防災の動き

平成29年版防災白書の概要〜熊本地震を踏まえた防災体制の見直し〜

防災白書

1.平成29年版防災白書の特徴

防災白書は、災害対策基本法に基づき、毎年、通常国会に報告することとされている法定白書であり、昭和38年に作成が開始され、今回で55回目の作成となります。今年は平成29年6月16日に閣議決定の上、国会に報告されました。

今回の報告内容は、平成27年度において防災に関してとった措置の概況、平成29年度の防災に関する計画の法定報告事項の他、今後の教訓とするため、平成28年度に重点的に実施した施策の取組状況を報告しています。平成28年台風第10号による水害教訓により避難情報の名称変更等を行った「避難勧告等に関するガイドライン」改定の他、「熊本地震を踏まえた防災体制の見直し」と題し、平成28年4月に発生した熊本地震における政府の対応や、熊本地震を踏まえた今後の施策の展開について特集しています。このうち、特集の概要についてご紹介します。

2.「特集 熊本地震を踏まえた防災体制の見直し」の概要

政府対応として、物資支援において今回初めての試みが行われました。東日本大震災等の過去の震災教訓を踏まえ、被災県の要請を待たずに食料や生活用品等調達・配送する「プッシュ型」支援です(図1)。当初対応として効果的であり、これまでの要請を待ってから行う「プル型」支援より初動対応での迅速・有効性を確認できました(4月後半からはプル型に切り替えています)。また、国と都道府県において、情報共有を円滑に行うシステムも構築されました。

大規模災害が発生した場合、被災した市町村が、膨大な災害対応業務を単独で実施することは困難な状況となります。このため、地方公共団体は平時から国、地方公共団体、民間企業、ボランティア団体等からの人的・物的支援を円滑に受け入れて、災害対応に有効活用していくか検討し、応援協定を締結することが必要です(図2)。また、受援体制を整備しておくことも重要となります。

しかしながら、受援計画の策定状況については、都道府県で約4割、市町村で1割強に留まっている状況であり、各地方公共団体が早期に受援対策の構築が行われるよう、内閣府において「地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン」を平成29年3月に策定しました。今後、一層の計画策定が望まれます。

  • (図1)「プッシュ型」支援
    (図1)「プッシュ型」支援
  • (図2)熊本県における物資調達・供給に係る応援協定の締結状況
    (図2)熊本県における物資調達・供給に
    係る応援協定の締結状況

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