおき、事前に現地対策本部へ届け出ておく。さらに各防災作業班は東京都防災無線を必ず携行することとする。また、衛星携帯電話、携帯電話を携行し、それぞれの番号を事前に届け出る。
異常を検出した場合の連絡体制は別紙のとおりとする。
8 島外避難等の方法について
島外避難、急病人の搬送の方法については、別紙1「三宅島夜間滞在のフェイズ1の安全対策の基本方針」及び別紙2「三宅島夜間滞在のフェイズ2の安全対策の基本方針」に準ずるものとする。また、異常を検出した場合の連絡体制は別添のとおりとする
- 【以上で使用した用語について】
-
噴火: 火口から火山灰等の固形物や溶岩を火口付近の外へ放出する現象。 火山専門家: 気象庁、大学等研究機関、東京都のそれぞれが火山専門家と認め、予め現地対策本部に登録された者。 防災作業関係者: 観測機器設置、ライフライン維持、現地状況の把握、警戒・緊急連絡等に従事するため、国、東京都、三宅村等の防災関係機関、大学等研究機関、電力・通信事業者等のそれぞれが必要と認め、予め現地対策本部に登録されている者。 避難拠点: コンテナシェルター・堅固な建物・耐熱車両。
別添
4.(2)の異常を検出した場合の連絡体制


別図


別紙4
三宅島島内作業等における火山ガス対策について
政府非常災害対策本部
(事務局国土庁、環境庁、
厚生省、気象庁、労働省)
三宅島では、多量の火山ガスが連続的に噴出しています。
三宅島島内での火山ガス(二酸化硫黄SO2、硫化水素H2S)に対する遵守事項等を取りまとめましたので、島内で活動する方は、これら事項を熟知し、安全の確保をお願いします。
1.必ず携行するもの
- 1) 国家検定に合格した亜硫酸・いおう用防毒マスク(全面形)及び予備の吸収缶(各自)
- 2) ガス検知器(各グループで1台以上)
- 3) 空気呼吸器(各グループで1台以上)
2.現場での活動
各グループに安全責任者(原則として「酸素欠乏危険作業主任者」及び「特定化学物質等作業主任者」の資格を有する者、これらがいない場合には火山ガスの有害性に関して十分な知識を有する者)をおくことし、現場での安全対策等について安全責任者の指示に従うこととする。
- (1)島に上陸する前に
-
1) 上陸前に、作業区域の火山ガスの状況と火山ガスの濃度による作業基準を踏まえた、現地作業の可否について、東京都現地対策本部の指示に従うこと。 2) ガス検知器のスイッチを入れる(バッテリーは大丈夫か、0点調節は大丈夫か。)。 3) 防毒マスクの携帯を確認する(きず、ひび割れ、部品の接合部の隙間、汚れがないか。排気弁の気密性が保たれていること。吸収缶が適切にとりつけられているか。吸収缶が破損又は変形していないこと。)。 4) 安全責任者に、当日使用する吸収缶の使用限度時間を確認する。さらに、使用限度時間及び当該吸収缶の前日までの使用時間から残りの使用可能時間が十分でないと判断される場合は、新しい吸収缶と交換する。
なお、使用限度時間は、安全責任者が現地対策本部と相談の上、吸収缶のメーカー等への照会結果等に基づいて、作業場所における空気中に存在する有害物質の濃度、作業場所における温度や湿度を考慮して余裕のある時間を設定すること。5) 予備の吸収缶の携帯を確認する(破損又は変形していないこと。)。 6) 空気呼吸器の携帯を確認する(圧力指示計により空気が十分あるか。)。 7) 取扱い説明書等により亜硫酸・いおう用防毒マスク及び空気呼吸器の装着方法等を確認する。 - (2)現場では(移動中も含む)
-
1) ガス検知器により火山ガス濃度を、定期的に確認する。 2) 防毒マスクを装着しないで作業を行っているときに、ガス濃度が許容濃度を超えた場合、ガス検知器が検知しない場合でも刺激臭或いは不快臭を感じた場合には、周囲の作業者に知らせるとともに、防毒マスクを装着し、ガス濃度の低い方にすぐさま退避する。 3) 防毒マスクを装着し、引き続き作業を行う場合には、現地災害対策本部と連絡し許可を得ることとする。この場合のガス濃度の上限はSO2:20ppm、H2S:10ppmとする。 4) 噴煙の流れる方向を考慮して、濃度の高い火山ガスが流れてくる可能性があると予想される場合には、事前に退避する。あるいは防毒マスクを装着するなど適切に対処するよう注意すること。 5) 火山ガスは空気より重いので、無風状態の時等ガスが拡散しにくい気象条件の時には、くぼ地や谷地形等、ガスが溜まりやすい場所には近づかないよう注意すること。 6) 立ち入る現場の硫化水素濃度等が不明の場合又は硫化水素濃度等を測定するため現場に入る場合は、空気呼吸器を使用する。 7) 作業中、身体に異常を訴えた場合には速やかに現地災害対策本部と連絡しその指示に従うこととする。 8) その他、現場において緊急の事態が発生した場合には、安全責任者の指示に従うこととする。 - (3)島から戻ったら
-
1) すぐに、手と目を洗い、うがいをする。 2) 目に刺激を感じたり、咳がでたりした場合には、医療機関に相談する。 3) 使用時間記録カード(防毒マスク又は吸収缶に添付されている)に防毒マスクの使用した時間を必ず記録すること。 4) 空気呼吸器を使用した場合は、圧力指示計により使用可能時間を確認し、必要に応じて高圧空気容器を交換する。 5) ガス検知器の充電を行う。
3.その他、特に注意すること
(1) | 喘息等の呼吸器系の疾患のある方は、健康な方に比べ極めてわずかな濃度のガスでも発作を起こし、致命的な事態となることがあります。三宅島への派遣職員等として参加しないで下さい。 |
(2) | 本人が自覚していなくとも、潜在的に喘息等の呼吸器系の疾患のある方もいます。健康な方も、火山ガスに近づく場合は注意して下さい。 |
(3) | 暴露時間が短い、或いは労働強度が弱い場合でも、許容濃度を超える場合または異臭を感じた場合には防毒マスクを装着してください。(二酸化硫黄及び硫化水素は水に溶けやすいのですぐさま避難する場合には、防毒マスクのかわりに濡れタオルで鼻と口を覆うのも有効です。)。 |
(4) | 火山ガスの特徴等を、別紙に添付しています(出典:化学物質の危険・有害便覧、労働省安全衛生部監修、中央労働災害防止協会編)。上記事項も踏まえ、作業時の参考にして下さい。 |
4.その他
上記対策に掲げられたものと同等又はそれ以上の特別な安全装備により行われる緊急の救助活動や火山ガスの調査等においては、この限りではありません。
【参考】
- (1)防毒マスクを装着しない場合の許容濃度等
-
通常の労働(1日8時間、週40時間程度で肉体的に激しくない労働)で、当該物質(今回の場合は火山ガス)の平均暴露濃度(呼吸保護具を装着していない状態で吸収するであろう当該物質の濃度)がある数値以下であればほとんどの方に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度として、許容濃度と呼ばれているものがあります。許容濃度は、日本産業衛生学会(以下、産業衛生学会という。)、ACGIH(American Conference of Gavernmental Industrial Hygienists )が勧告しています。二酸化硫黄及び硫化水素の許容濃度は次のとおりです。
二酸化硫黄S02: 許容濃度 産業衛生学会 (検討中) ACGIH 2ppm 硫化水素H2S: 許容濃度 産業衛生学会 10ppm ACGIH 10ppm 混合物質の許容濃度:許容濃度の数値は当該物質が単独で空気中に存在する場合のものです。2種類以上の物質に暴露される場合には、個々の物質の許容濃度でなく、次式によって計算されるIの値が1を越える場合に許容濃度を超える暴露と判断するのが適当です。
I=(S02の平均暴露濃度)/2ppm+(H2Sの平均暴露濃度)/10ppm
- (2)防毒マスクを装着する場合の濃度の上限
- 二酸化硫黄SO2:20ppm、H2S:10ppm
SO2の20ppmについては、防毒マスクを装着すればこれ以上でも安全であるものの、防毒マスクの装着が十分でない場合も考慮し、防毒マスクをつけない場合において20ppm以上になると、目に刺激を感じ,せきがひどくなると言われていることから20ppmを上限とした。H2Sについては、三宅島の火山ガスについてはこれまでの測定からH2SはS02の1/5程度以下であることから、SO2が上記20ppmの場合でも4ppm以下であることから、H2Sについては防毒マスクを装着しない場合と同様とした。
別紙5
(平成13年6月29日一部修正)
作業班が三宅島に入島して作業を行う場合の作業環境測定実施手順
政府非常災害対策本部
(事務局内閣府、環境省、
厚生労働省、気象庁)
三宅島では、多量の火山性ガスが噴出し続けています。島内作業を安全に進めるため、以下の手順で環境測定を行い、緊急時に対処することが必要です。これらの事項を熟知し、安全の確保をお願いします。作業班は、安全責任者を決め、安全の確保をした上で作業を行うこととします。
また、東京消防庁、警視庁及び東京都現地対策本部員は、各地区ごとに巡回し、安全を確保することとします。
1 船舶での入港に際しての手順
三宅島への入港場所は、風向、噴煙の方向等を考慮し、できるだけ噴煙の下流方向にならない位置を選択する。
- (1)着用物
-
1) 防毒マスク(亜硫酸・いおう用の吸収缶を装着した全面形) 2) その他安全用品(ヘルメット、安全靴、救命胴衣等) - (2)装備品
-
1) ガス連続モニター[二酸化硫黄、硫化水素、酸素](乗船前にバッテリの確認を行い、乗船中は連続作動させておく。) 2) ガス検知管(二酸化硫黄5Lb(又は5Lc)、硫化水素(4LT及び4LL)、塩化水素14L) 3) 予備の吸収缶 1) ガス連続モニターの防毒マスクを装着しない場合の許容濃度基準(以下「許容濃度基準」という。)超過警報発生時(SO2:2ppm,H2S:10ppm)には、全員に対し防毒マスクの装着を徹底し、船舶でそのまま噴煙から離れる方向へ退避する。
ただし、防毒マスクを装着し入港する必要がある場合には、全員が防毒マスクを装着し、現地災害対策本部と連絡し許可を得た上で、入港することとする。この場合のガス濃度の上限はSO2:20ppm,H2S:10ppmとする。2) 常時、ガス連続モニターを監視し、測定値が上昇傾向を示した場合には、検知管等によるガス濃度測定を行い、許容濃度基準を超過した場合は1)と同様の措置を行う。 3) ガス検知器(ガス連続モニター、ガス検知管等)が検知しない場合でも、強い臭気を感じた場合には1)と同様の措置を行う。 4) 2)〜3)で退避を行った場合は、退避後直ちに現地災害対策本部に無線で連絡する。 5) 入島の可否の状況、行動経過を逐次現地災害対策本部に無線で連絡する。
2 着岸・入島時の手順
- (1)着用物・装備品
- 1と同様とする。
- (2)測定・対応
-
1) 着岸時に、ガス検知管でガス濃度を測定し、許容濃度基準を超過した場合は、全員に対し防毒マスクの装着を徹底し、噴煙から離れる方向に船舶で沖へ退避する。また、ヘリにより入島する時に、携帯しているガス検知器が許容濃度基準を超過した場合は退避する。
ただし、防毒マスクを装着し上陸する必要がある場合には、全員が防毒マスクを装着し、現地災害対策本部と連絡し許可を得た上で上陸することとする。この場合のガス濃度の上限はSO2:20ppm,H2S:10ppmとする。2) ガス連続モニターの許容濃度基準超過警報発生時(SO2:2ppm,H2S:10ppm)にも1)と同様の措置を行う。 3) ガス検知器(ガス連続モニター、ガス検知管等)が検知しない場合でも、強い臭気を感じた場合には1)と同様の措置を行う。 4) 1)〜3)で退避を行った場合は、退避後直ちに現地災害対策本部に無線で連絡する。 5) 入島時のガス濃度測定結果、行動経過を逐次現地災害対策本部に無線で連絡する。
3 作業場所への移動手順
- (1)着用物
-
1) 防毒マスク(亜硫酸・いおう用の吸収缶を装着したもの) 2) 現地災害対策本部の貸与する無線機 3) その他安全用品(ヘルメット、ゴーグル、安全靴等) 1) ガス連続モニター[二酸化硫黄、硫化水素、酸素](測定状態にしておく。) 2) ガス検知管(二酸化硫黄5Lb(又は5Lc)、硫化水素(4LT及び4LL)、塩化水素14L) 3) 空気呼吸器 4) 予備の吸収缶、ボンベ 5) 水(ペットボトル) - (3)測定・対応
-
1) 作業場所への移動は、風向等を考慮し、噴煙の下流部を通過しない方向を選ぶ。 2) 移動中は、ガス連続モニターを車の窓際に置いて監視を続ける。 3) ガス連続モニターの許容濃度基準超過警報発生時(SO2:2ppm,H2S:10ppm)には、全員に対し防毒マスクの装着を徹底し、噴煙から離れる方向へ退避する。
ただし、防毒マスクを装着し、引き続き移動する必要がある場合には、全員が防毒マスクを装着し、現地災害対策本部に連絡し許可を得た上で移動することとする。この場合のガス濃度の上限はSO2:20ppm,H2S:10ppmとする。4) 常時、ガス連続モニターを監視し、移動中に測定値が上昇傾向を示した場合には、検知管等によるガス濃度測定を行い、許容濃度基準を超過した場合は3)と同様の措置を行う。 5) ガス検知器(ガス連続モニター、ガス検知管等)が検知しない場合でも、強い臭気を感じた場合には3)と同様の措置を行う。 6) 4)〜6)で退避を行った場合は、避難後直ちに災害対策本部に無線で連絡する。 7) 検知管での測定時には、時刻、位置、濃度(検知管の種類、吸引回数、読み)を記録する。 8) ガス濃度の測定結果、行動経過を逐次現地災害対策本部に無線で連絡する。 - (4)巡回監視
-
1) 三宅島で作業中の時間帯(船の離着岸まで)は、東京消防庁、警視庁及び現地災害対策本部員が島内での巡回監視を行い、ガスの滞留場所、風向等の情報を収集し、現地対策本部に報告する。 2) 現地対策本部は、1)の情報を気象庁の火山観測情報とともに三宅島島内で活動する作業班に無線連絡する。
4 作業中の手順
作業中は各作業毎に環境測定及び無線通信の責任者を置き、安全を確認しながら作業を行う。なお、労働安全の面から、安全責任者(原則として「酸素欠乏危険作業主任者」及び「特定化学物質等作業主任者」の資格を有する者、これらがいない場合には火山ガスの有害性に関して十分な知識を有する者)が必要となっている。
- (1)安全責任者の装備品
-
1) ガス連続モニター[二酸化硫黄、硫化水素、酸素](作業中は連続作動させておく。) 2) ガス検知管(二酸化硫黄5Lb(又は5Lc)、硫化水素(4LT及び4LL)、塩化水素14L) 3) 防毒マスク(携行) 4) 空気呼吸器(作業前にボンベの圧力等の点検を行うこと) 5) その他安全用品(ヘルメット、安全靴等) 6) 予備の吸収缶、ボンベ 7) 水(ペットボトル) - (2)作業員の装備品
-
1) 防毒マスク(携行) 2) 空気呼吸器(作業前にボンベの圧力等の点検を行うこと) 3) その他安全用品(ヘルメット、安全靴等) 4) 予備の吸収缶、ボンベ 5) 水(ペットボトル) - (3)安全責任者による測定・対応
-
1) 噴煙の方向、風向きを常に意識し、緊急時の避難方向を決定しておく。 2) ガス連続モニターの許容濃度基準超過警報発生時(SO2:2ppm,H2S:10ppm,O2:18%)には、直ちに作業者に防毒マスクの装着と避難の指示を行う。
ただし、防毒マスクを装着し、引き続き作業する必要がある場合には、全員が防毒マスクを装着し、現地災害対策本部に連絡し許可を得た上で作業を行うこととする。この場合のガス濃度の上限はSO2:20ppm,H2S:10ppmとする。3) 常時、ガス連続モニターを監視し、測定値が上昇傾向を示した場合には、検知管等によるガス濃度測定を行い、許容濃度基準を超過した場合は、直ちに2)と同様の措置を行う。 4) ガス検知器(ガス連続モニター、ガス検知管等)が検知しない場合でも、強い臭気を感じた場合にも2)と同様の措置を行う。 5) 2)〜5)で避難が完了したら、直ちに災害対策本部に状況を無線で報告する。 6) ガス濃度の測定結果、作業経過を逐次現地災害対策本部に無線で連絡する。 1) 噴煙の方向、風向きを意識し、ガス濃度の上昇を予知する。 2) 窪地や谷部は無風時にガスが溜まりやすいので注意する。 3) 上陸前に防毒マスク及び空気呼吸器の装着方法等を確認する。
5 その他
上記対策に掲げられたものと同等又はそれ以上の特別な安全装備により行われる緊急の救助活動や火山活動の調査等においては、この限りではない。
< 参考 >
【ガス検知管による測定方法】
1 空気漏れ確認
新しい検知管(両端をカットする前のもの)を吸引器に装着しピストンを引き、約1分後ピストンを90゜回しピストンが完全に戻ることを確認する。
2 測定
- 検知管の両端を吸引器のカッターで折り、矢印の方向で装着する。
- ピストンの[100]の▲印とシリンダの赤線を合わせ、止まるまでシリンダーを引っ張る。
(ピストンがロックされる。) - 約1分程度経過したら、ピストンを引っ張りながら右へ90°回し、ピストンが引き戻されない場合には 吸引終了とし、引き戻される場合は再びロックししばらく待つ。(新しいタイプのものは、吸引が完了す ると、にぎり部のインジケータの色が変わる)
- 基準吸引回数が2回以上のものは、ゆっくりピストンを戻し、再度ピストンを引く。
- 検知管の色が変化しない場合は、説明書の範囲で吸引回数を増すことができる。
- 基準吸引回数で測定した場合は検知管の変色境界の数値を直読し、基準吸引回数以外で測定した場合は、説明書に従い補正倍率を掛ける。
- 検知管の種類、吸引回数、読みを記録する。
3 検知管の種類と補正倍率の例
対象ガス | 検知管の種類 | 吸引回数 | 補正倍率 | 最小目盛 |
---|---|---|---|---|
硫化水素 | 4LT | 1(基準) | 1 | 0.2 |
2 | 1/2 | 0.2/2=0.1 | ||
4LL | 1(基準) | 1 | 2.5 | |
2 | 1/2 | 2.5/2=1.25 | ||
二酸化硫黄 | 5Lb | 2(基準) | 1 | 0.2 |
4 | 1/2 | 0.2/2=0.1 | ||
8 | 1/4 | 0.2/4=0.05 | ||
5Lc | 2(基準) | 1 | 0.5 | |
4 | 1/2.5 | 0.5/2.5=0.2 | ||
塩化水素 | 14L | 1(基準) | 1 | 1 |
2 | 1/2 | 1/2=0.5 |
4 他のガスによる妨害(干渉)
検知管での測定では、他のガスにより+−の誤差を受ける場合がある。個々の干渉ガスについて は説明書に記載されている。
今回の測定においては、塩化水素(14L使用)の測定において、二酸化硫黄の干渉により+の誤 差が生じる可能性が高いので注意が必要である。
|
5 使用済検知管の処分
- 使用後の検知管は、けが防止のため元の容器に戻す。
- 硫化水素検知管には無機水銀を含有するので、特別管理産業廃棄物として法令に従って適正処分する。
- 二酸化硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素、ふっ化水素、塩化水素検知管は、産業廃棄物の「ガラス及び陶磁器くず」として適正処分する。
- その他の検知管については含有物質を説明書で確認し、法令に従って適正処分する。