防災リーダーと地域の輪 第14回‐内閣府防災情報のページ

日ごろの訓練が実を結んだ、消防少年団の防災マップ

東京都世田谷区で活動する玉川消防少年団が、地域のこと、そこに住む人たちのこと、そして自分たちにできる防災活動についてあらためて考えながら初めての防災マップをつくりあげた。

玉川消防少年団は、昭和52(1977)年に設立された。現在は、小学4年生から中学3年生までの団員43名と、団員の父兄ら地域の大人、かつて団員だった高校生等の指導役28名の総勢71名が所属している。
活動は、日曜日を利用して月に1、2回程度実施され、1年を通したカリキュラムに沿って、防火・防災訓練のほか、老人会訪問等の社会奉仕活動などを行っている。
玉川消防少年団は、昨年初めて防災マップづくりにチャレンジした。団員が3つのチームに分かれて、それぞれ異なる区域の防災マップを作成し、第9回「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」(2012年度)に応募したところ、世田谷区奥沢地区をまちなか探検して作成した「奥沢防災マップ」が見事「防災担当大臣賞」を受賞した。
奥沢チームが担当した地域は、周囲を私鉄の線路3本にぐるりと囲まれた住宅地で、最寄りの消防署や避難場所はどちらも線路を越えた先に位置している。また地域には古くから住んでいる家庭が多く、高齢者の数も比較的多い。そこでチームは、災害発生時の緊急車両の通行や避難場所への避難に着目して調べることにした。
「線路に囲まれた地域で災害が発生したら、緊急車両が来られないかもしれない」、「お年寄りはひとりでは避難が難しい」など、まちなか探検や鉄道会社、町会への取材を通じて、災害時の様々な危険の可能性に気づいた子どもたち。マップでは、地域内外への通行の要となる線路の踏み切りを、色別のシールや写真を使って、車が通行できる所とできない所との違いが分かるようにあらわした。また、地域で見つけた災害時の危険の可能性は、ポイントをまとめて一覧に書き出し、私鉄を運営する鉄道会社の安全対策や町会が行っている高齢者の見守り活動などもコーナーを設けて見やすく紹介した。みんなで意見を出して話し合い、6年生がリーダーシップを発揮してまとめる。そんな作業を繰り返しながらマップをつくり上げた。

玉川消防少年団のまちなか探検や防災マップづくりの様子。(写真左上から時計回り)鉄道会社へのインタビュー、防災マップづくり、防災マップコンクール表彰式、奥沢神社をまちなか探検
(写真提供 玉川消防少年団)

未来の防災リーダーたち
マップには、「災害時に自分がしたいこと」をチームメンバーひとりひとりが書き込んだ。「奥沢交和会(町会)の人と協力して、お年寄りを助けたい」、「ひなん場所が遠いので教えてあげたい」、「消火器やD級ポンプを使って消火したい」など、そこには日ごろの消防少年団の訓練で身についた「人を助けよう」という気持ちや危険に対する高い意識がうかがえる言葉が並ぶ。
玉川消防少年団の防災マップづくりは、地域の防災意識を新たにする機会をもたらすことにもつながったようで、地域の人たちからは、「線路に囲まれていることは認識していたが、その危険性については、今回初めて気づかされた」といった声も聞かれた。
玉川消防少年団は、3月には中学3年生が卒団する予定だ。しかし今年も、高校生の準指導者として消防少年団に残ってくれるという団員がいる。未来の防災リーダーたちは着実に地域の中で育っている。
※「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」詳細は、17頁参照。

第9回「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」で防災担当大臣賞を受賞した玉川消防少年団奥沢チームの「奥沢防災マップ」
(一般社団法人 日本損害保険協会 提供)

防災リーダーの一言

玉川消防少年団は、小学校4年生から中学校3年生までの団員で結成されており、将来の地域の防災リーダーとなる人材の育成並びに地域への防火防災思想の普及啓発を目的に活動しています。この度、作成した防災マップが、防災担当大臣賞を頂き、大変光栄に思っています。
初めてマップ作りにチャレンジしましたが、街歩きや地域の方々との触れ合いを通して、多くの発見をすることができました。私達指導者も、大人では見過ごしてしまうような事柄に子ども達が目を向けていることに驚かされ、感心させられました。
今後、このマップを多くの方々に見て頂き、普段見過ごしているような身近な危険性に気づいて頂ければ、それが一番大きな成果であると思っています。
そして、子ども達が、自分の力で地域の為に何ができのるのかを考えてマップに書き込んだその気持ちを未来へ繋げてくれればと願っています。

粕谷正己かすや・まさみ
玉川消防少年団 団長

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内閣府政策統括官(防災担当)

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