
アメリカの防災訓練に学ぶ
FEMA National Level Exercise 2018の視察
FEMAは、天災人災問わず米国で発生する大規模災害対応を専門とする米国国土安全保障省の中の機関であり、災害に際して、連邦機関、州政府、その他地元機関の業務を調整する役割を担っています。FEMAには、米国全土に10か所の地域事務所が存在するほか、各州に下部組織が存在します。
FEMA NLEは、2012年以来2年に一度行われている国家レベルの防災訓練のことです。2012年(サイバーインシデント)、2014年(地震・津波)、2016年(テロリスト)に続き、2018年の本訓練では、大西洋で発生するハリケーンを想定して行われました。
本訓練では以下の4つを課題として設定しました。
- ハリケーン上陸前の防御行動
- 復旧・復興計画と並行した持続的な対応
- 自然災害発生時における事業継続
- 停電による影響
これら課題に係る能力を、政府・民間・NGO等 全てのレベルにおいて検証・確認することを訓練の目的とし、2018年は260以上の組織が参加しました。
内閣府は今次訓練にオブザーバーとして参加しました。まずワシントンD.C.にあるFEMA本部内、次にフィラデルフィアにあるFEMA RegionⅢ(第3地域 事務所)内の災害対策本部で実施されている図上訓練の様子を見学しました。訓練参加者は通常業務と並行して訓練に参加しており、2週間の中でローテーションを組んで参加していました。次に、メリーランド州の様々な場所で行われている、通信、救出・救助、医療に関する実動訓練を見学しました。
FEMA NLEから参考になる点としては、以下が挙げられます。
- スマートフォンやタブレットの利用:
スマートフォンやタブレットを利用して、訓練参加者全体での情報共有が図られていました。 - リアリティの高いニュース映像の訓練への利用:
頻繁に更新されるリアリティの高いニュース映像 を流すことにより、訓練の臨場感を高め、被害状況等の共有が図られていました。 - 同じシナリオ(想定)に基づく異なる訓練(図上、 実動)の連携:
様々な場所で様々な訓練が行われていましたが、それら全てが同じシナリオに基づいて行われていました。
FEMAとの交流を今後とも継続し、FEMA NLEからより多くの知見を得たいと考えます。

メリーランド州Camp Fretterdで行われた通信訓練(実動)の様子

メリーランド州Edgewood Areaで行われた医療活動訓練(実動)の様子