できることから始めよう!防災対策 第4回‐内閣府防災情報のページ

身の回りのモノでできる応急手当ての方法

被災地では応急手当て専門の道具は入手困難

阪神・淡路大震災のときに、街のなかで懸命に救援活動を行った多くの人が、当時「薬が足りなかった」「包帯や三角巾、担架といった普段病院に行けば必ずある救急救命の道具もほとんど手に入らなかった」と証言しています。平常時と異なり、災害時はたくさんのけが人が同時に発生するため、そういった応急手当てや救急救命のための専門の道具が圧倒的に足らなくなり、入手困難になるのです。こうした状況は、今後国内で発生する地震災害の際にも同様の事態が想定され、そのための準備が必要であることは間違いありません。
各家庭や、地域の防災倉庫のなかに「救急救命の資機材」などを、これまでの想定以上に備蓄することも重要ですが、その一方で、専門の道具が手に入らなくても、身の回りにあるごく一般的な生活雑貨などを使って、応急手当が出来る技を習得しておくことも重要だと思います。
今回はこうした背景を踏まえて、「身の回りのモノ」で、誰でもできる応急手当の技を二つ紹介します。なお、ここで紹介する二つの技は阪神・淡路大震災の被災者から教えてもらったものがベースですが、防災の技のワークショップとして、弊法人が実施する際に、改めて消防関係の監修を受けていることを併せてお伝えしておきます。

止血の方法-直接圧迫止血法-

一つ目は、切り傷などで出血しているけが人に有効な止血の方法です(図1参照)。この手順の中で使用している道具は、「ビニール袋」「大判ハンカチ」「タオル」「ネクタイ」など、どれも専門の道具ではなく、すぐ手に入る身の回りにあるモノばかりです。そして、この手順の中で特に重要なのが「直接血に触らない」「傷口を心臓より高い位置に上げる」という2点です。「直接圧迫止血法」で忘れがちな注意点なので覚えておきましょう。

図1

骨折の手当ての方法

次に、骨折をした際の手当の方法です(図2参照)。「添え木」や「ギプス」などの専門の道具の代わりに使用するのが、「折り畳み傘」や「雑誌」「新聞紙(朝刊1日分程度)」など身の回りにある物です。骨折箇所の固定でも「大判ハンカチ」や「ネクタイ」などのグッズが役に立ちます。そして固定された手を首からつるのに用いるのが、スーパーなどでもらえる大きめの「レジ袋」です。ここで使用しているものも、全て身の回りにある物ばかりです。こうした発想がとても重要なのがおわかりいただけると思います。

図2

重要なのはこういった臨機応変な対応力であり、「知恵」や「工夫」そのものです。救急救命講習に参加するなど、普段からこうした訓練を積んでおくことが本当の防災力を身につける上で大切ですので、ぜひ普段から心がけていてください。

イラスト ⓒ文平銀座+NPO法人プラス・アーツ

NPO法人プラス・アーツ www.plus-arts.net
教育/まちづくり/防災/福祉/環境/国際協力といった社会の既存の分野に対して、アート的な発想やアーティストの既成概念にとらわれない創造力を導入し、それぞれの分野が抱えている課題や問題を解消し、再活性化させることを活動目的に掲げる。

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