防災の動き

日本医師会の防災に関する取組みについて

日本医師会

医師会とは

日本医師会は、様々な診療科からなる医師で構成される全国団体であって、病院や診療所の開設者(経営者)でもある医師とそうした施設に勤務する医師や研修医がそれぞれ半数を占めています。会員数は日本の医師数の約5割強にあたる約17万人で、これだけの医師の団体は他にありません。

日本医師会は、都道府県医師会、郡市区医師会とともに「三層構造」をなしており、それぞれ、国、都道府県、市区町村(や災害時に保健医療活動の拠点とされている保健所)のカウンターパートとして医療や健康に関わる政策に携わっています。

医師会活動で最も重要な取組みが、地域住民にとって身近で信頼のできる「かかりつけ医」機能の推進です。幅広い診療能力を持つ医師を養成し、地域医療の充実に努めています。

以上のように、全国の医師が参加し、「三層構造」によって国、都道府県、市区町村をカバーし、また会員の多くが「かかりつけ医」であることが、医師会の災害対応の基礎であります。

これからの災害医療

日本の災害医療は、東日本大震災(平成23年3月11日発生)を転換点として、災害医療コーディネート機能による役割分担と連携の下で、重篤患者への対処とともに、膨大な数の避難者に対する診療や健康管理が最重要課題となっています。特に高齢者等の要配慮者は、災害前から医療の必要度が高く、健康の悪化が生命の危機に直結しやすい状態に置かれています。そうした災害医療ニーズには、かかりつけ医としての経験や知見と組織的・継続的な支援活動が求められます。

東日本大震災の犠牲者の大多数は津波による死亡であり、揺れ、津波、火災や原発事故で最大約50万人の避難者が発生しました。それを凌駕する避難者数が想定されている南海トラフ巨大地震、さらに、これから急激な高齢化が進む大都市圏の直下型地震においても、要配慮者に最大限対応できる災害医療活動が求められています。

医師会組織の強みを活かした 地域医療の推進

日本医師会の災害対応

前述の通り、「全国」、「三層構造」、「かかりつけ医」が医師会の災害対応のキーワードとなります。

JMAT(日本医師会災害医療チーム)がその代表例です。JMATは、日本医師会が都道府県医師会に要請して、主として郡市区医師会や医療機関を単位に編成し、全国各地から被災地に派遣していくものです。そのリーダーは、通例、病院や診療所でかかりつけ医として様々な患者を診ている医師が務めます。

また、膨大な被災者の生命や健康を守るため、東日本大震災時、我が国の医療に関わる組織を糾合して被災者健康支援連絡協議会を設立し、平成28年熊本地震でも活用しました。横倉義武日本医師会長は、平成27年6月、その代表の立場で中央防災会議の委員、平成27年9月に防災推進国民会議の議員に就任しましたが、国や自治体の防災行政の中で医療の位置づけをより高めることが、医師の団体である医師会の使命といえます。

さらに、全国的な災害医療の質の向上のため、医師会生涯教育制度に基づき、日本医師会や各地の医師会が災害医療に関わる研修やシンポジウム等を開催しています。また、災害時に重要となる通信手段確保のため、JAXA(宇宙航空研究開発機構)等とともに防災訓練(衛星利用実証実験)を実施してきました。国際的なテロリズムが頻発する中、東京オリンピック・パラリンピックも見据えたCBRNEテロ災害対策も急務です。

日本医師会は、今後も、都道府県医師会、郡市区医師会とともに災害医療対策に努めてまいります。本誌読者である各界の専門家の方々にも、ご理解ご協力をよろしくお願いいたします。

JMAT活動の概念図

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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