Disaster Management News―防災の動き

「水害サミット」代表の皆様が古屋防災担当大臣を来訪

古屋大臣と来訪された「水害サミット」代表の皆様

我が国では、各地で水害が起きてきましたが、被災した市町村の経験や課題がその他の市町村において、十分共有されていると言えるでしょうか。
「水害サミット」とは、平成14年以降に大きな水害を受けた4つの自治体(新潟県三条市、見附市、福井県福井市、兵庫県豊岡市)が中心となり、全国の水害被災地の市区町村長が被災時の経験や反省、防災への提言などについて率直に意見交換を行うという主体的な取組です。平成17年より開催され、平成19年には、こうした市区町村長や職員の失敗経験や反省に学んだ教訓を自治体の視点から集約した「防災・減災・復旧 被災地からおくるノウハウ集」が刊行されました。
このたび、この冊子の改訂版が発刊されたことから、「水害サミット」の代表市長の皆様が古屋防災担当大臣を来訪され、概略をご説明いただきました。
この改訂版は、序論として、災害時に自治体トップがなすべきこと11か条を挙げています。以下にその内容を紹介しますが、いずれも被災現場で困難に直面した自治体の方々の「生」の教訓が感じられる、貴重な示唆に富んだものとなっています。

災害時に自治体トップがなすべきことは……

  1. 「命を守る」ということを最優先し、避難勧告を躊躇してはならない。
  2. 判断の遅れは命取りになる。何よりもまず、トップとして判断を早くすること。
  3. 人は逃げないものであることを知っておくこと。人間の心には、自分に迫りくる危険を過小に評価して心の平穏を保とうとする強い働きがある。災害の実態においても、心理学の実態においても、人は逃げ遅れている。避難勧告のタイミングはもちろん重要だが、危険情報を随時流し、緊迫感をもった言葉で語る等、逃げない傾向を持つ人を逃げる気にさせる技を身につけることはもっと重要である。
  4. ボランティアセンターをすぐに立ち上げること。ボランティアは単なる労働力ではない。ボランティアが入ってくることで、被災者も勇気づけられる、町が明るくなる。
  5. トップはマスコミ等を通じてできる限り住民の前に姿を見せ、「市役所(町村役場)も全力をあげている」ことを伝え、被災者を励ますこと。自衛隊や消防の応援隊がやってきたこと等をいち早く伝えることで住民が平静さを取り戻すこともある。住民はトップを見ている。
  6. 住民の苦しみや悲しみを理解し、トップはよく理解していることを伝えること。苦しみと悲しみの共有は被災者の心を慰めるとともに、連帯感を強め、復旧のばねになる。
  7. 記者会見を毎日定時に行い、情報を出し続けること。情報を隠さないこと。マスコミは時として厄介であるし、仕事の邪魔になることもあるが、情報発信は支援の獲得につながる。明るいニュースは、住民を勇気づける。
  8. 大量のごみが出てくる。広い仮置き場をすぐに手配すること。畳、家電製品、タイヤ等、市民に極力分別を求めること(事後の処理が早く済む)。
  9. お金のことは後で何とかなる。住民を救うために必要なことは果敢に実行すべきである。とりわけ災害発生直後には、職員に対して「お金のことは心配するな。市長(町村長)が何とかする。やるべきことはすべてやれ」と見えを切ることも必要。
  10. 忙しくても視察は嫌がらずに受け入れること。現場を見た人たちは必ず味方になってくれる。
  11. 応援・救援に来てくれた人々へ感謝の言葉を伝え続けること。職員も被災者である。職員とその家族への感謝も伝えること。

出典「防災・減災・復旧 被災地からおくるノウハウ集」(改訂版)

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