防災白書で知る 「気象災害の脅威」
1 平成30年版防災白書の特徴
防災白書は、災害対策基本法に基づき、毎年、通常国会に報告することとされている法定白書です。昭和38年に刊行が開始され、今回で56回目の刊行となります。今年は平成30年6月12日に閣議決定の上、国会に報告されました。
今回の報告内容は、平成28年度に防災に関してとった措置の概況、平成30年度の防災に関する計画の法定報告事項の他、平成29年度に重点的に実施した施策の取組状況を報告しています。 このうち、特集の概要についてご紹介します。
2 「特集 気象災害の脅威 ~九州北部豪雨災害等を中心に~」 の概要
近年、世界中で大規模な気象災害が頻発しており、特に暴風雨や洪水などによる水災害が多発し ています。特集テーマは平成29年に日本で最も大きい災害であった 「平成29年7月九州北部豪雨」 を中心に「気象災害の脅威」としました。九州北部地方におけるこれまでの観測記録を更新する大雨により、福岡県、大分県の両県 では、死者40名等の人的被害 のほか1600棟を超える家屋の全半壊等の甚大な被害が発生しました。
この災害では、多くのボランティア・NPO等が被災地に入り多岐にわたる支援活動を行いました。平成28年の熊本地震における「熊本地震・支援団体 火の国会議」に続き、行政とボランティア・NPO等の連携の場の構築が定着してきていることが明らかとなりました。
また、政府においては、緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)や各省庁職員等を現地に派遣し、 ドローン等も活用して被害状況を把握しました。
さらに、今後、本災害で被害を受けた河川に対し緊急・集中的に治水機能を強化するほか、概ね3年間で土砂・流木捕捉効果の高い透過型砂防堰堤(えんてい)の整備などを全国の中小河川で実施します。

朝倉市杷木地区の流木の様子

流木捕捉効果の高い透過型砂防堰堤 (えんてい)

●参考:7月5日0時~7月6日24時の観測データ(九州北部地方) (出典:気象庁)
今回の災害では、福岡県朝倉市の行政と住民の協力による「自主防災マップ」の作成・全戸配布や、福岡県東峰村の避難行動要支援者支援計画に基づく避難訓練の実施など、日頃の防災活動により、住民の円滑かつ迅速な避難につながった例があります。
全国どこでも住民が自助・共助 の取組を平時から行なっておく習慣 (心がけ)が必要です。行政側も住民自らの判断で早期に避難する重要性について啓発し、住民の理解を深めていきましょう。

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