防災の動き

日本赤十字看護大学 災害救護ボランティアサークル(SKV)の取り組みについて

SKV代表 岩ヶ谷 杏

日本赤十字看護大学災害救護ボランティアサークル(以下SKV)は、2000年に日本赤十字武蔵野短期大学の先輩方から大学に引き継がれ、今年は学部生88名で活動をしています。部員の大半は1・2年生の学生で構成されていますが、3・4年生や卒業された諸先輩方も活動に参加しています。

私たちは、以下のことを目的として活動をしています。

①被災地ボランティアや防災訓練の参加を通して災害についての知識と理解を深める

②医療従事者だけでなく、被災者や地域住民と関わりニーズを知る

③発災時に看護学生として何ができるのかを考える

の3つです。

SKVの主な活動は①病院で行われる防災訓練への参加、②地域防災セミナーへの参加、③被災地ボランティアの3つです。

山田町ボランティアで健康に関するすごろくを行っている様子
山田町ボランティアで健康に関するすごろくを行っている様子

❶防災訓練

武蔵野市総合防災訓練、大森赤十字病院、牧田総合病院傷病者受入訓練、赤十字第2ブロック支部災害救護訓練などの救護訓練に、傷病者役にメイクを施したり、傷病者役として参加しています。実際の医療職者の方の訓練を身近に体験することで、災害現場ではどのような活動が行われているのか学ぶ機会となっています。

※赤十字第2ブロック支部:栃木、群馬、埼玉、茨城、千葉、東京、神奈川、山梨、新潟

防災訓練で傷病者メイクをしている様子
防災訓練で傷病者メイクをしている様子

❷地域防災セミナー

武蔵野地域防災セミナー(Community’s Safety with Musashino Original Seminar;以下COSMOS)において、学生がスタッフ兼参加者として主体的に関わることで、地域防災へも視野を広げて活動をしています。本学国際・災害看護学領域元教授の小原真理子先生のご指導の下サークル発足時から続いている活動です。当日の運営の補助、各グループのファシリテーション、講義など多くの役割を担っていくことや、先生方の講義を通して、地域の方々と一緒に災害時に役立つ知識を身につけ、災害時に地域住民と学生がどのように協力していくのか学んでいます。また、セミナーを受講することや演習内でファシリテーターとしてかかわっていく中で、自分の課題も明確になります。ここで培ったコミュニケーション力は、実習の時も大変役立っています。

講義の中で防災ゲームや避難所運営ゲームを通して、看護学生だからできることを探し、いざという時に備えた知識の獲得をしています。今後はもっと地域住民向けのセミナーに学生の参加を増やすことで、世代間の交流を深め、学生ができることを見つけていくことが必要だと考えています。

学内勉強会(一次救命処置)
学内勉強会(一次救命処置)

❸被災地ボランティア

2011年3月11日の東日本大震災で被害を受けた地域で、夏休みには岩手県下閉伊郡山田町、冬休みには宮城県気仙沼市を訪問しています。活動1回目は本学大学院の実習の一環にSKVが参加する形でしたが、2回目からはSKVが運営の主体となり、今に至っています。活動中は仮設住宅を訪問し健康教室やレクリエーションを行い、学生と住民の方々との交流だけでなく、同じ仮設住宅で生活している住民同士の交流を図ることも目的に活動を行っています。学生が主体になるだけではなく、住民の方々に地元の郷土料理などを教えていただきます。

被災から6年が経過し、現地の状況も毎年毎年変化しています。課題はまだまだたくさんありますが、その中で被災地が求めるニーズと私たちの活動の目的をしっかりと理解し、より良い活動をしていけるように努力をしているところです。

最近では、SKVの活動を知っていただき、イベントへの参加依頼も多くなってきました。9月には渋谷区総合防災訓練の〝渋谷防災フェス″において、「身近なものを使った救急法を体験しよう!」をテーマに体験ブースを出展しました。来場者の方に、三角巾を使用した救急法のデモンストレーションや、防災バッグの展示を行いました。

また、北海道や東北の中高生を招き、お互いの防災活動の紹介や意見交換、学内防災施設の見学を行いました。今後も幅広い活動を行っていきたいと考えています。

このほかにも、学生内での災害に関する知識の獲得と共有のため、週に1回程度の学内勉強会を実施しています。災害の定義から始まり、災害用無線機の使用方法やトリアージについてなど多くのことを学んでいます。実際に現場で使用されている物品を使用することもあり、学ぶ環境が充実していることに感謝しています。この学内勉強会では執行役の2年生が1年生に向けて講義を行っています。教える2年生もかなりの知識と勉強が必要になりますが、このことを通して達成感と今後の向上心や、サークル全体がもっと学びたいという意欲の向上につながってくれることを期待しています。

私たちの今後の展望として、今まで行ってきた活動の継続と拡大、他大学との積極的な交流、学生自身が学びたいことを具体化し、充実した勉強会の実施を目指しています。そして今後、自ら考え、行動できる能力を持つことができる、災害時の医療の在り方やすべきことを理解し、緊急時の臨機応変な対応をすることができる、災害時に被災者の気持ちを考えた行動は何か、考えることを通して、将来医療職者になった際に被災者に寄り添った対応をすることができるようになることです。

これからも私たちの行っている取り組みをさらに多くの方に知っていただき、サークル内だけではなく学内全体、医療系・非医療系を含めた他大学の学生、さらには地域にも広げていけるような活動を見つけていきたいです。

山田町ボランティア活動終了後(1~4年生有志)
山田町ボランティア活動終了後(1~4年生有志)

(画像提供:すべてSKV)

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