防災リーダーと地域の輪 第1回

防災リーダーの一言

滋賀県は内陸部にあり、台風などの被害も海沿いの各県に比べれば少ないと思います。避難生活が必要となるような大地震もこの数十年は発生していません。ですから、日常の防災意識をどう高めるか、というのが難しいのです。

私自身も、工学を専門としてきましたから、防災というと防波堤や砂防設備をどう作るかなど、大規模な工事が必要となる事業をイメージすることが多かったと思います。それが、生徒たちと一緒に「かまどベンチ」を作ることによって、防災の基本はハード面だけではなく、「人」であるというように考え方が変わりました。人と人との交流やつながりも大切だということも改めて感じました。

「かまどベンチ」の良いところは、製作過程で交流が深まるだけでなく、生徒たちと小学生や、住民の方たちと作った物が形になって残ることです。公園を通りがかってベンチを見たときに、災害への危機感はなくても、製作の思い出を振り返りながら「防災」を考えてもらうことができるはずです。また、手作りですから、耐久性に問題があるかもしれません。でも、みんなで補修する機会があれば、さらに交流が深まるでしょう。

活動を通じて、生徒たちはたくましくなったと思います。進学先の大学で研究テーマに「防災」を選んだ子どももいます。予想以上に効果があり、私も驚いているところですが、高校生を中心とした活動は、幅広い世代が交流していく上で、さらなる可能性を感じています。今後は、リタイヤした年代の方との交流を考えています。実際にかまどを使って調理した経験のある方や、建設業などの知識がある方などからいろいろなことを教えてもらえればと思います。お年寄りは災害時要援護者(災害弱者)と言われていますが、災害が発生した際に必要なことをたくさん知っている世代でもあります。日常から交流を深めることで、高校生たちに助け合う気持ちを養ってもらいたいです。

田中 良典さん

田中 良典
たなか・よしのり
滋賀県立彦根工業高等学校都市工学科教諭

防災ちょっとクイズ

Q 過去に地震が繰り返し発生しており、また今後も地震が発生すると考えられている断層のことを、何というでしょう?

A活断層

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内閣府政策統括官(防災担当)

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