情報の「つながり」から、人の「つながり」へ「TEAM防災ジャパン」

時事通信社解説委員/TEAM防災ジャパンアドバイザー 中川和之
「まなべる、いかせる、つながれる」がキャッチコピーの内閣府(防災担当)が運営するポータルサイト「TEAM防災ジャパン」(https://bosaijapan.jp/)。平成27年3月にスタートして、3年が経ちました。「TEAM防災ジャパン」は、地域や自治体、企業、学校などの現場で防災の担い手となっている方々が必要とする情報を共有する場であり、各省庁、自治体、地域、企業、NPOなどが行っている防災の取組みを広く集めて発信しています。「TEAM防災ジャパン」という名前は、情報を利用する人も、提供してくれる人も含めて、みんな防災を担うTEAMのメンバーという思いで命名。「TEAM防災ジャパン」は、防災の担い手を情報でつなぐ「オンライン基地」なのです。
人気コンテンツは「リレー寄稿」
「TEAM防災ジャパン」のコンテンツを元に、このサイトの使い方をご紹介します。
現在、官民様々な団体・機関が防災に関する情報を多数発信しており、必要な情報を探し出すのは大変。「防災資料室」は、そのお手伝いをするコーナーです。政府や自治体、研究機関、企業、NPOなどの資料を収集し、「土砂災害」、「自主防災」など41種類のタグを付けてデータベースに格納しています。「地域」、「企業」などの8つの属性と掛け合わせると、求める資料を探し出すことができます。
「アクション!」コーナーは、全国各地で行われている防災イベントやフォーラムなどの取組みを紹介。「防災関連ニュース」は、各地の新聞やテレビで報じられたニュースから、毎日5件程度をピックアップして概要をまとめています。これらの情報にもタグを付けており、関心がある分野の情報をキャッチしやすくなっています。
毎日、多様な防災の担い手が登場してメッセージを発信しているのが「リレー寄稿」。地域の防災リーダーがそれぞれの言葉で防災への想いを語っており、登場人物は約500人。「同じ悩みを抱えている人がいることを知り、勇気をもらった」という声も寄せられ、人気のコーナーです。
このほか、防災国民推進大会などのイベントの特集やインタビュー、全国の自治体から集めたイベントやWebサイト、防災関連施設の一覧などのコンテンツがあります。みなさまからの情報提供も大事な情報源となっています。SNSを利用しての発信も行っており、今後も、試行錯誤しながら情報発信の強化を図ります。
オンラインから生まれたオフラインミーティング
平成29年11月に仙台で開催された「防災推進国民大会2017(ぼうさいこくたい)」で、TEAM防災ジャパンが「リレートーク『どう備える?備蓄』」を主催したのを機に、地域の防災リーダーが実際に集まって語り合うオフラインミーティングを初めて開催しました。サイト内で実施を呼びかけ、ぼうさいこくたいの会場の一角に約30人が集まって、それぞれの活動報告をし、悩み・課題を共有しました。夜には、日中に別のセッションに参加していた人も集まって、約60人が懇親会を行い、多様な人たちの新たなつながりができました。
継続開催の要望を受けて、平成30年2月には「地域の防災リーダーは何をすべきか?」をテーマに、東京・日比谷で第2回を開催しました。約70人が集ってグループワークなどを行い、その発表を「TEAM防災ジャパンMission 2018 in東京」と題してまとめ、TEAM防災ジャパンのサイトでも報告。夜の部も開かれ、来年度以降も継続して開催していくことも確認されました。
「災害被害を軽減する国民運動」からの発展
「TEAM防災ジャパン」は、3年前にいきなり誕生したわけではありません。平成17年の防災白書で災害被害を軽減するための国民運動の展開の必要性が取り上げられ、中央防災会議の専門調査会での議論を経て、翌年に中央防災会議で災害被害を軽減する国民運動の推進に関する基本方針が決定されました。そこには、防災への取組みが「専門家や防災担当者に任せて行うもの」と考えられていたが、「様々な主体の連携による新しい取組みの萌芽が見られる」として、「国民一人一人、各界各層において、息長く続けていかなければならない」と書かれています。
国民運動を引っ張るエンジン役として各界各層の有識者で作る「防災推進国民会議」が平成27年9月に発足、国民のみなさまの「自助・共助」の取組み、「多様な主体の連携」を促進するために、防災推進国民大会の開催に至りました。
専門調査会に関わった名古屋大学の福和伸夫さん、跡見学園女子大学の鍵屋一さんや私は、当初からTEAM防災ジャパンのアドバイザーも務めており、平成29年度から東京大学生産技術研究所の加藤孝明さんも加わりました。私たち4人は、現場の多くの皆さんを情報でつなぐ黒子として、TEAM防災ジャパンを支えていきます。

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鍵屋 一 さん 跡見学園女子大学
「ドンマイ」が好き!卓球では、良いプレーをすれば「ナイスプレー」、失敗すると「ドンマイ」だ。TEAM防災ジャパンでは、成功の喜びを分け合うのもいいが、失敗しても、心からの「ドンマイ」を言い合える仲間でありたい。 |
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福和 伸夫 さん 名古屋大学減災連携研究センター
黒子役唯一の地方人。地域のあらゆる人がつながり、あらゆる地域の活動がつながるTEAM防災ジャパンをめざし、さらにTEAM防災ジャパンが各地の活動を育て減災を実現できるよう、楽しく支えていきます。 |
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加藤 孝明 さん 東京大学生産技術研究所
多様な人材が、多様な視点、多様な活動を産み出し、それが自律発展的な進化につながる。そして経験・工夫を共有する場が横展開のエンジンとなる。TEAM防災ジャパンは、この動きを支えるプラットフォーム。オンオフとも今後の拡大に大いに期待! |