災害対応資料集

・198501:1985年(昭和60年) 地附山地すべり災害

【概要】

(1)被害の概要
地附山地すべりは、昭和60年7月26日午後5時ごろ、長野市西方の地附山南東斜面に発生し、山麓部にあった老人ホーム松寿荘や湯谷団地を襲い、埋没・全壊55棟の被害を出した。特に松寿荘では、特別養護老人のうち40名が土砂に破壊されつつあった同荘に取り残され、うち14名は救出されたが26名は不帰の人となった。

○地すべりの特徴
・地附山地すべりの崩壊源発生位置は、地附山南東斜面の中において古い地すべり・崩壊により周囲よりも斜面後退の激しい部分であった。
・破砕作用と断裂にそう地下水の浸透による風化作用の進行・軟弱化により地すべり・崩壊が発生しやすくなり浸食・斜面の後退が進行した。この中には変異途中で停止し安定化した部分があったと考えられ、今回の地すべりの主崩壊源はそのような部分にあった可能性がある。

表1 被害概要

人的被害(人)  住家被害(棟) 死者  行方不明者  重傷  軽傷  全壊  半壊  一部破損  26  0  1  3  50  5  9 

( :地附山地すべり対策事業の記録』平成元年3月。

表2 主要被害額

農林業関係被害  公共土木施設被害  果樹園埋没  林地  道路  都市施設  2.99ha  14.42ha  375,000千円  200,000千円 

(出典) 地附山地すべり記録誌編集委員会編『復旧への足跡: 地附山地すべり対策事業の記録』平成元年3月。

 

(2)

表3 災害後の主な経過(島根県の取組状況)

年  月日  項目 

昭和60年 7月21日 湯谷団地グランド上部斜面一部崩壊(避難者    

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

   7月21日 上記避難勧告を市が解除  7月26日 13:00 地附山地滑り対策本部長野地方部設置    16:30 長野市長が湯谷団地住民     17:00 長野市対策本部設置    17:30頃 地すべり発生    21:00 地附山地すべり災害対策長野県本部設置    22:00 自衛隊へ派遣要請    22:58 災害救助法適用 7月27日 湯谷団地被災者一時帰宅  7月28日 応急工事説明会  7月30日 地附山地すべり災害対策委員会、同専門部会  8月1日  松寿荘での最後の行方不明者遺体で収容される  8月3日  湯谷団地被災者の会発足  11月5日  地附山地すべり対策工事計画検討委員会発足  11月16日 地附山地すべり防止区域指定  12月7日  地附山地すべり機構解析検討委員会発足  12月20日 県災害警備本部廃止  昭和61年 4月1日  長野建設事務所地すべり係設置 市防災対策課設置 

  

  

   9月23日 21:10 二次崩落    二次崩落のため、望岳台、湯谷団地184世帯  9月24日 二次崩落に伴う184世帯  12月23日 避難指示すべて解除 

昭和62年 3月27日 湯谷団地被災者の会解散 

   4月7日  災害対策本部廃止 

  

【参考文献】 

1) 地附山地すべり記録誌編集委員会編『復旧への足跡: 地附山地すべり対策事業の記録』平成元年3月。

2)


・本災害における復旧・復興体制に関する記録なし。

1)計画立案の考え方と経緯
○被災地は、長野県企業局が整備した住宅地であった。
○当初、被災者からの意向も踏まえ、1)原形復旧、2)山側の一列目の宅地復旧は諦め、下方の2列の宅地を再建、3)埋没地域はそのまま押え盛土として将来宅地等として利用する、という3案を考え、地すべり対策上、市道災害復旧、都市施設復旧事業の対象範囲等について検討し、2)が現実的であると判断した。しかし、県首脳部側では宅地全面復旧を要望したため、大規模擁壁整備を補助事業採択できるように再検討した。庁内の調整会議で、1)と3)をミックスする案が出され、設計、住民説明会が実施された。
○しかし、その直後、新聞報道により宅地の安全性に疑問があるとの記事が掲載され、住民側の反発が見られたことから、団地上部に緩衝帯の整備・必要用地買収の要望が住民側から提示され、県側では関係住民の意向集約ができればそれに応ずるとし、この案で事業推進となった。
2)事業実施方法
○湯谷団地の復旧については、被災を免れた下部の宅地を保全し、そこから下方の居住者に心理的圧迫をかけないように、3段のコンクリートとブロック積みの擁壁を段階状に設けることとし、宅地復旧を行った。
3)発生した課題
○地すべりによる目標物消失により公図の無い地域では、境界が不明となり、その確定が最大の問題となった。地権者からの要望で、長野市博物館所蔵地図、地元で有する地図、戸隠有料道路買収図面等から、境界を確定するための図面を作成し対応した。
4)適用事業/事業費
○都市施設災害復旧事業(堆積土砂排除→下水管復旧)、市道及び普通河川災害復旧事業を適用

図 湯谷団地被災状況

図 湯谷団地復旧計画図

1)計画概要
○方針:建設中の養護老人ホームの建設を早め、さらに2,3の老人ホームを建設し、松寿荘の入居者全員を入所させる。
○構造:RC造平屋4,900㎡、各部屋から車椅子で直接外部への避難を可能にしている。
2)経過
○この間、松寿荘に入居していた老人は、養護老人85人が9カ所の養護老人ホームに、特別養護老人85人は4カ所の特別養護老人ホームに分散されたが、旧県消防学校を改築し、養護老人85人を入所させた。建設が進んでいた矢筒荘が4月に完成し、特別養護老人86人が入所した。
○被災した松寿荘は、長野市上野の旧結核療養所跡地に全面移転、新築され、61年1月30日に工事着工。10月に入居者の引っ越しを実施。
○建設費:1億3,000万円

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