災害対応資料集

・199101:1991年(平成3年) 雲仙・普賢岳噴火

【概要】

(1)被害の概要
○雲仙・普賢岳の過去の火山活動

表1 雲仙・普賢岳の過去の火山活動

年代  被害概要 
寛文3年(  4月に普賢岳の九十九島池から噴出し、同25日に停止。11日に噴火を再開し、同 
寛文4年(  春、同地が決壊して赤松谷方面に泥流が発生、水無川が決壊し、安徳川僚(現在の安徳地区)へ氾濫、死者30人余り。
寛政3年(  1112月5日、半島西側の小浜町山稜で地震被害(死者4人以上)。
寛政4年(  2月、普賢岳の地獄跡火口から噴火を始め、同29日から4月下旬までの間、普賢岳北北東山稜から溶岩が流出した(新規溶岩)。4月、島原市で震度5~6の群発地震が発生、地割れや眉山の一部地すべりなどがある。 

5月21日、眉山の大崩壊。土砂が有明海に滑落しで津波が発生。対岸の熊本県も含め、死者は約1万5千人に達した。「島原大変」
大正11年(  121回目の地震の規模はM6.5で、最大震度5(強震)。合計死者39人。

○被害の槻要
・人的被害


表2 人的被害(島原市内発生分)     [単位:人]

区分  合  計
死者  行方不明  負傷者  計 
H35. 火砕流       
H36. H36. 火砕流  40  52 
H56. 火砕流 1     1
41 3 10 54

・物的被害
平成3年5月の土石流により最初に非住家1棟が被害を受けて以来、水無川流域において火砕流や土石流による娃物や橋梁などの被害は急激に増加していった。平成5年には災害が中尾川方面や眉山へ拡大したこと、水無川流域の土石流が大規模化したことから、被害数もこれまでとは比較にならない程多くなっているが、平成6年は降雨が少なかったことや防災工事が進んだことにより、被害が大幅に減少した。


表3 物的被害の状況         [単位:棟]

  住家 非住家  建物合計 
全壊  半壊  一部破損  床上浸水  床下浸水 小計
平成3年 192 6 11 35    244  343  587 
平成4年  20    53 45 139 144 283
平成5年 393 71 34 135 251 884  830  1,714 
土石流  388  88  223 296 1,019 964 1,983
火砕流 217 10 10     237 353 590
噴石     11      11     11 
その他日付不明           3 6 9
累計 608 98 45 223 296 1,270 1,323 2,593


(2)災害後の主な経過
災害後の島原市の主な対応は、以下のとおりである。


表4 災害後の主な経過(島原市の対応)

噴火直後 土石流

頻発期
警戒区域等設定 

当初時期 
・平成2年11月30分に「島原市災害対策本部」を設置。
・12月
・平成3年2月12日に普賢岳が再噴火。
・2月26日に「眉山崩壊に備えた特別避難計画」を公表。
・平成3年4月27日、泥流・土石流の危険性の高い南上本場町、北上木場町の避難計画を公表。
・5月15日に初めて土石流が発生。市は警戒本部を災害対策本部に切り換え、住民に避難勧告を発令。
・平成3年6月3日、大規模火砕流が発生多くの犠牲者を出す。 
・6月7日に国道57号から山側の8町内を警戒区域に設定。その後、警戒区域の範囲は順次拡大。・避難者の身体的・精神的ダメージを最小限に抑えるため、旅館・ホテル・客船の一時的な借り上げや仮設住宅の早急な建設などの対応を行った。 

・避難状況
平成3年5月15日、水無川で最初の土石流発生が確認され、島原市上木場地区に対して初めて避難勧告を出した。6月8日の火砕流によって警戒区域は有明海まで拡大され、さらに、北東側への崩落にともない、9月には千本木地区へも警戒区域を拡大し、設定区域は最大となり、避難対象も2,047世帯、7,208人とピークに達した。
避難者の避難先については、当初公民館や体育館に避難していたが、避難の長期化にともない、6月中旬から旅館、ホテル、客船などを一時的に利用した。また、6月下旬からは仮設住宅への入居が進められ、11月29日に避難所への避難は解消された。

図1 警戒区域等の設定

【参考文献】
1)島原市『雲仙・普賢岳噴火災害 島原市復興計画 改訂版』平成7年3月。
2)中央防災会議 災害教訓の継承に関する専門調査会『1990-1995 雲仙普賢岳噴火報告書』平成19年3月。


 

・土砂運ための大型車両が常に通るために、道路の傷みが激しく、また、渋滞を招く結果となった。
・山腹等に堆積した土砂は、降雨の度に繰り返し土石流として流れ出してくるため、常に被災現場の状況は変化する。そこで、写真で現場状況を撮影したが、災害査定をどの時点のものにするのかを迷った。
・散水車等を保有し、降灰除去が可能な業者をリストアップすることが必要となった。時間単価を設定した上で、散水車による除去を業者に委託した。経費は、散水車の作業時間から算出し、月報により出来高払いとした。
・除去作業では幹線道路を優先して行ったために、私道路の除去が遅れ、一部の住民からは降灰除去を実施する道路の優先順位に関して不平がでた。
・降灰作業の実施では、あらかじめ消防水利等を把握し、取水ポイントを決定する必要があった。
○復興計画改訂の経緯と計画の槻要
島原市は、平成4年度に「雲仙・普賢岳噴火災害 島原市復興計画」(以下、便宜的に「第一次計画」という)を策定し、安中三角地帯嵩上事業や総合避難計画の策定をはじめとする復興事業に着手した。しかし、第一次計画の策定後、中尾川流域、眉山六渓及び湯江川流域(礫石原)などに新たに被害や災害の危険性が拡大し、水無川流域同様、砂防事業をはじめとする大規模な防災事業の実施が図られることになった。中尾川流域における計画立案を中心に第一次計画の全市的な見直しを行い、これらを「島原市復興計画改訂版」として取りまとめることとなった。
復興計画の改訂については、市長を議長とする「島原市災害復興推進会議」が計画の案を作成し、学識経験者や各界の代表者から構成される「島原市災害復興懇話会」での協議を踏まえて、平成7年3月末に「島原市復興計画改訂版」として確定した。

○災害が長期にわたったことから、次のような計画策定の経過となった。噴火が終息した平成7年から本格的な復興対策が可能になった。「がまだす」は、島原地方の方言で「がんばる」という意味。

図 復興計画の策定手順

【19910105】復旧・復興計��興基本計画より構成される。復興基本方針は、具体的な計画内容の立案に先立ち、現時点における本市の復興課題を整理した上で、市として復興に対する基本的考え方や姿勢を明かにしたものである。
復興基本構想とは、基本方針に基づいて具体的な復興対策を明示するとともに、それらを本市復興の将来像として視覚的に取りまとめたものである。
復興基本計画とは、基本構想に掲げた各対策を確実に実現するため、計画の内容や実現方策などを詳細に定めたものである。これらは「生活再建」「防災都市づくり」及び「地域の活性化」という3つの計画の柱で体系的に整理している。

図 島原市復興計画改訂版の構成

○復興基本構想
復興基本構想は、以下の目的で策定された。
・復興基本方針を受けて、当面及び将来における島原市の復興ビジョンを明確にし、市民や関係機関(団、県、深江町など)に提示することにより、本市復興に対する理解と協力を醸成すること。
・今後の個別・具体的な復興基本計画の策定にあたり、それらの相互関係や方向性を定めることによって、効果的な事業化や復興水準の向上を図ること。

図 復興基本構想の構成

【参考文献】
1)島原市『雲仙・普賢岳噴火災害 島原市復興計画 改訂版』平成7年3月。
2)中央防災会議 災害教訓の継承に関する専門調査会『1990-1995 雲仙普賢岳噴火報告書』平成19年3月。

1)基金の内容
○長崎県では、被災者の生活再建を支援するために、長崎県からの出損金、貸付金、義援金の一部を積み立て、その運用益を様々な事業費として使用している。基金は財団法人として設立されている。

2)財団法人の運営

表 財団法人の概要

項目 内容
財団の資金 基本財産:3億円

運用財産:災害対策基金100億円(長崎県貸付)義援金基金:6億円
役員 理事長県知事、理事1名、常務理事1名、監事2名
運営  理事会:基金予算、事業内容等の審議、決定機関幹事会:理事会開催前の調整機関事務局:長崎県災害復興室及び関係課職員で構成 


3)基金事業内容の決定方法

図 基金事業内容の決定方法

○長崎県では、島原半島、諌早市、大村市および長崎市に所在する県営住宅、市町村営住宅、雇用促進住宅、県職員住宅、教職員住宅、住宅供給公社住宅の193戸の空き室を確保した。144戸の申し込みを受け、120戸が貸し付けられたが、島原市および周辺の空き室の確保数が少なく、被災者の望む形での住宅供給は難しかった。
○貸付条件は、家賃、敷金を免除し、公営住宅については所得制限などの入居条件が撤廃された。
○公営住宅については、本来本人負担である浴槽、風呂釜の設置を各住宅管理者又は長崎県において実施した。
○雲仙岳噴火災害における住宅対策の難しさについて、『雲仙・普賢岳噴火災害誌』長崎県(平成10年2月)では、次のように述べている。
 変化していく状況の中で、本格的な復旧事業に入れない「継続中」の状況が長期にわたり続いたとともに、警戒区域等の設定により、住宅を失っていないにもかかわらず、長期の避難生活を強いられた人々が極めて多数に及んだという特殊性を持っていた。
 このため、長期にわたる災害の住宅対策を進めるに当たっては、
1)避難対策の側面を持つことから、短期間に避難者に対応すること、
2)災害の長期化と終息という正反対の事態を想定しつつ対策を進めること、
3)状況が時々刻々変化するため、住民が将来の住宅計画を定められない中で、住民の意向との整合を図ること、
4)避難対策、一時的対策、恒久的対策としてのそれぞれの住宅対策が明確に区分できないため、総量的な居住の場の確保と時間経過に伴う質の向上を進めるという課題に対応することが必要であると思われる。出典:『雲仙・普賢岳噴火災害誌』長崎県(平成10年2月),429-430より
○こうした観点から、公営住宅についても、「おそらく全国で初めて軽量鉄骨プレハブ造(深江町は木造)を採用し早期建設を図った」り、民間賃貸住宅を5年間県が借上げて被災者に提供する、借上賃貸住宅(借上復興住宅)、さらに、先に述べたように県が仮設住宅の補強・改善を行い、市町に譲渡して市町の単独住宅として管理する、などの様々な工夫・取り組みが行われた。

○市に建設資金がなく、県に県営住宅の建設を依頼した。この際、用地は市で確保、県は366戸の建設、5年後に県営住宅を市で引き取る、となった。
○供給した住宅は、1)短期住宅(59戸、仮設住宅を改造したもので約5年耐用)、2)中期住宅(172戸、4団地木造の平屋、約10年耐用)、3)恒久住宅(一般的な市営住宅)に分類される。
○最終的には、264戸の恒久住宅を建設している。短期住宅や中期住宅の解体時に発生する住宅間の移転等については、平成22年までの公営住宅建設を含む住宅マスタープランに定めた。

 

図 恒久住宅の供給の考え方

○被災者の多くが被災前に部屋数の多い戸建て住宅に居住していたことから、特に中層の災害公営住宅の入居者の中には(特に高齢者)、隣戸の音や従前の住宅と比較して居室が狭い事などが原因となり、日常生活にストレスを感じている入居者が多くなっている。
○島原市の住民は持ち家指向が高いため、時間経過に伴い、入居者が住宅建設等を行い、出ていくケースが多い。

○県基金では、再建費用のみだけでなく移転費用等へも助成を実施している。さらに対象項目の中には、家具購入等も含まれている。(次頁参照)

表 雲仙岳災害対策基金での住宅再建支援事業

項目  事業内容  助成金額等 
住宅再建時助成事業  半壊以上の被害を受けた住宅の再建を行う者に対し、その一部を助成  ○新築の場合:定額300万250万○200万円以上の大規模改修の場合・助成率1/2 ・限度額

   (内3/7市町基金負担
警戒区域内残存住宅再建時助成事業 現に警戒区域内に長期にわたって残存する住宅について、移転して住宅を再建する場合に助成 ・助成額:300万円250万
住居確保助成事業 住宅の全壊者、半壊者で民間住宅、公営住宅等に入居し、将来にわたって住宅を建設しない者に助成 ・全壊者:定額200万100万・半壊者:定額100万50万
住宅被災者生活再建助成事業 住宅に被害を受けた人が家具購入等の生活の再建を行う場合に助成 滅失:定額105万45万全壊:定額70万30万半壊:定額35万15万床上浸水等: 

   定額14万6万
被災者用住宅団地造成促進助成事業  被災者用住宅団地の造成費用に対する利子補給等    
避難住宅家賃助成事業  警戒区域等内に住居があるため、若しくは住居が全半壊であるため、賃貸住宅等に入居している世帯に対しその家賃の一部を助成  ・月額2万円まで全額、それを超える部分4万
家財置場のための倉庫等確保助成事業  現に警戒区域の設定等が行われている区域内に居住していた世帯、又は警戒区域の設定等が解除された区域内に居住していた世帯が倉庫等を借り上げるもしくは購入等を行った場合、その経費の一部を助成 

() 
○借り上げ:月額1万円まで全額、それを超える部分(限度額) 

○建設・購入:12万円まで全額、それを超える部分(限度額) 
移転費用助成事業  仮設住宅入居世帯、住宅家賃補助対象世帯等が警戒区域解除等の事情により、仮設住宅等からの一時移転を行った場 transparent; padding-left: 5.4pt; width: 178.9pt; padding-right: 5.4pt; border-TOP: #f0f0f0; border-right: black 1pt solid; padding-TOP: 0mm; mso-border-alt: solid black .5pt; mso-border-top-alt: solid black .5pt; mso-border-left-alt: solid black .5pt" >・1世帯あたり移転1回につき:5万円
○雲仙普賢岳噴火災害でも、雇用調整助成金制度の特例措置がとられるとともに、島原公共職業安定所管轄区域を地域雇用開発促進法の「雇用機会増大促進地域」とし、区域内の一般求職者を地域雇用開発助成金に係る雇用開発必要求職者に指定することにより、地域雇用開発助成金の支給等が講じられた。
○また、雲仙普賢岳災害対策基金を活用した休業手当助成金や休業補償金等が、警戒区域及び避難勧告区域に指定されたことに伴い事業活動が縮小された被災事業主等に対して支給された。
○雲仙普賢岳噴火災害においては、離職者の復職・再就職を支援するため、島原公共職業安定所に雇用相談コーナーを設置し総合雇用相談を行うとともに、交通規制等により地域住民へのサービスに支障をきたす地域においては、職業相談・雇用保険給付業務を中心に臨時相談所を設置し、相談体制の整備を行った。

○雲仙岳災害対策基金では、貸付額に対する利子補給が実施されている。

表 雲仙岳災害対策基金での利子補給例

事業名 事業内容 
生活安定再建資金 島原市、深江町が実施する生活安定再建資金の貸付を受けた場合は、その利子相当額を補給対象者:警戒区域等内に住居を有しているため、避難生活が連続して2ヶ月を超えている世帯 
利子補給事業 災害弔慰金の支給等に関する法律に基づく災害援護資金及び生活福祉資金貸付制度要網に基づく資金を借り入れた場合、借り入れ後5年間の利子相当額を補給 
○配分方法(平成3年7月での配分)
・行方不明者分:遺族の避難先又は自宅へ直接持参
・入院者:家族の避難先又は自宅へ直接持参
・住居焼失者:本人の避難先に直接持参
・避難対象者:避難所入所者は、配布日を指定し、避難所で配布
・避難所外への避難者:公民館で配布
・本人又は遺族が島原市外に在住している場合は、希望により銀行振り込み
○支給事務方法
・本人来庁:身分証明のうえ、支給調書を作成し、現金を支給する。身分証明書が無い場合は、町内会長、民生委員、事業所の代表者等による証明書の提出を依頼した。
・電話受付:住民基本台帳のコピーを資料として、聞き取り確認の方法により、支給調書を作成し、希望により銀行振り込み。
○事務処理上の課題
・義援金の第一次配分では、市職員から被災者に対して手渡しで行ったために、その後、誰に渡したのかを確認することが困難となった。
1)ショートステイ
○避難対象地区に指定された地区に居住する寝たきり高齢者等が、仮設住宅や民間借家等での生活が困難な場合、国、県と協議の上、特例として1カ月更新で長期間の老人ホームでのショートステイの利用を実施した。
2)高齢者等の仮設住宅への入居
○一人暮らしのお年寄りに配慮して、仮設入居の際などには、これまでの環境を激変させないように集落単位の移転を検討した。
3)健康相談・診断の実施
○島原保健所、島原市、島原医師会が主体となり、健康相談、健康診断、健康状況調査を避難所及び仮設住宅において随時実施した。
○土石流で被害を受けた水無川の河川改修を直轄事業により実施。(次頁参照)
事業概要掘削工:V=534,000㎥ 護岸工A=43,400㎡ 落差工:5基
橋梁付替:4橋(道路橋:3橋、鉄道橋:1橋) 土盛工:1,600㎡
用地及び補償A=82,920㎡ 家屋補償:48戸

○普賢岳周辺において、土石流発生の監視体制を強化するために、監視カメラ、ワイヤーセンサー等の設置を実施した。ワイヤーセンサーの設置においては、電波法に基づく免許取得が必要であることから、応急復旧対応に追われている時点で、免許確保の手続きを行わなければならなかった。(次頁参照)
○住民への情報伝達施設整備には、屋外子局防災無線(同報系)を平成3〜4年度に6億600万円で整備した。74基設置したが、火砕流・土石流により5基が被害を受けている。同報無線は自治省(当時)の防災まちづくり補助事業で行った。その他、固定系の戸別受信機15,000個を購入し、各家庭に無償で貸与している。

図 水無川河川改修事業計画図

図 普賢岳土石流情報伝達システム図
(出典:上記共に雲仙・普賢岳噴火と火山噴火対策砂防事業、平成5年8月)

数度にわたって、被害予測図を更新しながら、危険区域の状況を住民へ公表した。

図 雲仙岳噴火による火山災害予想区域図
(出典:雲仙・普賢岳噴火と火山噴火対策砂防事業平成5年8月)

流による被災住宅の移転を進めるために、島原市域で平成5年6月25日、深江町域で同年9月3日に砂防指定地の一部を災害危険区域に指定した。また、その後、中尾川流域の被災住宅の移転を進めるため、中尾川砂防指定区域を平成6年9月9日、災害危険区域に指定した。
1)事業導入の経緯
○火砕流により被災した上木場地区は危険性が継続するために、島原市は住民に対して集団移転を表明したが、その後、住民の反対により集団移転は白紙撤回となった。しかし、火山活動の継続により被災者側から新集落形成の要望があり、住宅団地への入居者に対して防災集団移転促進事業が適用された。
2)手続き等
○災害が継続する中で、移転者の移転先等の意向の変化が相次ぎ、それに伴う事業計画の変更が生じた。
○住宅移転に対しては、住宅団地入居者へ「防災集団移転促進事業」、住宅団地外へ移転する被災者へ「がけ地近接等危険住宅移転事業」の2つの事業が適用されたが、どちらの方法で再建するのかを決めかねる被災者がおり、各事業の申請人数の確定が遅れ、その後の申請事務に影響があった。
3)事業対象者への対応等
○事業適用により、住宅再建ができた被災者の中には、再建に要した借入金の返済が、転職等で収入減少により負担になっている人もいる。
○補助の内容は借入金の利子補給及び移転費用の補助であること、事業適用には条件があることなどの内容の説明を行ったが、事業により補助金が多額にもらえるというイメージが一部の被災者の中で先行してしまった。
1)背景
○将来的に発生が予想される土石流から地域を守ることを理由等として、安中地区における水無川と導流堤で囲まれる地域(安中三角地帯)の嵩上げが被災地域住民から発意された。その後、島原市復興計画にも位置づけられ、平成6年2月に事業計画書が完成している。
2)適用事業手法
○嵩上げ後の整備は、農業基盤整備事業と土地区画整理事業が適用されるが、嵩上げに必要な土砂処理は、堆積土砂除去費用を充填し、事業を実施した。
○被災地内に土地や家屋を所有している市外居住者に対しては、支援内容の広報等が行き届かず、支援ができなかった例がある。
○事業期間終了後に支援制度があったことを知った被災者から、自分の受け取り権利を主張してくる等の苦情を受けることがあった。

表 商店街の活性化事業例

商店街振興組合等が防災対策、振興対策の観点からアーケード、カラー舗装駐車場整備を実施する場合に以下のような助成を行う。
事業名 事業内容 助成金等
商店街共同施設等設置助成事業
(1)(1)  ・対象者:島原市及び深江町の行政区域に事務所を有する事業協同組合、協業組合、商店街振興組合、商工会議所・商工会(法人格を有しない商店街が事業を行う場合 助成率:助成対象経費の65%以内(50,000千円
(2)  助成率:1/10(中小企業高度化資金充当率限度額:20,000千円
商店街等活性化事業 ・災害で疲弊した商店街の活性化を図るため商店街復興PR事業となる商店街のイベントに対し、その経費の一部を助成・対象地域:島原市、深江町、小浜町、布津町 助成金額:1事業1,000万円以内
○島原市では、警戒区域が設置された後も、既解除区域において、災害遺物の収集が実施され、島原大変(1792年死者約1万5千人)時代の古文書等も合わせて収集を行い、これらの一部については平成6年6月から、仮展示を開始している。
○建設省雲仙復興工事事務所(当時)では、「雲仙普賢岳資料館」を設置し、火山災害の実態や防災事業の概要を紹介している。また、島原城内に、「観光復興記念館」を設置し、ジオラマによる展示や映像による土石流、火砕流に関する紹介を行っている。
○火山活動が継続することにより危険視されていた有珠山周辺の安全性を認識してもらうために、全国の学校関係者を虻田町に招待し、宿泊してもらうという「体験宿泊」を実施した。このように、まず学校関係者に安全性をアピールすることで修学旅行の誘致を図った。
○「島原地域再生行動計画(がまだす計画)」では、広大な敷地を持つ砂防指定地を、周辺地域の安全性が確保された段階で、スポーツ施設や憩いの広場として、さらに地域の産業や観光のための基盤として、災害の教訓を記憶する復興のためのシンボルとしての利活用が現在計画されている。
○火山活動が継続することにより危険視されていた有珠山周辺の安全性を認識してもらうために、全国の学校関係者を虻田町に招待し、宿泊してもらうという「体験宿泊」を実施した。このように、まず学校関係者に安全性をアピールすることで修学旅行の誘致を図った。

表 雲仙岳災害対策基金での事業例

事業名  助成金等
テレビ制作支援事業 ○島原半島への観光客誘致促進を図るため同半島内を紹介するテレビ番組の番組企画費、取材費、現地撮影費等の制作経費を助成 助成率:制作経費の一部

 
マスメディア活用事業 ○雲仙普賢岳の噴火災害にともなう島原半島観光のイメージダウンを回復するための事業に助成 

・関東・関西・福岡ローカル枠でのCMの放映・全国ネット番組・地域ネット番組への支援及び放送素材制作 

・雑誌掲載・パンフレットの作成 
助成率:所要経費の一部 

助成対象者:事業実施団体 

  
島原半島リ・ボーン計画(マスメディア活用事業による (雲仙観光協会、小浜温島原温泉観光協会(長崎県出身の有名人を起用し、新聞、テレビで島原半島の安全 助成率:経費の一部

 
修学(研修 ○島原半島内の宿泊施設に島原半島外の学校が宿泊する修学旅行等を誘致するため、観光関係者が行う誘致宣伝活動に要する経費の一部を助成

・PTA・父母代表者、先生などの現地視察事業・安全PRを訴えるビデオ、情報誌、冊子等の製作、配布事業・半島以外の学校訪問などの誘致事業・半島以外の学校訪問などの誘致事業 
助成率:所要経費の一部 

助成対象者:島原半島内の観光協会及びこれに準ずる団体 
エージェント・キャリヤー対策事業 

  
○エージェントの企画担当者に島原半島の状況を理解してもらうため、担当者へ積極的なアプローチを行い、島原半島を取り込んだ商品の企画化と窓口でのPRをお願いするため下記事業の一部を助成・各エージェント・キャリヤーの現地視察招待 

・主要都市での安全性の説明・意見交換会の開催 

・ポスター・パンフレット等の作成 
助成率:所要経費の一部 

  
雲仙バスターミナル「雲仙・島原紹介ギャラリー」開設事業  ○県営バスターミナル内で島原半島を中心とする観光情報の提供、特産品の展示愛好会の展示会等に無料提供等を行うことで雲仙・島原の魅力と安全性をPRするため「雲仙・島原紹介ギャラリー」開設事業に助成   
地域イベント支援事業  ○地域の活性化に伴う宣伝一広報等の経費を助成

する経費の一部を助成
 
大型イベント開催支援事業 ○テレビ放映等を通じて島原半島の復興をPRするため、島原半島内で大型イベント)の実施に要 助成率:事業経費の一部

助成対象者:大型イベント等の主催者

○長崎県は、雲��催者 

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内閣府政策統括官(防災担当)

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