シリーズ 一日前プロジェクト(第3回)

もし、1日前に戻れたら…
私たち(被災者)から皆さんに伝えたいこと

地震、津波、風水害……さまざまな災害を実際に体験した方に、「もし、一日前に戻れたら何をしますか?」と訊ねたのが、「一日前プロジェクト」。被災者の声は、私たちにいろいろなことを教えてくれます。今月のテーマは『台風23号(平成16年10月)』です。

気がつかない人に知らせる電話連絡網(徳島市 40代 男性)

 時間雨量にして80mmは降りましたね。何百年と続く家が、初めて水に浸かったほど、集中的にこの山沿いに降ったんです。
 昔からこの辺りは水が出やすいところですから、みんな台風が来るとわかったら、すぐに車を堤防の上に上げたりしていました。台風の大きさには関係ありません。前もって高いところに上げておかないと。来てからでは遅いんです。夜、寝静まったころが風雨のピークになることもありますから。
 この災害をきっかけにして、寝ていて気がつかない人がおるといかんというので、半年ぐらい前にここら辺一帯の連絡網みたいなものを作りました。みんなの電話番号を知っておいて、お互いに連絡するようにしようということでね。
 一番早く、ちょっと危なさそうだぞとわかった人が、連絡してあげるということです。

気がつかない人に知らせる電話連絡網

いきなり「逃げろ」といわれても、どうしていいかわからない(福知山市 60代 男性)

 ほとんどの人が火災のときぐらいしかサイレンを聞いていないので、サイレンを鳴らしても、漠然と水が出ているらしいということはわかっても、どういう状況かは理解できていないのです。
 だから、「雨が強く降っていますよ」「水が異常に増えていますよ」「消防団が警戒を始めましたよ」「一部の方が避難しましたよ」「どんどん水が増えていますよ」「山崩れも起きましたよ」というお知らせの後に、「逃げなさい」言うたら初めて逃げる。
 いきなり「逃げろ」と言われて、逃げる者はやっぱりいないなと思いました。これは非常に大きな反省点です。

いきなり「逃げろ」といわれても、どうしていいかわからない

人に頼る避難より自主避難を(徳島市 50代 男性 消防団員)

 災害対応にあたっていると、避難する側の人の心構えが大事だなと思います。「犬を飼っているので、犬を連れていってもいいか」とか、「寝る布団はあるのか」、「食うものはあるか」とか、いろんなことを言う人もいました。
 市営住宅の人たちを避難させに行ったときには、消防団が車で送り迎えしてくれるというような考えでいるから、なかなか自分から動かないんですよ。みんな乗用車を持っているんだから、各戸で誘い合って乗っていったらいいのに、悲しいかな、それができない。何度も車で往復しなければならず、時間もかかって大変でした。
 それ以降、台風時などの出水については早目の避難ということで、住民の皆さん方には、早い形で自主的に避難をしてくださいというようなマニュアル作りをしています。
 これからは住民の皆さんが自主的に動く自主防災会のようなシステムをこしらえておく必要があると思いますね。

人に頼る避難より自主避難を

被災者の実体験を聞くことができる『一日前プロジェクト』は上記HPでも見ることができます。家庭はもちろん、地域や職場など、さまざまな話が掲載されていますので、企業の「社内報」や地域での「広報」に幅広く活用してください。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.