特集 夏から秋に多発!! 風水害から身を守ろう‐内閣府防災情報のページ

梅雨のシーズンです。例年、梅雨から秋にかけて台風や豪雨など風水害が多く発生するようになります。
どんな災害にも、日頃の備えが最大の策です。災害のさまざまな前兆現象と対策をもう一度確認し、「備え」を実行しましょう。

平成11年9月24日豊橋市で発生した竜巻(愛知県豊橋市 提供)

昨年の災害
昨年は、5月から10月にかけて、台風や「平成24年7月九州北部豪雨」などの風水害が発生しました。なかでも竜巻は、全国各地で発生し、大きな被害をもたらすものもありました。今号では、竜巻等の突風を中心に、事前の対策と身を守る行動を考えたいと思います。

竜巻等の突風
突風とは、大気の状態が不安定となることにより発生する突発性の強風であり、主なものとして、竜巻やダウンバーストがあります。竜巻は積乱雲に伴って発生する激しい渦巻きであり、上空には漏斗(ろうと)状や柱状の雲を伴っています。また、ダウンバーストは積乱雲から発生する強い下降気流であり、同時に激しい雨や「ひょう」を伴うこともあります。
昭和36年以降に発生した竜巻等の突風のうち、最も多くの犠牲者を出したのは、平成18年11月7日に北海道佐呂間町で発生した竜巻で、9名の方が犠牲となりました。
最近では、平成21年7月19日に岡山県美作市で発生した竜巻により、2名が負傷し、住家2棟が全壊、71棟が一部損壊したほか、自動車が100メートル近く吹き飛ばされるなどの被害がありました(被害状況は平成21年7月19日現在)。また、昨年5月6日には、茨城県、栃木県、福島県の広い範囲で複数の竜巻が発生し、特に、茨城県常総市で発生した竜巻は、1名が死亡、37名が負傷し、住家76棟が全壊、158棟が半壊するなど、常総市からつくば市にかけて、多くの被害をもたらしました(被害状況は平成24年6月13日現在)。

日本における竜巻の発生分布(1961-2012年)
海上竜巻を含む(出典 気象庁)

竜巻の月別発生確認数(1991〜2012年)
集計対象:「竜巻」および「竜巻ダウンバースト」である事例のうち、水上で発生しその後上陸しなかった事例(いわゆる「海上竜巻」)は除いて集計しています。(出典 気象庁)

竜巻注意情報に注意しましょう
竜巻は、季節を問わず全国各地で発生しています。詳しい発生メカニズムは解明されていませんが、低気圧や台風の接近時に大気の状態が不安定になり、南から温かく湿った空気が流入すると竜巻が発生しやすくなる傾向があります。気象庁によれば、竜巻(海上竜巻(水上で発生し、その後上陸しなかった竜巻)を除く)は、平成19~23年の5年間で年平均およそ23個の発生が確認されており、昨年は28個の発生が確認されました(平成25年4月現在)。
気象庁は、平成20年3月から、1時間後までの間に竜巻等の激しい突風が起きやすい状況と判断された場合に「竜巻注意情報」を発表しています。また、平成22年5月からは竜巻発生確度ナウキャストを常時10分毎に発表しています。竜巻やダウンバーストなどの激しい突風の発生可能性を予報しています。
竜巻注意情報が発表されたら、まずは周囲の雲の状況に注意してください。そして、積乱雲が急に発達し辺りが暗くなってきたら身の安全を図ってください。もし、情報を入手できない場合でも、次に紹介する竜巻の前兆を知っておくことで、危険を察知することができます。

竜巻発生の前兆
●青空から一転して、真っ黒な雲が近づき、周囲が急に暗くなる
●雷鳴が聞こえたり、雷光がみえたりする
●急に冷たい風が吹いてくる
●大粒の雨や「ひょう」が降り出す
●ゴーという音が聞こえる
●気圧の変化で耳に異常を感じる
このような変化に気がついたら、どうすればいいのでしょう?
例えば、屋外では、車や物置などが吹き飛ばされたり、電柱や木が倒れてくる可能性がありますから、直ちに鉄筋コンクリートなどの頑丈な建物に入り、身を守って下さい。次の項目は、そうした注意点を気象庁がまとめたものです。

竜巻から身を守るための行動
屋内にいる場合
●窓を開けない
●窓から離れる
●カーテンを引く
●雨戸・シャッターをしめる
●地下室や建物の最下階に移動する
●家の中心部に近い、窓のない部屋に移動する
●部屋の隅・ドア・外壁から離れる
●頑丈な机の下に入り、両腕で頭と首を守る
屋外にいる場合
●近くの頑丈な建物に避難する
 (車庫・物置・プレハブを避難場所にしない。適当な避難場所がみつからない場合は、近くの水路やくぼみに身をふせ、両腕で頭と首を守る。)
●橋や陸橋の下に行かない
●飛来物に注意する
「竜巻が起きたことはないよ」、「ここなら安全だよ」など、思いこみは危険です。竜巻は全国各地で、突然、発生しています。「竜巻から身を守るための行動」をよく理解し、家庭や職場で読み合わせ、安全な場所、身を守る行動を確認し合い、いざというときに備えましょう。

竜巻から身を守るための行動
(出典 気象庁)

雨による災害
竜巻等の突風の発生と同様、夏から秋にかけて、台風や、狭い範囲に数時間にわたり強く降る集中豪雨、短時間に強く降る局地的な大雨が発生し、大きな被害をもたらします。こうした大雨によって、河川が氾濫したり、家屋が浸水したりします。また地下街や地下室へ水が流れ込んだり、土石流や山崩れ、がけ崩れを引き起こす危険性があります。過去30年のデータからも、7月から9月には特に注意が必要です。
昨年、7月11日〜14日にかけて九州北部に大雨をもたらした「平成24年7月九州北部豪雨」は、激甚災害に指定されています。

1981〜2012年の台風発生・接近・上陸件数(累計)
(出典 気象庁)

台風や集中豪雨から身を守る
集中豪雨や大雨による災害から身を守るために、日頃の備えは万全でしょうか?
以下は、気象庁が紹介している災害への備えです。皆さんも、もう一度確認し災害に備えましょう。
1.家の外の備え
大雨が降る前、風が強くなる前に行いましょう。
●窓や雨戸はしっかりとカギをかけ、必要に応じて補強する
●側溝や排水口は掃除して水はけを良くしておく
●風で飛ばされそうな物は飛ばないよう固定したり、家の中へ格納する
2.家の中の備え
●非常用品の確認
・懐中電灯 ・携帯用ラジオ(乾電池) ・救急薬品 ・衣類 ・非常用食品 ・携帯ボンベ式コンロ ・貴重品など
●室内からの安全対策
飛散防止フィルムなどを窓ガラスに貼ったり、万一の飛来物の飛び込みに備えてカーテンやブラインドをおろしておく
●水の確保
断水に備えて飲料水を確保するほか、浴槽に水を張るなどして生活用水を確保する
3.避難場所の確認など
●学校や公民館など、避難場所として指定されている場所への避難経路を確認しておく
●普段から家族で避難場所や連絡方法などを話し合っておく
●避難するときは、持ち物を最小限にして、両手が使えるようにしておく

平成24年7月九州北部豪雨で河川氾濫した福岡県柳川市、みやま市(国土交通省 九州地方整備局 提供)

恐ろしい土砂災害
土砂や岩石が多量の水とともに一体になって谷や渓流を流れ落ちる土石流は、150㎜を越すような連続降水量となり、さらに70〜100㎜またはそれ以上の強い雨が短時間に降ると起こりやすくなります。突発的で破壊力も大きく一瞬のうちに多くの人命や財産を奪ってしまう恐ろしい災害です。
また、がけ崩れは、勾配が30度以上の急傾斜地に突発的に発生することが多く、総降水量が100㎜以上で1時間降水量が30㎜以上になると起こりやすくなります。長雨のあとや強い地震後の大雨には特に警戒が必要です。

土砂災害の特徴と前兆
(出典:内閣府政府広報室)

正確な情報入手と対策
国土交通省はハザードマップポータルサイト(http://disapotal.gsi.go.jp/)で、過去の被害や避難方法、土砂災害危険区域地図を提供しています。
土砂災害の予測は難しいのですが、発生する場所や時間はある程度特定することが出来ます。国土交通省砂防部は、土砂災害から身をまもるために最低限知っておくべき3つの点を紹介しています。
1住んでいる場所は土砂災害危険箇所?
土砂災害の約6割は「土砂災害危険箇所」で発生します。いうまでもなく、残りの4割はそれ以外で発生しています。まずはお住いが土砂災害危険箇所にあるかどうか、砂防部のホームページ(http://www.mlit.go.jp/river/sabo/link_dosya_kiken.html(国土交通省ホームページ)別ウインドウで開きます)で確認しましょう。市町村役場でも確認できます。
2雨が降り出したら土砂災害警戒情報に注意
土砂災害警戒情報は、大雨による土砂災害発生の危険度が高まったとき、市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、都道府県と気象庁が共同で発表する防災情報です。
土砂災害が発生する多くの場合は「土砂災害警戒情報」が発表されていますから、最新の情報に注意しましょう。気象庁の土砂災害警戒情報(http://www.jma.go.jp/jp/dosha/(気象庁ホームページ)別ウインドウで開きます)他、各都道府県の砂防課などのホームページで確認できます。自治体によっては携帯電話などに土砂災害警戒情報を自動送信するサービスもありますので活用しましょう。
3土砂災害警戒情報が発表されたら早めに避難
がけ下や渓流沿いなどに住んでいる方は、土砂災害警戒情報が出たら早めに近くの避難所など、安全な場所に避難しましょう。土砂災害の多くは木造一階で被災しています。豪雨などで避難所への避難が困難なときは、次善の策として、近くの頑丈な建物の二階以上に緊急避難したり、それも難しい場合は家の中でより安全な場所(例えば、がけから離れた部屋や二階)に避難しましょう。

「備え」再確認、行動の準備をしましょう
いかがでしょう? すでにチェック済みでしょうか? すでに実行済みですか? 懐中電灯や携帯ラジオはありますか? 3日分の飲料水や食料を確保されていますか? 非常持出品は準備されていますか? “わかっているけれどもまだ”なら、是非、必要な対策を講じましょう。

防災気象情報の入手先

●インターネット
 警報や注意報、台風情報、気象レーダー、解析雨量、降水短時間予報など、気象庁が発表している情報は、気象庁ホームページで閲覧できます。(http://www.jma.go.jp/(気象庁ホームページ)別ウインドウで開きます
 また、民間の気象会社のホームページでも、情報を手に入れることができます。
●テレビ・ラジオ
 警報や注意報の発表状況は、テレビやラジオを通じて知ることもできます。
 また最近では、それぞれのテレビ局が作成しているデータ放送で情報を入手することもできます。(データ放送の詳細については、各テレビ局あてお問い合わせ下さい)
●携帯電話
 国土交通省防災情報提供センターの携帯電話用サイトからも、防災気象情報を閲覧することができます。
 掲載しているもの:気象警報・注意報、気象情報、気象レーダー、気象ナウキャストなど
 http://www.mlit.go.jp/saigai/bosaijoho/i-index.html(国土交通省ホームページ)別ウインドウで開きます 

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